住宅取得等特別控除
大蔵省は、昨年12月20日に「平成9年度税制改正の大綱」を決定し、同日閣議に報告しました。これによると今年は、大きく改正されるものはなく、住宅取得等特別控除額のUP、印紙税の引下げ、登録免許税の一部引下げ、エンジェル税制の創設、特別地方消費税(旧料理飲食税)の廃止などです。
今年住宅を購入して、居住した場合は、過去最高額の住宅取得特別控除の適用が受けられます。住宅のローン残高が3,000万円以上の人は、
1,000万円以下×2%=20万円
1,000万~2,000万円×1%=10万円
2,000万~3,000万円×0.5%=5万円
合計35万円
平成9年から3年間35万円、所得税が還付されます。又、平成12年から3年間は、25万円になります。6年間で180万円も還付されるのです。
又、3月31日迄に、3,000万円の住宅を購入した場合は、4月以降に購入する人に比べて消費税が60万円も少なくてすみます。
但し、不動産売買契約に必要な印紙税や、登記の際の登録免許税は、4月から軽減されます。
不動産売買契約書及び工事請負契約書の印紙税
現行 4月以降
1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万5千円
5,000万円超1億円以下 6万円 4万5千円
1億円超5億円以下 10万円 8万円
5億円超10億円以下 20万円 18万円
10億円超50億円以下 40万円 36万円
50億円超 60万円 54万円
登録免許税の軽減税率
現行 4月以降
住宅用家屋所有権保存登記 1,000分の3 1,000分の1.5
住宅用家屋所有権移転登記 1,000分の6 1,000分の3
住宅資金貸付抵当権設定当期 1,000分の2 1,000分の1
5%消費税への準備
いよいよ4月~消費税が5%になりますが、経理担当者としては、3月31日迄の仕入れと4月以降の仕入れを、確実に区分しなければなりません。請求書が月末〆切である取引先は、ともかくとして、その他の取引先に対しては、今からお願いして、3月31日現在の買掛金残高を確認して下さい。
平成元年4月に消費税が導入されてから、8年が過ぎようとしています。はじめのうちは、特別の場合を除いて、調査を行わないなどの弾力的運用がなされてきました。しかし、国税庁では、平成3年7月に組織改革を行い、個人課税部門と法人課税部門に改め、所得税や法人税と消費税との同時調査が行える体制にしました。その後、簡易課税の業種区分が2種から4種になり、遂にこの4月からは、税率UP、限界控除廃止となり、中小零細企業にとっては、とても厳しいことになりました。そして消費税の弾力的運用はなくなり、本格調査の実施が待っています。
保存書類と仕入税額控除
本来消費税は、売上金額の3%(5%)を、事業者が納付することになっていますが、仕入にかかる税額を、控除できることになっています。それには仕入に関する書類を、保存しておかなければ、税額控除はできない仕組みになっています。その上4月からは、帳簿に記載し、かつ、請求書等を保存しなければなりません。しかもその内容は、取引の年月日、相手の氏名、取引の内容、金額、支払った者の氏名等細かく規定されています。請求書等を保存してあれば、帳簿に記載する場合は、簡略しても法人税は、OKでしたが、消費税は許されません。消費税は、会社の決算が赤字であったとしても、容赦なく納付しなければなりません。しからば、法律に逆らうことなく事務処理を行って、節税に心がけましょう。
来年以後、住宅を取得する場合の住宅取得等特別控除額は、年々減額することとなっています。住宅取得等特別控除が適用される要件は、細かく決められておりますので、永嶋事務所へお問い合わせ下さい。
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