第251号  平成27年度 地方法人税が創設されました 消費税の軽減税率

地方法人税が創設されました

 


地方法人税が平成26 年3月31 日に公布されました。これに伴い、平成26 年10 月1日以後に開始する事業年度から、法人税の納税義務のある法人は、地方法人税の納税義務者となり、地方法人税確定申告書の提出が必要となります。つまり今年の9月決算法人から対象になります。

地方法人税確定申告書は、法人税確定申告書と一つの様式としています。法人税確定申告書別表一(一)の様式を使用する場合、上部を法人税、下部を地方法人税を記載することになります。いずれも国税になります。

(1) 課税事業年度:地方法人税の課税の対象となる事業年度は、法人の各事業年度とされています。

(2) 課税標準:地方法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とされています。

(3) 税額の計算:地方法人税の額は、課税標準法人税額に4.4%の税率を乗じた金額となります。

(4) 確定申告:地方法人税確定申告書は、各課税事業年度終了の日の翌日から2月以内に納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。

(5)中間申告:平成27 年10 月1日以後に開始する課税事業年度から対象になります。

これに伴い、地方税の税率が下げられます。次号で。


消費税の軽減税率

消費税が、平成29年4月1日から10%になることになりました。それに伴い、生鮮食品等の軽減税率案が出ています。日経連も日税連も軽減税率導入に反対しています。そんな中、税理士の新聞『税理士界』6月15日号で、中央大学の森信茂樹教授、日経連の阿部泰久常務理事、日税連の小池正明税制審議会専門委員長、日税連上西左大信調査研究部長の座談会を収録した記事がありました。
 私も軽減税率導入に反対ですので、その対談の中で、分かりやすい部分をピックアップしてみました。

阿部:食料品を5%にした場合、3兆3,000億円程度税収が減ります。 これは、消費税1%に相当。

森信:低所得者対策として、非常に効率の悪い政策、高所得者の方に より多くの利益が及ぶ。

小池:分かりやすく言うと、100g100円の安いバラ肉と、100g1,000円 の霜降りの牛肉があって、どちらも軽減税率の対象だとすると、 高所得者は、1,000円のものを買い、低所得者は100円のものを買います。 すると、高所得者に10倍の恩恵が及ぶ。

軽減税率が導入された場合の区分経理について

阿部:現行に比べて事務負担が増大仮にインボイスを導入する場合の 準備期間は、大企業でも1年以上は必要、中小企業はそれ以上の 期間が必要。 平成29年4月から対応するのは困難

上西:日本の帳簿組織は世界に冠たるもの、現行の請求書等保存方式を 維持すべき

低所得者対策

森信:消費税が5%から8%へと3%引き上げられた際の暫定措置として 現在実施されている簡素な給付措置は、住民税非課税者に1人1万円が 給付されていて、その総額は3,000億円程度に。

上西:日税連でも、マイナンバー制度の運用状況を踏まえて、給付を 低所得者に限定した給付付き税額控除を導入すべきというスタンス

小池:軽減税率はいかに問題が多く、逆に給付付き税額控除が低所得者 対策として効果があるかということを周知していく。 軽減税率で税収が減れば減るほど標準税率が上がる可能性が高い

阿部:経済界は軽減税率導入に絶対反対

上西:日税連は、軽減税率導入に反対。引き続きご協力をお願いいたします。


『税理士界』6月15日号より

軽減税率が導入されれば、軽減されるものされないものの把握だけでも大変です。事業者の皆様の事務負担が著しく増加するものと思います。費用も膨大にかかると思います。軽減税率のため標準税率がどんどん高くなっていくのは困ります。 




 


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2015年08月01日