年末調整が近づきました
5月号で今年から、生命保険料控除の仕組みが改定されたことを書きましたが、控除額について簡素にまとめてみました。
平成24 年1月1日以後に締結した保険契約(新契約)のみの方は、新しい制度で適用最高限度額が12 万円とされました。
新しい制度は、平成24 年1月1日以後に締結した新契約分からは、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除、介護医療保険料控除で、最高限度額は各4万円で合計12万円になります。
平成23 年12 月31 日以前に締結した保険契約(旧契約)のみの方は、旧制度のままで、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の最高限度額は各5万円で合計10万円になります。
ちょっと考えるのは、平成24 年1月1日以後新たに保険契約を締結した方で、平成23 年12 月31 日以前にも締結した保険契約の両方ある方です。
新契約と旧契約の双方について一般生命保険料控除又は個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、新契約の支払保険料等につき、新制度の計算式により計算した金額と旧契約の支払保険料等につき、旧制度の計算式により計算した金額の合計額となりますが、限度額は各5万円です。
なお、一般生命保険料控除額、介護医療保険料控除額及び個人年金保険料控除額の合計額が12万円を超える場合には、12万円が限度です。
ノーベル賞と所得税
ノーベル賞は、世界中の誰もが知っている、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった世界的な賞です。物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。
このたび今年のノーベル医学生理学賞受賞者に、京都大学の山中伸弥教授と英国ケンブリッジ大学のジョン・ガードン博士が選ばれました。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万スウェーデン・クローナ(約9,800万円)が両氏に半分ずつ贈られます。この賞金に課税されるかということですが非課税です。
日本で最初にノーベル賞を受賞した人は、昭和24年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士です。当時ノーベル賞に対する非課税規定がなく、翌25年の所得税の改正で、非課税所得に「学術の顕著な貢献を表彰するものとし・・・」が追加されて非課税となりました。
昭和43年、川端康成氏がノーベル文学賞を受賞しました。昭和43年の所得税の非課税規定では、「学術の顕著な貢献を表彰するものとし・・・」と定められていたため、ノーベル文学賞が「学術の貢献」に該当するかどうか検討したそうです。そして翌44年の所得税法の改正で、非課税所得に「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品・・・」が追加されました。
上記6分野の賞のうち、経済学賞は、スウェーデン中央銀行の(*1)基金から支払われるため、非課税規定に該当しません。日本人で今までに経済学賞の受賞者がいませんでしたが、早く非課税規定に入れないとまた、川端康成氏と同じように受賞が決まってから、あわてて法律改正なんておかしいですよね。
(*1) スウェーデン中央銀行の創立300年を記念して昭和43年に設けられたもの
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