第186号  上場株式等の譲渡損と配当所得

確定申告が始まります 

昨今は、株式市場の低迷により、株式の売却による損失を蒙る方が多くいらっしゃいます。その損失を少しでもカバーするため、平成21年分からは、少し税制が変わりました。

株式等に係る譲渡所得の赤字の金額は、他の株式等に係る譲渡所得の黒字の金額から控除しますが、その控除をしてもなお控除しきれない赤字の金額は、給与所得など他の各種所得の金額から差し引くことはできません。

配当所得は、原則、事業所得や給与所得などの総合課税の対象となる所得ですが、平成21年分からは、上場株式等に係る配当等(一定の大口株主等が受けるものを除きます。)については、総合課税の対象となる所得に含めないで、7%(住民税とあわせて10%)の税率による、分離課税の配当所得として、選択し申告する特例ができました。

また株式等の譲渡損失の金額のうち、上場株式等の譲渡損失の金額は、上場株式等に係る配当所得の金額(上記の申告分離課税を選択したものに限ります。)から控除することができます。この控除をするには確定申告が必要です。

不動産所得など他の各種所得に係る損失の金額がある場合においては、その各種所得に係る損失の金額は、株式等に係る譲渡所得等の金額及び、分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額から控除することはできません。

上場株式等に係る配当所得についての申告分離課税の選択及び上場株式等の譲渡損失との損益通算は確定申告書に記載することにより行います。



これらの申告を行いたい方は、証券会社からの報告書等、上場株式等の譲渡損失の金額、配当金額、源泉所得金額の分かる書類を提出してください。



上場株式等の譲渡損失の金額が、配当金額を超える場合は、源泉徴収税額が戻る計算になります。

 



 

 


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2010年03月01日