第119号 盗難損失と保険金収入の計上時期 裁決って何!、育児休業期間中の保険料の免除

盗難損失と保険金収入の計上時期

 国税不服審判所では、納税者の正当な権利利益の救済を図るとともに、税務行政の適正な運営の確保に資するとの観点から、先例となるような裁決については、「裁決事例集(冊子)」を作成し公表しています。このたび公表された裁決例から1つの事例をご紹介します。

裁決事例集No.65 損金の帰属事業年度/盗難損失

7月決算のF社は、13年7月に盗難にあった車両に係る盗難損失9,376,000円を損金の額に算入した。保険会社は、13年8月31日付の「保険金お支払のご案内」で、その車両の盗難に係る保険金9,690,000円を請求人に支払う旨通知したので、F社は、翌事業年度の14年7月期に保険金を益金に算入した。
つまり、損失のあった年に費用にして、翌期に保険金が入ったとき収入にしたということです。

裁 決 適正な期間損益の算定という観点からは、企業会計上の費用収益対応の原則に準じて、当該損失と当該保険金との間に対応関係を求めることが、法人税法第22条第4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」によった処理ということになる。したがって、資産に損害保険が付されている場合においては、災害等による損失は、損失額を補てんする保険金の額が確定するまで仮勘定とし、その保険金の額が確定した日の属する事業年度において処理することが妥当である。

裁決は、損失のあった年は仮払いにして、翌期に保険金が入ったとき収入にしなさいということです。


裁 決 っ て 何 !

税務署長等が行った更正・決定などの課税処分、差押えなどの滞納処分等に不服があるときは、まず、税務署長等に異議申立てをします。原則として、処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内にこれらの処分を行った税務署長等に対して「異議申立て」をしてください。

異議申立てを受けた税務署長等は、その処分が正しかったかどうか、あらためて見直しを行います。

 異議申立てに対する税務署長等の決定があった後の処分に、なお不服があるときは、その通知を受けた日の翌日から1か月以内に国税不服審判所長に対して「審査請求」をすることができます。審査請求では、国税不服審判所に手数料など納める必要はありません。青色申告書に係る更正に不服があるときなど異議申立てを経ないで、直接、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる場合もあります。

審査請求を受けた国税不服審判所では、審査請求人の不服の内容を中心に、調査及び審理を行います。 

審査請求に対する国税不服審判所長の裁決があった後の処分に、なお不服があるときは、その通知を受けた日から3か月以内に裁判所に対して訴えを提起することができます。このように国税不服審判所が審査請求を受けたときに決定するのが裁決で裁判所の判決のようなものです。           国税不服審判所HPより


 育児休業期間中の保険料の免除

皆様の会社で、社員が育児休暇を取りたいということはありませんか。

平成12年4月から、育児休業、介護休業等、育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児休業法)によって、1歳未満の子について、育児休業をしている厚生年金保険の被保険者が、社会保険事務所を経由して、社会保険庁長官に申出をした場合、その申出をした日の属する月から、育児休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間について、保険料が免除されます。

(本人負担分と事業主負担分の保険料が免除されます。)なお、この場合の保険料免除期間は、厚生年金保険の保険給付の計算に際しては、保険料拠出を行った期間と同様に扱われることになっています。

  「年金相談の手引き」社会保険研究所発行より




 

 


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2004年08月02日