第08号 使途秘匿金課税制度、フリンジ・ベネフィット、地下鉄サリン事件と保険

風薫る5月です

あちこちで鯉のぼりの親子が楽しそうに泳いでいるのを見かけます。その反面3月に地下鉄サリン事件が起きたと思えば4月19日は横浜駅異臭事件、アメリカのオクラホマシティでは爆発テロが起き物騒な世の中になったものだと憂いております。

さて、税理士事務所は確定申告時期だけが忙しいと思われがちですが、3月決算法人の申告時期である5月も忙しい時期のひとつです。又、法律の改正が3月決算法人から該当することが多いので、その対応にも追われます。

今月はその改正の一部である使途秘匿金課税制度をご紹介します。

使途秘匿金課税制度

平成6年度税制改正により、新たに誕生した制度で

平成6年4月1日以降、支出した使途秘匿金については、実質90%を超える税負担になります。これは、使途不明金が賄賂など不明朗な資金として社会問題になることが度々あったため、使途不明金の抑制・制裁を考慮されてできたものです。

使途秘匿金とは

次の4項目のすべてに該当する支出をいいます。

1.金銭の支出又は、贈与、供与を目的とした資産の引き渡しであること。

2.支出の相手方の記載がないこと。

3.支出先の記載がないことについて相当の理由がないこと。

4.その支出に対価性がないこと。

今後の対応

過去には、取引先の役員や、担当者に金銭や高価な品に贈って、取引にスムーズにしたいといった事が頻繁に行われてきたことは否めません。しかし、今後は注意しなければなりません。

1.相手先は明らかにできますか?

2.対価性はありますか?

3.安易に交際費として処理していませんか?

交際費の10%課税(増刊号に掲載)も同時に始まります。使途秘匿金、交際費については、請求書、領収書などの書類を保管し、支出した相手先の住所氏名等を、明らかにしておいて下さい。

フリンジ・ベネフィット

フリンジ・ベネフィットとは、現金以外のすべての利益で、給与所得者については現物給与をいいます。つまり、次のようなものをいいます。①社宅 ②社員への金銭貸付 ③社用者の個人的利益 ④交際費 ⑤永年勤続者の記念品 ⑥創業記念品等 ⑦自社商品の社内値引販売 ⑧残業食事代 ⑨福利厚生施設 ⑩一定のレクリエーション

企業は、雇用対策や節税対策として、フリンジ・ベネフィットを多く活用してきましたが国内はもとより諸外国においても、課税公平上問題があるとして、フリンジ・ベネフィットに対し課税強化策が打ち出されています。

その手始めとして4月3日、国税庁は、役員社宅についてはその実態を踏まえ、要所の課税の適正化を図るよう、通達を公表しました。

これからは、豪華な社宅に住んでいる役員は、時価評価した家賃を支払わなければなりません。

地下鉄サリン事件と保険

今年に入ってテロ事件が相ついで発生していますが、保険は万全に掛けていますか?保険は充分に入っていれば安心ですが、保険金が高くなれば、毎月の掛金も多くなり負担が大変です。そこで、積立の傷害保険をお奨めします。定期預金の感覚で積立3~10年後に掛金相当額より若干少ない額が戻ります。万一事件に遭遇して保険金を受け取ったとしても、満期には上記の金額が戻ります。保険期間中に何度事故に遭遇したとしても保険金は支払われます。

生命保険は既に掛けていらっしゃると思いますが、傷害保険も合わせて掛けることをお奨めします。詳しくは永嶋事務所までどうぞ。



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1995年05月01日