第340号 令和5年度税制改正

令和5年度税制改正

 昨年12/16 日に、自民党から令和5年度税制改正の案が公表されました。私たち税理士が、以前から気にしていました法律が、いろいろ変わります。その中から変化が大きく気になるものを取り上げます。
(1) NISAの抜本的拡充・恒久化
 資産所得倍増プランの実現に向け、貯蓄から投資への流れを加速し、中間層を中心とする層が、幅広く資本市場に参加することを通じて成長の果実を享受できる環境を整備することが極めて重要であるとの観点からNISA制度の抜本的拡充・恒久化を行う。
 つみたてNISAは、年間120 万円まで、一般NISAは、年間240 万円まで、年間投資上限額は、360 万円となります。一生涯360 万円投資すると高所得者層に優遇することになるため、一生涯にわたる非課税限度額を設け、1,800 万円になります。
 現行の一般NISAおよびつみたてNISAについては、令和5 年末で買付を終了することとするが、非課税口座内にある商品については、新しい制度における非課税限度額の外枠で、現行の取扱いを継続する。
(2) 暦年贈与における相続前贈与の加算
 現行、相続開始前3 年以内に受けた贈与は、相続財産に加算することとなっている。暦年課税においても、資産移転の時期に対する中立性を高めていく観点から、相続財産に加算する期間を7 年に延長する。その際、過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減する観点から、延長した期間(4 年間)に受けた贈与のうち100 万円については、相続財産に加算しないこととする。
(3) インボイス制度 免税事業者の負担軽減
 インボイス発行事業者の登録申請件数が、令和4 年11 月末日現在約200 万者となっている。この中には、これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を、売上税額の2 割に軽減する3 年間の負担軽減措置を講ずる。これにより、納税額の激変緩和を図る。この措置により、簡易課税制度の適用を受ける場合に比べて、更に事務負担が軽減される。
(4) インボイス制度 事業者の事務負担
インボイス制度の定着までの実務に配慮し、一定規模以下の事業者の行う少額の取引につき、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6 年間の事務負担軽減策を講じる。加えて、振込手数料相当額を値引きとして
処理する場合等の事務負担を軽減する観点から、少額の返還インボイスについて交付義務を免除する。
(5) マンションの相続税評価について
 マンションについては、市場での売買価格と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケースが見受けられる。現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もある。適正化を検討する。
(6) 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
 我が国の防衛力の抜本的な強化を行うに当たり、歳出・歳入両面から安定的な財源を確保する。令和9年度に向けて複数年かけて段階的に実施することし、令和9 年度において、1 兆円強を確保する。
 法人税
法人税額に対し、税率4~4.5%の新たな付加税を課す。中小法人に配慮する観点から、課税標準となる法人税額から500 万円を控除することとする。
 所得税
所得税額に対し、当分の間、税率1%の新たな付加税を課す。
 防衛力強化に関する法律の施行時期は、令和6 年以降の適切な時期とする。


 
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2023年01月01日