第266号 1,000万円以上の固定資産の取得

1,000万円以上の固定資産の取得

 平成28年4月1日以後に、消費税の課税事業者が、消費税の原則計算による課税期間中に、1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産で高額特定資産とされる資産を取得した場合には、その高額特定資産を取得した日の課税期間から、取得した日から3年を経過する日の課税期間まで、免税制度及び簡易課税制度を適用しないこととされました。
消費税の課税については、売上の消費税額から支払の消費税額を控除してその差額を国や都道府県へ納付するのが原則ですが、課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されますし、課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、実際の支払税額を計算することなく、みなし仕入率で計算を行うことができます。みなし仕入率を使う方が有利の場合は、簡易課税、不利な場合は原則課税を選択します。
また、免税制度や簡易課税制度の判断は、前々年の売上によって判断されます。免税制度をやめたり、簡易課税制度を選択するには、その課税期間の前日までに届出書を税務署に提出しなければなりません。会社を設立した年は、その課税期間終了の日までで良いとされています。
高額なビル等を建てた事業者が、これらの規定をうまく利用して、あの手この手で、消費税を還付してもらいました。そのため、いたちごっこのように、毎年消費税法が変更になりました。
「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき1,000万円以上の棚卸資産、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権等をいいます。また自社で建設する場合は、自己建設高額特定資産といって、別に規定がありますので、1,000万円以上資産の取得を予定した場合は、あらかじめ永嶋税理士事務所へご連絡ください。
経過措置として、平成27年12月31日までに締結した契約に基づき、平成28年4月1日以後に高額特定資産の仕入等を行った場合には、上記規定は適用されません。また、平成22年度改正は、新設法人が対象でしたが、この度は既存の法人でも条件が合えば適用になります。
売上が常に5,000万円超の会社は、原則課税ですので、こういう問題はありません。

◎ なお、平成元年4月に消費税が導入されたとき、簡易課税制度の選択適用できる事業者は、売上高が5億円以下の会社でした。その後平成3年改正で4億円、平成6年改正で2億円、平成15年改正で5,000万円になりました。売上げが5,000万円を超える事業者でも、以前に簡易課税制度を選択して届出書を提出している会社が多数あると思います。そのままになっていますと、5,000万円以上の売上が続く限り、原則課税に自動的になります。ご自分の会社の消費税について、10年以上も前に提出した届出書で管理されるのは、担当者が代わったり、忘れたりでわからなくなることがあるかもしれません。その心配をなくすために、永嶋税理士事務所では、こういう会社には、『消費税簡易課税制度選択不適用届出書』を提出することをお勧めしています。


 


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2016年11月01日