欠損金の繰越控除
確定申告書を提出する内国法人の各事業年度開始の日前、七年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額(この規定によりその事業年度前に既に損金の額に算入されたもの、及び欠損金の繰戻しによる還付の計算の基礎となったものを除きます。)がある場合には、その欠損金額に相当する金額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます。
欠損金の繰越控除ができる法人は、欠損金額が生じた事業年度において、青色確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について、連続して確定申告書を提出している法人です。
欠損金額が生じた事業年度において青色申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、この繰越控除の規定が適用されます。
欠損金の繰戻しによる還付
内国法人で、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合(一定の場合を除く。)には、その法人は、その申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、その「欠損事業年度」開始の日前一年以内に開始した事業年度の所得に対する法人税の額(附帯税の額を除くものとし、税額控除の規定により控除された金額がある場合には、当該金額を加算した金額とされます。)に、その「還付所得事業年度」の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求することができます。
一言で言うと、当期の欠損と前期の所得を相殺できるということです。
この規定は、次の①から③のすべての要件を満たしている場合に適用されます。
① その内国法人が還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色確定申告書を提出していること
② 欠損事業年度の青色確定申告書をその提出期限までに提出していること
③ ②の申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出していること
ただし、税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合でも還付請求は認められます。
また、税務署長は、還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となった欠損金額、その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした内国法人に対し、その請求に係る金額を限度として法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知します。
繰戻しによる還付の停止
欠損金の繰戻制度は、平成4年4月1日から平成22年3月31日までに終了する事業年度で生じた欠損金について、解散・事業の全部譲渡・設立5年以内の中小企業者などを除いて、その適用が停止されています。
平成21年度与党税制改正大綱で、中小法人に限って、この繰戻しによる還付の停止が解かれそうです。
ただし、繰戻しによる還付請求をした場合、上記に書いたように、必ず税務調査があります。停止になる以前は、繰越控除に比べ、この制度は利用が少くなかったと聞いています。誰でも税務調査は嫌いなのでしょうね。
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