第167号 ふるさと納税、後期高齢者医療制度と社会保険料控除

ふるさと納税

平成20年5月1日からふるさと納税がスタートしました。日経の7月26日の新聞記事によると、ふるさと納税を知っている人は65%で、その中で利用したい人は18%とのことです。

ふるさと納税とは、自分の住民税の一部を、現在住んでいる自治体だけでなく、ふるさとなど希望する他の自治体(都・道・府・県・市・区・町・村)に寄付という形で納めることができるものです。以前から、故郷のために支払いたいという納税者の声により創設された制度です。

しくみ

① 希望する自治体へ寄付をする
② 寄付した自治体より寄付金の領収書 受け取る
③ 寄付した年の翌年3月15日までに②の領収書をつけて所得税の確定申告を行う
④ (年間寄付金額-5,000円)×所得税率

上記所得税の還付金が振り込まれる

⑤ (年間寄付金額-5,000円)×10%
⑥ (年間寄付金額-5,000円)×(90%-所得税率)

上記⑤+⑥の金額が、寄付した年の翌年の住民税から税額控除される

但し上限あり

⑦ ⑥≦寄付年の翌年の個人住民税所得割額の10%
⑧ 寄付金額は、総所得金額の30%以下

所得税率は5%から40%と個人の所得金額によって異なりますが、住民税額の控除のときに調整されますので、結果ご自分の住民税の限度内であれば、年間に何度、何回寄付しても寄付した合計金額から5,000円を控除した金額が戻ることになります。ということは、実質5,000円は寄付してくださいとのことなのです。所得税は還付、住民税は翌年の税額から控除という形になります。

税額控除できる金額は、⑦、⑧の限度額があります。因みに独身の年収500万円のサラリーマンの場合、30,000円寄付したときは25,000円戻りますが、50,000円寄付した場合は、35,100円しか戻りません。(総務省資料)

寄付を受けたい全国の各自治体は、5,000円以上寄付した場合には5,000円分の特産品を送りますとか、あの手この手を駆使して、寄付金集め合戦を開始しました。

(宮崎県HPより) 各自治体が、 税金を納めてもらうため、少しでも魅力ある自治体を創ろうと切磋琢磨し、結果、地方が活性化する効果も期待できる。


後期高齢者医療制度と社会保険料控除

所得税・個人住民税の社会保険料控除については、居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った人に社会保険料控除が適用されます。

今年4月から実施されている後期高齢者医療制度は、原則としてその保険料が年金から特別徴収されています。この場合、その保険料を支払った人は年金の受給者自身であるため、その年金の受給者に、社会保険料控除が適用されます。

今回の後期高齢者医療制度の見直しにおいて、法律の改正により、今年の10月以降の保険料について、市区町村等へ一定の手続を行うことにより年金からの特別徴収に代えて、被保険者の世帯主又は配偶者が口座振替により保険料を支払うことを選択することができるようになりました。

この場合には、口座振替によりその保険料を支払った世帯主などに社会保険料控除が適用されます。
このように、年金から特別徴収された場合と、世帯主又は配偶者が口座振替により支払う場合では、社会保険料控除の適用される者が変わるため、世帯全体で見たときの所得税・個人住民税の負担額が変化する場合がありますので、ご注意ください。

「自己と生計を一にする配偶者その他の親族」に該当するかどうかの判定時期については、社会保険料を支払った時点で判定して差し支えありません。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

 

 

 


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2008年08月01日