第120号 永嶋税理士事務所通信10周年 税制実態調査団に参加して どうする中小企業のこれから

永嶋税理士事務所通信10周年

永嶋税理士事務所通信は、平成6年10月1日に創刊号を発行してから 早10年、今回で記念すべき120号になりました。これはひとえに皆様方の応援があればこそ達成できたものと、心よりお礼申し上げます。
これからもどうぞよろしくご愛読のほどを。

税制実態調査団に参加して  

7月1日から11日まで、日本税務会計学会学会長山本守之先生はじめ岩下忠吾先生、多田雄司先生の主催する、イギリス、アイルランド、スコットランドの制度と税制実態調査団に同行しました。イギリスロンドンでは、内国歳入庁・監査法人での視察、アイルランドダブリンでは、財務省・政府産業開発庁での視察、スコットランドのエジンバラでは、行政府、グラスゴーでは、国際開発公社での視察を行いました。視察のない日は、移動と勉強会を行うハードなスケジュールでした。

さて、主要国(米英独仏)においては、法人でないパートナーシップのような組織を利用して活動する傾向にあります。アメリカのLLCが有名ですが、イギリスでも2000年にLLP(有限責任パートナーシップ)制度を導入しました。わが国においても、商法を改正して、日本版LLC制度である「合同会社」を導入することが検討されています。

―― 「イギリスLLP課税制度」――

LLPは、有限責任の人的法人制度です。人的法人制度って何だか難しそうですが、法人なのに、個人の集まりとしてみてくれる団体、と考えると分かり易いかも知れません。利益の分配は、LLPの構成員の出資割合だけではなく、技術の提供割合など、定款で定めることができるのが特徴です。株式会社等と異なり、高い技術や指導力があれば、資本力の乏しい者にも大きな利益を得るチャンスがあります。税制面では、パススルー課税で、LLP法人には課税されずに、LLPの構成員に対して課税されています。構成員が個人の場合は、その個人に対して所得税が、構成員が法人の場合はその法人に対して法人税が課されます。LLPの構成員は、有限責任(出資範囲でしか責任を負わない。)を享受するかわりに、商業登記と決算報告の公告の義務を負っています。

アメリカでは人的組織の再評価が始まり、既に100万社のLLCが創設されているとのことです。



平成16年7月25日の日経新聞より

 合同会社制度を創設

「法制審議会は、出資者が出資範囲でしか責任を負わない株式会社と、出資比率に関係なく利益を分配できる組合組織を折衷した、「合同会社」(仮称)の新設を打ち出す。米国の会社形態であるLLCがモデルで、ベンチャー起業を促す狙い。法務省が来年の通常国会に提出する新しい会社法案に盛り込み、2006年施行を目指す。合同会社は、利益分配や意思決定などの方法が定款で自由に決められるため、高い技術がある研究者や指導力を持つ経営者らを呼び込める。金融や不動産、サービス業など人材が重要な分野を中心に創業している。



どうする! 中小企業のこれから 

法制審議会は、有限会社を廃止する方針を固めており、新会社法のもとで、会社は「株式」「合同」と、「合名」「合資」の4分類になりそうです。それに伴い中小の株式譲渡制限会社(因みに永嶋事務所の顧問先の株式会社はすべてこれに該当します。)については、規制を緩和して、取締役会や監査役の設置義務を撤廃する見込みです。最低資本金1円、最低取締役の員数1人、役員の任期最大10年、その他「会計参与制度」の問題など気になることが山積しています。これからの商法改正審議を見守っていきたいと思います。



 

 


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2004年09月01日