第338号 加算税の加重措置

 

 令和4年度税制改正により、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履⾏を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑⽌するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられました。
 そこで国税庁は、令和4年10月に帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関する Q&Aを発表しました。
 令和4年 10 月 25 日現在の法令等に基づき作成しています。

その中から一部掲載します。
 1年間に生じた所得や課税期間における課税標準を正しく計算して申告するためには、日々の取引の状況を記帳し、帳簿や書類を一定期間保存する必要があります。
 記帳に当たっては、会計ソフトを利⽤することにより、日々の取引内容を入⼒するだけで、複式簿記による帳簿でも簡単に記帳することができますので、会計ソフトを利⽤した帳簿の作成をぜひご検討ください。


 記帳義務の適正な履⾏を担保するため、申告所得税、法人税・地⽅法人税、消費税の税務調査において、税務職員から「売上げ(業務に係る収入を含む。)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められ、かつ、次のいずれかに該当する場合には、帳簿に本来記載等をすべき事項に関する申告漏れ等に対して課される通常の過少申告加算税・無申告加算税(以下①〜③において「過少申告加算税等」といいます。)の割合が 10%又は5%加重されることとなりました。
 ① 帳簿の提示等をしなかった場合
   ⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。
 ② 帳簿への売上⾦額の記載等が、本来記載等をすべき⾦額の2分の1未満だった場合
   ⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。
 ③ 帳簿への売上⾦額の記載等が、本来記載等をすべき⾦額の3分の2未満だった場合

      (②を除きます。)
   ⇒ 過少申告加算税等の割合が5%加重されます。

 (注) 申告所得税、法人税・地⽅法人税、消費税の本税の割合が加重されるものではありません。

 

(参考)手書きで帳簿を作成しようとすると、手間がかかるだけではなく、計算誤り等も発生しやすくなります。この点、会計ソフト等を利⽤することで、よりスムーズに、間違いが少ない形で帳簿を作成することが可能です。記帳義務の適正な履⾏に向け、その利⽤をぜひご検討ください。


 私は、国税庁が、複式簿記で記帳を勧めていることは、以前から承知していますが、会計ソフトを使って記帳することを勧めていることにびっくりしました。が、これからの時代は、事業者が簿記の勉強をしなくても、会計ソフトで入力すればある程度は損益をつかむことができることを国税庁は推奨していると思いました。しかし、税理士の補助なしでは難しい場面が出てきます。税理士は、事業者のどんな質問にも答えられるように、今まで以上に勉強する必要があると改めて認識しました。

 

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2022年11月01日