第355号 確定申告を終わって、贈与税の配偶者控除、令和6年公示地価

確定申告を終わって

 先月の通信で、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を書きました。
 最近マンションの取引価格が上昇しているためか、住んでいた家を売却し新しい住宅を購入して住みかえる方が増加しているようで、短期間でかなりの利益が生じ、居住用財産の3,000万円特別控除を適用された方がいらっしゃいました。
 購入されたときに、ご夫婦で共有名義にされていらした方は、ご夫妻それぞれが3,000万円の控除が受けられましたが、ご主人だけの名義の方は、3,000万円のみの控除でした。3,000万円控除があると、

長期譲渡所得で3,000万円×20.315%=6,094,500円、

短期譲渡所得で3,000万円×39.63%=11,889,000円

税額が下がります。大変な減税になります。
 また、将来家を空き家にして老人施設に入ってから配偶者の相続があったときやその後に譲渡した場合、その他いろいろなことを考慮した場合、共有名義にしておいた方が良いかと思います。
 これから居住用の家を購入する方には、もちろん共有名義をお勧めしますが、現在ご主人だけの名義になっていらっしゃる場合は、贈与税の配偶者控除を適用して贈与することをお勧めします。

贈与税の配偶者控除

 夫婦間で居住用不動産を贈与した配偶者控除婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで課税価格から控除できるという特例です。
 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることが要件です。
 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、翌年3月15日までに、贈与税の申告をすることが必要です。
添付書類
(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本または抄本
(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
 なお、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価した評価明細書などの書類の提出をお願いします。
 土地・建物の登記事項証明書については、贈与税の申告書に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます。贈与税の配偶者控除は、2000万円までは全く無税ということではなく、不動産取得税3%と登録免許税2%がかかります。相続の場合は不動産取得税はかからず、登録免許税も0.4%です。その上、司法書士に手数料もかかります。

 しかし、土地については、贈与税の課税価格は、路線価評価なので、一般的には、2,000万円に5%がかかるのではなくもっと低い金額とは思います。
私は、それでも贈与したほうが良いと思います。

 

 

 

令和6年公示地価

最近マンションの取引価格が上昇しているためか、住んでいた住宅を売却し新しい住宅を購入して住みかえる方が増加しているようで、短期間でかなりの利益が生じることもあるようです。
居住用財産を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から、最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。
特例の適用を受けるための要件
1.住まなくなった日から3年を経過する日の属する 年の12月31日までに売ること。
2.売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でない こと。
3.売った年の前年および前々年、翌年、翌々年に 3,000万円の特別控除の特例や、その他居住用財産関係の特例の適用を受けないこと。
∴ 令和5年分の申告で3,000万円の特別控除の特例の適用を受ける場合は、令和4年分、令和3年分および令和6年分、令和7年分の申告で3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることはできません。
4.またローン控除については、3,000万円の特別控除の特例の適用を受ける場合は、売った年、翌年、翌々年に住宅ローン控除の特例の適用を受けられません。


今回売却された住まい以外の居住用財産について、住宅ローン控除を受けている場合で、3,000万円の特別控除の特例の適用を受ける場合は、その譲渡した日の属する年分の確定申告期限までに、その前3年以内の各年分の所得税について修正申告書を提出し、かつ、その期限までに修正申告の税額を納付しなければならないこととされています。
今回売却された住まいについて、住宅ローン控除を受けてた場合、3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることはできますが、新しく購入した居住用財産について、上記4に書いたようにローン控除はできません。


マイホームを売却した場合の特例
(3,000 万円の特別控除(措法35条①)・軽減税率(措法31条の3))
居住用財産のチェックリスト
https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/topics/joto_zoyo_r05/pdf/03.pdf 

 

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2024年04月01日