第351号 インボイスの経理、電子取引データの保存方法

インボイスの経理

インボイス制度が10月から始まりましたが、実際に税理士事務所に書類が届くのは、早い会社でも11月になります。請求書や領収書を調べると、インボイス番号のないものが、結構あります。原則課税の会社や個人事業者の場合、その分の消費税を負担しなければなりません。仕入先、外注先、駐車場等に多く見受けられました。今後、このような場合の対策を考えなければならないと思います。

 

電子取引データの保存方法

電子帳簿保存は、2022年1月1日から施行されていますが、今月末までは宥恕規定があり、対応していない法人・個人が多いのが実情です。来年1月からは、宥恕規定が無くなるので、ちょっと心配していましたが、案の定、期限ぎりぎりの11月17日に国税庁から『システム導入が難しくても大丈夫!!令和6年1月からの電子取引データの保存方法』公表されました。
この法律は、電子取引がある場合についてなので、電子取引のない場合は、今まで通り紙の保存で大丈夫です。しかし、昨今では電子取引が全く無く、すべて紙だけというケースも少ないと思われます。例えば一部の会社からの請求書がデータでくる場合や、Amazonから購入した場合の請求書や領収書などの取り扱いをどうするのか?
こういう電子データは電子データとして、一定のルールのもと、貴社等のパソコンやサーバーに保存します。その上で、電子データをプリントアウトして、日付及び取引先ごとに整理して頂き、いつでもダウンロードが可能であるようにしておきます。
国税庁のコメントでは、可視性の確保と真実性の確保が必要となっています。
可視性の確保では、パソコンのモニターとその操作マニュアルがあり、すぐに検索できるように要件を充足していること、真実性の確保では、事務処理規程を制定しておくことが書いてあります。
可視性の確保の検索要件の充足が、今までは、例えばエクセルで索引を作成したり、規則的なファイル名をつけたりすると言われていましたので、完璧にこなすには、結構煩わしいとかハードルが高いと思っていました。
しかし、今回の発表では、電子データをプリントアウトして、日付及び取引先ごとに整理して置き、調査の時、税務署から電子取引データのダウンロードを求められたときにダウンロードができるのであれば、検索要件は充足してなくても大丈夫になりました。
その上、前々年の売上高が5,000万円以下の法人・個人の場合は、パソコンのモニターとその操作マニュアルがあるだけで可視性の確保になります。
事務処理規程の制定は、国税庁のHPにサンプルがありますので、作成すればよいと思います。
電子データの保存期間も申告書の提出期限から7年になっています。パソコンを買い替えたりしたときに、データが紛失しないよう、パソコンの外付けハードディスクなどに、バックアップするのも必要でしょうね。

 

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2023年12月01日