農地等相続税の納税猶予制度改正
平成21年度税制改正の中に、農地等に係る相続税の納税猶予制度等について、以下のとおり見直しを行うとあります。これは、我が国の食料及び農業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、国民に対する食料の安定供給を確保するため、農地について耕作者自らが所有することを最も適当としてきた制度を改め、将来にわたって国内の農業生産の基盤である農地の確保及びその有効利用が図られるよう、農地の転用に関する規制の強化、農地の権利移動についての許可基準の見直し、遊休農地の農業上の利用の増進を図るための措置の充実、農地の利用集積を円滑に実施するための事業の創設等の措置を講ずる必要があるとの、立法趣旨により、見直されたものです。
⑴ 市街化区域外の農地等に係る相続税の納税猶予について、
次の措置を講ずる。
① 改正後の農業経営基盤強化促進法の規定に基づき貸し付けられた農地等についても納税猶予の適用を認める。
② 本制度の適用を受ける者について、20 年間の営農継続により猶予税額が免除される措置を廃止する。
③ 猶予期間中に身体障害等のやむを得ない事情により営農継続が困難となったときは、農地等の貸付け(営農の廃止)をした場合でも、納税猶予の継続を認める。
④ 災害・疾病等のやむを得ない事情のため一時的に営農できない場合について、営農継続をしているものとする取扱いを明確化する。
⑤ 納税猶予適用者(20 年間の営農継続により猶予税額が免除される者を除く。)が、特例適用農地等の譲渡等をした場合に納付する猶予税額に係る利子税については、税率を年3.6%(現行年6.6%)に引き下げる。
⑥ 農用地区域内の特例適用農地等を改正後の農業経営基盤強化促進法の規定に基づき譲渡した場合については、総面積の20%を超える譲渡についても、納税猶予の取消事由としない(譲渡した割合に応じた猶予税額及び利子税を納付する)。
⑵ 市街化区域内の農地等に係る相続税の納税猶予
について、上記⑴③から⑤の措置を講ずる。
⑶ 納税猶予の取消事由となる「耕作の放棄」についや、農地等に係る贈与税の納税猶予等について、所要の見直しを行う。
なお、同日前の相続又は遺贈について農地等に係る相続税の納税猶予の適用を受けている者については、上記⑴③から⑥までを適用する。ただし、当該者も選択により、上記⑴①の適用ができることとし、その場合には、上記⑴②及び⑶も適用する。
(注)上記の改正は、農地法等の一部を改正する法律の施行の日以後の相続若しくは遺贈又は贈与について適用しますが、現在、衆議院しか通過していないので、参議院で成立後になります。
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