阪神大震災
1月17日に阪神大震災が発生し、被災者の皆様には心からお見舞い申し上げます。被災者の皆様にとって、怪我や精神的な苦痛はもちろんのこと、財産をなくされ大変にお困りのこととお察し致します。そこで、今回は災害救助等の義捐金の取扱い、及び災害を受けた納税者の救済措置についてお知らせします。
Ⅰ.義捐金と寄付金
個人が特定寄付金を支出した場合には、一定の算式により計算した金額をその年分の所得から寄付金控除として控除を受けることができます。又法人の国又は地方公共団体に対する寄付金及び指定寄付金は、その全額を損金に算入することができます。
特定寄付金とは、次に揚げるものをいいます。
① 国又は地方公共団体に対する寄付金
② 公益法人等に対する寄付金で大蔵大臣が指定したもの
③ 日本赤十字社その他の特定法人に対する寄付金等で一定の寄付金
※ 今回の震災の特別措置として、次のものは、③の寄付金として取り扱われます。
日本赤十字社に協力する募金団体(NHKその他の報道機関や民間の慈善事業団体)に対してきょ出した義捐金
この制度の適用については、個人の場合は、特定寄付金の受領書を確定申告に添付することが要件とされ、又法人は、確定申告に記載し、寄付金明細書を添付することが要件です。
Ⅱ.災害を受けた納税者の救済措置
租税の減免等
個人
1災害減免法による租税の減免
災害により住宅・家財について甚大な被害(住宅等の価格の10分の5
以上の損害)を受けたものでその年の所得金額が軽減又は免除されます。
2所得税法による所得控除等
災害等により被害を受けた場合には、所得税法上の雑損控除、資産損失の必要経費算入、他各種の控除の規定の適用を受けることができます。
法人
被災資産の評価損の損金算入、青色申告の、欠損金の繰越し、
災害による損失金の繰越し他の規定の適用を受けることができます。
6年分の確定申告で控除
阪神大震災の所得税や住民税の減免措置をもろ込んだ税制関連法案が、2月17日の参院本会議で可決、成立しました。これで震災によって住宅や家財などに被害を受けた場合、その被害額を「雑損控除」として6年分の所得から控除することが認められることとなりました。又事業用資産に被害を受けた場合は、その被害額を6年分の事業所得の計算上、必要経費に算入することが認められることとなりました。
この法律は2月20日に公布、執行されました。給与所得者は、年末調整によって納税が完了していますので、確定申告によって還付を受けることができます。
被災社員へのお見舞金は福利厚生費
被災した自社の役員や社員へのお見舞金は、一定の基準で、全被災社員に支払われる場合に限って、給与課税は生じないで、福利厚生費として取り扱うことができます。
被災取引先へのお見舞金又は交際費以外の損金
国税庁は今回の災害の大きさから、得意先、仕入先、子会社などに対して支出するお見舞金等は、交際費には該当せず、単純損金算入を認めることを決定しました。
上記のほか源泉所得税・相続税等についても減免措置がありますし、申告期限の延長や納税の猶予などの特例もありますので、詳しくお知りになりたい方は、等事務所までご連絡下さい。
永嶋税理士事務所通信の内容についてご質問ご意見のある方はご連絡下さい。
過去の永嶋税理士事務所通信をご覧になる場合は、こちらをクリックして下さい。