政治学・国家論

プラトンの呪縛
佐々木毅
(講談社)
現代アメリカの保守主義
佐々木毅
(岩波同時代ライブラリー)
現代の国際政治
高坂正尭
(講談社学術文庫)
平和と危機の構造―ポスト冷戦の国際政治
高坂正尭
(日本放送出版協会)
民族問題入門
山内昌之
(中公文庫)
民族と国家
山内昌之
(岩波新書・新赤)
リヴァイアサン
近代国家の思想と歴史

長尾龍一
(講談社学術文庫)
市民のための自治体学入門
新藤宗幸
(ちくま学芸文庫)
ドキュメント・プーチンのロシア NHKスペシャルセクション
山内聡彦
(NHK出版)
以前にNHKスペシャルで放映した「ドキュメント・ロシア」<前編 プーチン 権力への階段><後編 プーチン 苦渋の決断>という番組の内容に他の機会に取材した内容を加えてまとめた本です。
400ページもあるのですが、番組などの取材を中心に構成されているので、NHKスペシャルのようなドキュメンタリー番組を見ているような感覚で非常に読みやすいです。KGB出身の政治界では無名に近かったプーチンが権力の座に就くまでの逸話、領土問題をめぐる対日政策、米国でのテロ前後での対米協調路線など興味深い話が満載で、ロシアの現在を知り未来を考えるのに必要な最低限の知識は網羅できるでしょう。
市町村合併
佐々木信夫
(ちくま新書)

全国各地で市町村合併に関する動きが活発ですが、2005年までの財政上の優遇措置や中心地を巡る主導権争いなどばかりが目立ち、なかなか本質的な議論が見えてこない気がします。本書は昨今の市町村合併の経緯や背景をコンパクトに解説しており、いったい市町村合併とは何であって、何を目指すべきか、そして<志の高さ>の重要さについて考えさせられます。21世紀の日本にとって、この地方自治制度改革はかなり重要な意味を持ち、住民も真剣に受け止める必要があると確信しました。

現代イラン―神の国の変貌
桜井啓子
(岩波新書 新赤版 (742))
イラン革命からハタミ大統領再選までのまさに『現代イラン』を、7つのテーマからその実態を浮き彫りにしている力作です。この類いの本はジャーナリスティックな観点から書かれたものが多く、表面的な事実の記述に終始しているケースが多いのが現実です。しかし、本書の著者は女子神学校にも入学しており、そういった生の体験を通じて描き出された、「内側」からのイランの姿をとてもリアルに感じましたし、私の中で持っていたイラン像というものがかなり変わりました。文化・社会だけでなく国際政治という観点からも、恰好のイラン入門書だと思います。
物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国
黒川祐次
(中公新書)
肥沃な黒土の穀倉地帯、旧ソ連で最大の重工業地帯と恵まれた環境にあったが故に、逆になかなか独立国家を確立できなかったウクライナ。こうして見てみると、ウクライナという地域で起こった数々の事件のヨーロッパ史における重要性を再認識できると同時に、ウクライナの歴史はロシア・ソ連の歴史そのものであったと確信させられます。著者の方は現役大使の方で、文章も平易で記述のバランスがよく気軽に安心して一気に読めますし、新書の特性を生かした好企画だと思います。ウクライナに関心ある方、旅行を予定してる方、ちょっとでもロシアに興味のある方にも、一読をお奨めしたい一冊です。
クルド人もうひとつの中東問題
川上洋一
(集英社新書)
「クルド人」を中心に据えた中東の通史です。クルド人問題は、中東問題を論じるのに避けて通ることが出来ませんが、クルド人の関与した事件にクルド人という表現をこれまで必ずしも使っていなかった気がします。それに加えて、トルコ、イラン、イラク、シリアの各国の利害関係、各政党間の内ゲバ的な闘争、そして欧米諸国の様々な思惑などが絡み合い、問題が複雑になっています。本書は、ジャーナリスティックな視点ながら、そんな絡み合った糸を解きほぐして、クルド問題の全体像を浮き彫りにしています。
新書という手軽なフォーマットとして、今までありそうでなかった企画だけに、クルド人問題を知りたい人には是非オススメの一冊です。
都市の魅力学
原田泰
(文春新書)
著者は官庁エコノミストとしても有名な方ですが、本書では都市の発展史から説き起こし、シャウプ地方財政・税制改革の問題点を鋭く指摘し、都市問題や地方分権のあり方について問題提起しています。「三位一体改革」と昨今では呼ばれている地方財政と税制の問題について的確かつ平易に解説しており、それらについての一般論に関する最適な入門書としてだけではなく、今日の問題を考えるに当たっても座標軸となる視点も提示しており、興味のある方は読んで損はないです。是非とも一読をオススメします。

cover 統計でみた選挙のしくみ 日本の選挙・世界の選挙
西平重喜
(講談社 ブルーバックス)
日本憲法思想史
長尾龍一
(講談社学術文庫)
明治憲法、日本国憲法をめぐる代表的な学者、学説、様々な議論をまとめたもの。特に学者の伝記での資料的価値は貴重です。
絶版本を投票で復刊! パルチザンの理論
カール・シュミット(著)
新田邦夫(訳)
(ちくま学芸文庫)

ユダヤ人問題、ケルゼンの敵、第二次大戦の戦争責任などであまりよいイメージのないカール・シュミットの手による戦争論・政治論。 <パルチザン>による戦闘は近代世界の敵概念に大きな変容をもたらしたと主張しています。 これは、立場的に正反対にあるベンヤミンとかなり類似した問題意識によるものであり、シュミット擁護者および批判者ともに必読の書です。特に、NYテロ事件の問題を深く考えるのにも有効だと思います。