法律
いわゆる法律書だけに限らず、広い意味で法律に関する書籍を紹介します。比較的有名な教科書の類いまで含まれてるかもしれませんが、ご参考までに。
憲法
リヴァイアサン
近代国家の思想と歴史

長尾龍一
(講談社学術文庫1994/09)

近代国家論を語る上で欠かすことの出来ないホッブズ、ケルゼン、C.シュミットといった思想家に焦点を当て、国家論史について書かれた論文集です。憲法学・国法学についての知識のみならず、ケルゼン、C.シュミットの伝記としても楽しめます。
日本憲法思想史
長尾龍一
(講談社学術文庫1996/11)

我が国の憲法の法理論・立法の経緯から法哲学での論点まで幅広く論じられており、明治憲法、日本国憲法をめぐる代表的な学者、学説、様々な議論をがまとめられております。特に学者の伝記での資料は特筆もので、主張する立場はともかく、憲法論について知りたい初心者の方に是非一読をお薦めします。 
憲法問題入門
長尾龍一
(ちくま新書 1997/09)

日本国憲法での基本的な問題や各種議論をまとめた入門書。岩波新書の宮沢俊義氏の入門書とともに憲法の格好の入門書としてお勧めします。
憲法
樋口陽一
(創文社)

憲法の優れた解説書であるとともに、憲法が歴史や時代背景の中でどう存立したかということを深く考えさせられます。高価でとうとう買えずに大学図書館でよく読んだ思い出のある「比較憲法」や岩波新書の「比較のなかの日本国憲法」、「自由と国家」、「憲法と国家」3作などもお勧め。
憲法
佐藤幸治
(青林書院)

今では司法試験改革で有名な京都学派の佐藤幸治によるテキスト。立憲民主主義の理念を実現する為の司法の機能を強調しており、憲法訴訟に関する論文も多数書いており、憲法訴訟に関する様々な概念や理論をまとめた功績は大だと思いますね。ただ、文章として難解な部分も多く、どこから自説でどこから一般的記述なのか分かりにくい所があるので、根気が必要です。 「憲法訴訟と司法権」、「現代国家と司法権」 なども要チェック!
憲法
芦部信喜
(岩波書店)

京都学派の佐藤幸治氏に対して、憲法の究極根拠を「個人の尊厳の尊重」に置くなど、宮澤俊義の流れを汲む東京学派の芦部信喜による憲法のテキストです。元々は放送大学でのテキストを発展したものです。数年前に逝去されてしまいましたが、分量の割に触れている内容が非常に広範で、個人の尊厳を究極的価値に機関や人権をとらえる芦部憲法学がコンパクトにまとめった好著です。初学者にもお勧めできるスタンダードなテキストです。
参考図書は俗に三部作といわれる"現代人権論"、"憲法訴訟の理論"、"憲法訴訟の現代的展開"、など。
憲法学
芦部信喜
(岩波書店)
法学教室に連載していた「憲法講義ノート」をまとめた芦部憲法学の集大成。執筆途中に逝去されたため、未刊の全3巻となっています。芦部氏の著編書は判例や歴史的経緯の記述が詳細なものが多く、本書も例にもれず判例や内外の文献が豊富に盛り込まれているので、憲法を本格的に勉強しようという方は、必携の一書です。
日本国憲法
橋本公亘
(有斐閣)
内容的にはやや古いが、国家論や基本的人権の内容(特に判例のフォロー)は充実している。最高裁判事に任命されたいがために自説を枉げたと謂われた悪評高き憲法変遷論は有名ですな。
民商法、経済法
独占禁止法(第二版)
金井貴嗣
(青林書院 2000/03)
独禁法の法制度、判決・審決を平易に解説しています。なお、新版では平成11年までの法改正、新運用ガイドラインをフォローしています。
経済法
金井貴嗣 他
(有斐閣 1999/02)
独占禁止法のみならず経済規制法もまで解説しています。
民法講義
我妻榮
(岩波書店)
民法学の泰斗である我妻榮氏の手による民法学の体系書。なんだかんだ言っても、戦後の民法学は我妻民法学の本流・亜流に支配されているだけなので、辞書代わりとしての効用はいまだに色褪せる事はありません。でも、どっちかというとインテリアとしての使い道の方が.....
近代法における債権の優越的地位
我妻榮
(有斐閣)
資本主義経済における債権法のあり方を論じた論文集。和洋を問わない法制史や法哲学の造詣の深さも感じられます。
法律における理窟と人情
我妻榮
(日本評論社1987/09)
講演録をまとめたもの。法律における一般的確実性と具体的妥当性の調和を論じた表題作など必読っすね。
民法案内
我妻榮
(一粒社)
もともと法政の通信教育用のテキストをまとめたものだが、具体的な話を織り交ぜて、本質的なな論点までさらりと触れる所など、さすが。シリーズ1(私法のみちしるべ)は鳩山元首相との東大でのトップ争いなどの逸話は面白い!
民法1〜3
我妻榮
(一粒社)
所有権法の理論
川島武宜
(岩波書店)
我妻氏の「債権の優越的地位」とは対極的に、私的所有権を中心に据え、近代市民法の構造の解明をした著作。法社会学のアプローチに興味があれば、「日本人の法意識」(岩波新書)も読むとよいですね。
担保・保証の実務
岩城謙二
(日経文庫)

基本的に担保物権について解説した実務書なのですが、法律条文や判例の引用も最小限にとどめています。実務上の観点からの記述は要点よく整理されていますし、法律書では分断されがちな登記の説明や仮登記担保、譲渡担保などの解説もきちんとツボを押さえていますので、実務の手引きとしてもちろん、担保物権あるいは保証についての法学入門書としても大いにオススメしたい一冊です。
会社法
加美和照
(勁草書房)

株式会社・有限会社法
江頭憲治郎
(有斐閣)
従来の会社法の専門書にありがちな序論の沿革的・観念的な議論の代わりに、近年ますます重視されてきている株主価値/企業統治の観点からコーポレート・ファイナンスについて類書に例を見ないほど詳述しおり、小規模閉鎖会社の記述も豊富に盛り込まれているので、実務書として常に必携したい一書です。
プレップ手形法
木内宜彦
(弘文堂)
ともすると、技術的な概念論の罠に陥ってしまう潜在的な危険のある手形理論ですが、本書を読むとそれらが債権総論(あるいは各論)の延長線上のものに過ぎないと改めて認識させられる。手形小切手法の議論が軽んじられている昨今、これらが狭義の手形・小切手だけのものではなく、金融法全般にもつながるという意味でも、もう一度改めて読みなおしたい一冊です。
プレップ商法
木内宜彦
(弘文堂)
手形法・小切手法
木内宜彦
(勁草書房)

金融法
木内宜彦
(青林書院)

特別講義手形法小切手法
木内宜彦
(法学書院)
株式会社の知識
宮島司
(日経文庫)

「株式会社の知識」というタイトルですが、内容は「株式会社法の基礎知識」です。この類の商法の概説書は、往々にして条文の法解釈や事実の羅列に終始して終わりがちなのですが、本書では株式会社の実態と法律論が非常にバランスよく記述されており、法改正の変遷の裏にある立法事実、現状の法制度の問題点、なぜ法律論の争点になっているのか、等々まで初心者にも理解できるように解説されています。教科書・基本書と実務書を架橋する一冊として、教科書を読む前に一読をオススメします。
刑事法
刑法講義 総論
藤木英雄
(弘文堂)
刑法講義 各論
藤木英雄
(弘文堂)
訴訟法・手続法
準備中
比較法・外国法
英米法総論 上
田中英夫
(東京大学出版会)
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英米法総論 下
田中英夫
(東京大学出版会)
イスラーム法の精神
真田芳憲
(中央大学出版部)

イスラームの政治制度や私法に関する記述も詳しく、イスラーム法の入門書として、質・量の観点から見て最適の一書。
アメリカ独占禁止法
松下満雄
(東京大学出版会)
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比較憲法 下
樋口陽一
(青林書院)

比較憲法に関する学術書の草分け的存在。比較法的な見地から各国憲法についてを解説しています。関心のある方は、ちょっと古いですが、岩波新書の『比較のなかの日本国憲法』から、まず読むのをお薦めします。
基礎法
準備中