スポーツ
28年目のハーフタイム
金子達仁
(文春文庫)
決戦前夜―Road to FRANCE
金子達仁
(新潮文庫)
魂の叫び―J2聖戦記
金子達仁、中西哲生、戸塚啓
(幻冬舎文庫)
川崎フロンターレ在籍時の中西哲生がHPで綴った文章に2人のライタ−が解説を加えたものです。川崎FのJ1昇格までの軌跡を追っており、著者の気持ちがよく表れていますが、内容自体には特筆すべきものも見当たらないので、当時のチームや著者に強い思い入れがないと乗れないかもしれません。ただ、J2というカテゴリーの面白さは十分に伝わっていると思います。
秋天の陽炎
金子達仁
(文春文庫)
1999年の最終節、J2大分トリニータが昇格を逃した山形戦。その試合を両チームの選手、監督、そして審判の目からピッチで何が起きていたのか検証したドキュメントです。「28年目のハーフタイム」ではキャプテン前園を、「決戦前夜」ではカズを十分に取材もせずに悪者扱いにしたことを反省しているらしく、今回は取り上げる主要人物の話をかなり取材した努力が窺えます。ただ、村上龍がオリンピックの時の文章を批判していた沢木耕太郎との対談だけは余計だったかもしれませんね。確かに<物語>に過剰に依存しそうな作家だな。

フィジカル・インテンシティ―日本サッカーが初めて世界に曝された
村上龍
(光文社文庫)
本書はメルマガ『JMM』で不定期に配信されてくる『Physical Intensity』の元祖。内容はフランスW杯予選から本戦後の中田のペルージャでのデビューにあたる期間のサッカーを主なモチーフにしたエッセイです。
とはいえ、サッカーというフィルターの向こうに見える日本の「ムラ社会」批評だったりするんですが。著者のサッカーに対する目が肥えてくるにつれ、考え方というか理想像は徐々に変容しているわけですが、とかく「物語性」の追求だけに奔走する日本のマスコミに対する批判は今日まで一貫しているし、的を射ていて痛快です。
奇跡的なカタルシス―フィジカル・インテンシティII
村上龍
(知恵の森文庫)
本書での著者のスタンスは、前著を継承したものといえますが、経済の分野にちょうど関心が向き始めた時期で、そういった経済や市場や金融の話が随所に出てきます。サッカー論にしても経済論にしても、ちょっと熟れていない印象もありますがご愛嬌。「フィジカル・インテンシティ=肉体的強度」をテーマに書いているという点を割り引けば、少なくともサッカー論は、前著よりは違和感がなくなっていると思いますし、文化文明論も肯んずる部分が少なくないでしょうから。
アウェーで戦うために―フィジカル・インテンシティ III
村上龍
(知恵の森文庫)
『フィジカル・インテンシティ』シリーズ3作目。シドニー五輪あたりまでの時期のエッセイです。「世間論」を援用したりして日本社会の共同体への批判は鋭いですが、サッカー批評もある意味で安定感が出てきてますね。
MUNDIAL2002 世界標準を越えて―フィジカル・インテンシティIV
村上龍
(光文社)
シリーズ4冊目。中田の出場機会がめっきり減ったローマが着実にスクデットに近付き始めた頃から2002年W杯直前までの時期にかけて執筆された文章です。小泉首相も感動した貴乃花に対しても投げかける、著者の「アンチ精神論」による批評は依然として健在ですし、トルシエ監督との対談の部分は非常に興味深く読みました。最後に来るべき2002年のW杯の試合を予想してますが、あんな大番狂わせがあるとは...続編がまた楽しみになってしまいました。
熱狂、幻滅、そして希望2002FIFA World Cupレポート―フィジカル・インテンシティV
村上龍
(光文社)
文体とパスの精度
村上龍、中田英寿
(集英社文庫)
日本人で最も傑出した能力を持つMF中田英寿と日本人で最もノーベル文学賞に近い作家村上龍の対談と電子メールでの往復書簡を集めたものです。本書を読むと、何故この二人が今の日本人の中で突出した存在なのか肌で感じられると思います。特に中田英寿のモノの考え方とか分かりますので、これから彼のプレーを見る時の楽しみが一つ増えた感じですね。
真っ向勝負のスローカーブ
星野伸之
(新潮新書)
芸術的なスローカーブで活躍した星野伸之の野球理論、投球術や配球、打者との駈け引き、それに左打者が苦手な話、置きに行く球を決め球に多用した話など、現役時代には聞けなかったけれども、現役時代に聞きたかったような話が満載です。野球というスポーツの奥深さを改めて感じさせてくれる一冊で、これで野球観戦が数倍面白くなること請け合いです。
阪神タイガース
吉田義男
(新潮新書)
虎の意地―和田コーチの野球日記
和田豊
(集英社)
日本人大リーガーに学ぶメンタル強化術
高畑好秀
(新潮新書)