合併問題にまつわる日記

7月24日(日)の続き

 つい先日、町長選挙で、合併ではなく自立を主張して落選したN候補の、選挙対策組織の解散式があったそうな。私は現場にいなかったので、以下は人づてから聞いた話だが。
 7月22日の日記の所で、合併反対派の議員はやや元気を無くしている事については既に書いたが、手弁当でN候補の応援に駆け付けていた住民は、『あきらめきれない、何かおかしい、まだこれからチャンスはある』といった感じを持っていたという。『何か』を虎視眈々と待って、その時にまた集まって活動を起こそうという活力があったとか。

 今回の選挙では、合併に反対する勢力・何とか藤野町を残そうと立ち上がった人達には、日頃は政治に対して参加しようとはしなかった人達も多かった。
『自立派』と言葉にすると、これは単に「合併ではなく自立を選ぼう」という意味だけでは終わらず、「自ら立ち上がる人々」という意味にもとれないか。

 そんな爽やかな人々の集団が、はからずも生まれたような気がする。この芽は、これからも大事に育って欲しいと思う。

7月26日(火)の続き

 「また合併の話?」、と言われそうだが、以下の文章は、ある方から新聞の切り抜きをファックスで送って頂いたもの。あまりにも藤野でも同じような心配が想定できる事例なので、紹介します。7月15日の朝日新聞より。

合併の自治体は状況把握困難に

 今年に入り、今月13日までに風水害で死亡した10人のうち、8人が70歳以上の高齢者だった。この中から教訓を探ると一。

 梅雨前線が九州付近に停滞した今月10日午前5時半ころ、大分県日田市で裏山が崩れた。民家が全壊し、57歳と91歳の親子が死亡した。大分地方気象台は同日午前2時半に同市周辺に大雨洪水警報を出した。さらに、午前4時25分には、「過去数年間でもっとも土砂災害の危険性が高まっている」との情報も出ていた。

 しかし、日田市は今回、避難勧告は出していない。同市の池永晃・消防防災係長は「あの地区は別の部局が受け持っている。市中心部とは地形も違ってわからない時がある」と、振り返った。

 同市は3月末、1市2町3村が合併したばかりだ。災害があったのは、旧日田市と合併する前の旧上津江村地区。市中心部からは約30キロ離れている。合併で広くなった自治体の把握ができないという課題がみられた。

(大久保泰)

 藤野町を含めた津久井郡は、その多くの面積を急峻な山地で占めている。また、山が湿った大気に影響を与えるのか、台風などが通過する際には、周囲の町に比べて際立って多くの雨が降る。
 それに反して相模原市は、平坦な台地状の土地に広がっていて、いかに大雨が降っても土砂災害の起る可能性の非常に少ない土地だ。

 合併した際、相模原市はどのくらい正確に藤野町の大雨の状況を把握して、対策を講じてくれるのだろうか。

 今回の選挙で、合併推進派は、『藤野町単独では災害時の対処ができない。』と主張していた。しかし、果たして災害時の対処を、相模原市に委ねる事が賢明だろうか。

 その土地をよく知り尽している人間が、現場で災害の様子を把握して、現場で対策を講じて、現場で指揮をとって行動できる安心というのもあるのではないか。

 私は、「生活の安全」という最も生きていく上で大切な問題を、他人に委ねる発想に対して危ういものを感じる。

 新聞で紹介された日田市にしても、今回の教訓を経て、今後の新市の周辺部の災害対策について改良を加えていく事だろう。しかし私は、災害対策のような問題は、最終的には現場の人間が立ち上がらなければ解決できない問題だと考える。

9月7日(水)

 台風14号の影響で秋雨前線が刺激されたとかで、ここ数日、牧馬も雨が勢いよくザアっと降ったり、小雨になったり。家から出られない。今朝もそんな天気。

 嫌な写真だけど、また牧馬にゴミが捨てられた。今度はパソコンのモニターとビデオのカセット。何でわざわざ山にまで持って来て捨てていくんだろう。この程度のゴミであれば、自治体の指示に従って廃棄すれば済む事だろうに。
 ホント、つくずく、こういう事をするヤツは捕まえたら車の免許証は取り上げるべきだなァと思う。車は便利かもしれないが、酷い人格の人間が使うと酷い使い方ばかりして、社会が荒廃する一方だ。

 もう一つ、腹立たしい話。先日、選挙で当選した新町長の所信表明があったそうだが、それに対して質問をした町議員は、女性議員一人だけだったそうな。

 町長は相模原市との合併を推進するつもりだろうが、議員達には、その合併に変な所が無いか、監視役になってくれなくては困るのに。特に、合併に批判的な議員たちには!。
 何か、こういう時には男は案外骨が無くて駄目だな。

 更に、合併を推進して来た団体「ふじの行政を考える会」が、町に対して、藤野町の商工会への補助金を削減するようにと陳情があったと言う。
『地元の合併に反対する団体、「合併を見直す会」は商工会の会員が多く、商工会の活動であることは明白である。町の合併政策に反対し、反対署名活動をするなどの行為は公益法人の行為として許せないので、補助金の減額を求める・・・』

とかなんとか。結局、委員会ではこの陳情は不採択になったというが。

 町にはいろんな考え方の人達がいて、合併に賛成する人と反対する人がいる。そして、それぞれの考えに従って行動をする。それ自体、商工会の会員だろうと何だろうと悪い事でも何でもない。
 自分達とは反対の考え方を持ち、反対の行動を採る人達を一方的に『悪』と決めつけて攻撃を加える発想には、あまりにも幼稚で呆れる。

 ちょっと選挙の結果に調子づいているようだ。真面目な人間を心底怒らせた時の恐ろしさが判らないらしい。

9月17日(土)の続き

 以下は、回覧の全文。

町民の皆様へ

藤野町長

市町村合併に関する町民会議の実施について(依頼)

 初秋の侯、町民の皆様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。また、町政の推進につきましては、平素よりご理解・ご協力を賜り誠に感謝申し上げます。
 さて、市町村合併につきましては、この間、藤野町独自の市町村合併推進協議会を設置して検討を行い、現在、その結果を踏まえつつ、相模原市・藤野町合併協議会で協議が進められています。
 しかしながら、この度の町長選で町民の皆様と直接お話しをさせていただき、市町村合併については、的確な情報をくまなくお伝えし、ご理解を深めていただくことが重要かつ必要であると強く感じました。
 つきましては、自治会ごとに「市町村合併に関する町民会議」を開催させていただくこととしましたので、町民の皆様には是非ともご参加くださいますようお願い申し上げます。

1日時平成17年10月6日(木)午後7時00分-9時00分

 牧馬での会場は、私の大家さんの家だ。

 しかし、本当に『町民会議』の名に値するようなものになるのだろうか。単に、自分の言い分を伝えるだけで、住民からの率直な疑問や質問や追求に、真摯に答える気持ちがあるのだろうか。

 この新町長、町議員だった頃は相模原市との合併には反対派だった。それが町長選挙に出るという話になって、急に合併推進派に転向した。
 先日の議会で、ある町議が
『相模原市との合併を反対していた議員時代の時の懸念材料は払拭されたのか?』
と転向理由を問いただしたのに対して、
『前は前、後は後。』
と、ずいぶん人をバカにした返答しかしていない。こちらは『理屈・理由』を聞きたいのであって、『はぐらかし』を聞きたいのではない。

 この新町長。
 選挙戦の時には、膨大な量のビラを撒いたが、その内要にも、これと似た「はぐらかし」を多数やっている。
 根拠のない情報を交えながら、『単独自立→破滅』『合併→安心』だけしか言って来なかった。最近の衆議院選挙のやり口に似ている。
 ある方が、これらのビラの記述について検証していたのを、最近メールで頂いた(内容はこちら>>)。私も似たような事を、幼稚な形ながらやった事があるが(例えばこれ>>)。

 この町民会議。単に町長の言い分を聞くだけの会にするつもりはない。私一人に何ができるか、たかがしれているが、少なくとも『会議』に値するような追求はしたいものだ。

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