負けるなBaby 〜出会い編 その2〜




 エレベータに乗り、目的の第2会議場のある階のボタンを押す。
 中途半端な時間のせいか、他に乗り込む人間はいなかった。
「確か21歳と言っていたが、学生か?」
「はい、大学の四年です。経済をやってます」
「四年? …というと、就職の方は大丈夫なのか? 今年も厳しいって話しだが」
 決まってない方が自分としてはありがたいんだが……という思いを隠して、一条はさりげなく雄介に確認した。
 これで下手なところに決まっていると、今自分が企んでいることを実行した場合、彼の人生に傷が付きかねない。まぁそ の時はその時で全面的に責任をとらせてもらえばいいだけのことだけどな……なんて、相変わらずの天上天下唯我独尊 様であった。
「えぇ幸いにも今バイトしている祖父の事務所にそのまま勤めるようにって内定貰ってます。苦労している友人たちには悪 いなとは思うんですけど」
「コネも実力のうちだよ。椿社長のことは俺も知ってるが、いくら身内でも能力のない人間を雇うほど甘い人じゃないさ。椿 を見れば判るだろう」
 そう、あれでも椿は『事務所社長の息子』などという肩書きを持ってはいるのだが、その父親は息子を甘やかす気はまっ たくなかった。それは同時期にデビューして、駆け出しの頃は似たような苦労を重ねてきた自分がよく知っている。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
 とはいえ例外はあるか……と、その笑顔を見て内心思う。雄介の実力あるなしに係わらず、『傍においておきたい』、その 一念で社長や椿は彼を雇ったに違いない。まぁこれまでの雄介の気配りの行き届いた立ち居振舞いを見ていれば、彼が 雇うに値する人間だということは十分に判ってはいるが。
『椿の事務所が………まぁなんとかなるかな』
 なに事務職予定が技能職に代わるだけのことだ。とりあえず手元に置いておけることには変わりはないのだから、本人 の同意さえ得てしまえば椿社長はなんとか説得できるだろう。……問題は。
「あいつだな」
「は?」
「いや、ちょっとね。あぁ、着いたな」
 軽い電子音とともにエレベータが目的の階に着く。開いたドアから出ると一条は直接会場に向かわずに、近くの小さな小 部屋へと雄介を誘った。
「あれ……ここは」
「俺の控え室だ。会議室は今、関係者以外立ち入り禁止になっているからね」
「えぇ! でも俺、これを届けないといけないんですけど……どうしよう」
「大丈夫だ。中に俺の事務所の人間もいるから、椿を呼びだしてもらうよ。そのためにここに連れてきたんだ」
「そうなんですか!? すみません、何から何までお手数をかけてしまって」
「気にしなくていいよ。言ったろ、俺も用があったって。実はそろそろ彼に連絡を取らないといけなかったんだ」
 慌てて頭を下げる雄介を安心させるように笑いかける(無論、営業用のとっておきのやつだ)。軽くウィンクしてポケットか ら携帯を取り出し、ボタンを幾つか操作した……電源は入れないまま。
「あれ? おかしいな」
 電源の入ってない携帯を耳に当てる。当然応答は何もない。
「どうしました?」
「すまない、どうやらここは電波が悪いようだ。ちょっと場所を変えるからここで待っていてくれないか。あぁ立ちっぱなし じゃ疲れるだろう。そこの椅子に座っててくれ」
「すみません、本当に」
「いいって言ったろ。じゃあ」
 そう言うと雄介が頷いたのを確認して、廊下へと出る。そして会議室の出入り口からは死角になる場所に移動して、今度 はちゃんと携帯に電源を入れた。とたんに軽やかな呼び出し音が響き渡る。発信者は一条のマネージャ。たぶんずっと呼 び出し続けていたのだろう。
「あ、俺」
『一条君! 今どこにいるんだい!! 携帯は常に電源を入れておいてくれって言っただろう!!」
「すまない、忘れてた」
『で、今どこ? 早く戻ってこないと、いい加減マズイって』
「近くだから、すぐに戻る。で、どうだ、オーディションの様子は? いいのいたか?」
『ダメだね。一応、一通りは面接したんだけど、なんかどれもぱっとしなくてさぁ、余計に監督はお冠ってわけ』
「やっぱりな。あぁそうだ、そこに椿いるか?」
『いるよ。彼は真面目だからね。誰かさんと違って』
「反省してるよ。だから伝言が頼まれてくれないか?」
『いいけど、なんて?』
「下のロビーで、五代くんが椿を探してたって。そう言えば理解ると思うから」
『判った。伝える。だけど、一条君も早く戻ってきてよ』
「あぁ、すぐ戻る」
 そう言うと強引に話を終わらせて電話を切る。そして待つこと一分。
 バタン! という音とともに、椿が部屋から飛び出してきた。そしてエレベータを待つのももどかしかったのか、慌しく階段 を下りていく。その姿が完全に視界から消えたのを確認して、一条は自分の控え室へと足を向けた。
「どうでした?」
「すまない。椿のやつ、さっきまで中にいたんだが、今はちょっと席を外してるらしい」
 椿が一緒でないことを見てとって怪訝そうに問い掛けてくる雄介に、さもすまなそうに言葉を綴る───一応、嘘ではな い。
「そうですか。それで、何時頃戻ってくるかは判りますか?」
「多分すぐ戻ってくると思うけどね。でもまぁここで待っていてもまた入れ違いになりそうだから、中で待つことにしないか」
「え…でも関係者以外立ち入れ禁止じゃあ」
「大丈夫。許可は貰ったから。それに君に会わせたい人たちもいるしね」
「俺に?ですか」
 きょとんとした表情を見せる雄介に、自然と笑みが零れる。
 大丈夫だ。彼を監督に会わせれば、すべては上手くいくだろう。
 自分が受けとめた主役のイメージに間違いでもない限り、監督が求めている存在は彼、五代雄介以外には考えられな い。
「君も興味ないかい? 椿がいつもどんな人たちと仕事しているか」
「でもそんなこと…ご迷惑じゃありません?」
「大丈夫だよ、絶対ね」
 そう……絶対に大丈夫だ。
 そう確信すると、まだ逡巡する雄介の肩を強引に抱くと───見た目の予想通り、彼の肩は幅はあるものの薄くて、ちょ うどいい具合に一条の掌に納まった。───一条はオーディション会場である第2会議室へと向かった。




「どこに行ってた、一条!」
 ドアを開け一歩中に踏み込んだ途端、彼らを迎えたのは監督の怒鳴り声だった。
「オーディションはもう終わっちまったんだぞ!」
「主役を探しに行ってました」
「なに?」
「彼をね。五代雄介くん、21歳、大学の四回生」
 未だ状況が判ってないだろう雄介の肩に軽く手を当てて監督の前へと押し出す。
「は? あの……一条さん?」
 半ばパニくりながらも問うように一条を見る雄介に、監督を紹介する。基本はやっぱり挨拶からだろう。
「あの人はね、高石さんといって、今度椿が出るドラマの監督だよ」
「え? あ、はじめまして。椿事務所から来ました五代です。いつも椿がお世話になっています」
 紹介され、少し慌てながらも雄介はにこっと笑って頭を下げた。人懐っこく、それでいてけして礼を失してはいないそれ。
「なるほどな」
 その笑顔に思うところがあったのだろう、監督の口元がにやりと上がった。
「椿のとこの新人か?」
「いえ、遣いを頼まれた学生アルバイトだそうです」
「ふぅん。ま、下手な色が着いてるよかいいな。仕込み甲斐がある」
「仕込み甲斐って…言葉使いが怪しいですよ、監督。確かにこういった経験はまったくなさそうですが」
「怪しいのはてめぇの方だろ。俺のは別に妙な意味はねぇよ」
「おや、わかりますか?」
 言い返された言葉に、含みを感じてちょっと驚く。自分でもさっき自覚したばかりの感情をこうもあっさり言い当てられると は。
「付き合い長ぇからな、おまえの好みは判ってるさ。あぁ言っておくがな、くれぐれも撮影の邪魔になるようなことはするな よ」
「判ってます。撮影には差し支えさせませんよ」
 それ以外の部分では遠慮する気などさらさらないが。
「背は一条とタメぐらいか。画面に映えそうだな。難を言えばもう少し肉が欲しい気もするが」
「俺的には今のままで十分だと思いますよ。別にひ弱って感じはありませんし、『今時』らしくていいんじゃないですか」
「まぁな」
「あ…あの……すみません、お話中。さっきからいったい何を話してるんですか? なんか俺のことみたいなんですけど」
 どうやら話題になっているのは自分らしいのだが、主語・目的語の抜けた会話はどうも内容が掴めない。それでもなに やら不穏な空気は感じられて、がっちりと肩を抱く一条の手がなかったらさっさとこの場を逃げだしていただろう。
「あぁ、そういえば俺の方の挨拶がまだだったな、高石だ、一年間よろしくな、五代雄介君」
「あ、こちらこそよろしくお願いします……って、ちょっと待ってください。いったい何が一年間なんです!?」
 つい反射的に差し出された手を握って挨拶を返してしまう……そして数秒後、はたと気付く。一年間っていったい……… 確か自分は椿の忘れ物を届けに来ただけのはずなんだけど。
「君が主役に選ばれたんだ。来年からのドラマのね」
「はい〜〜〜?」
 思いっきり声が裏返ってしまう。なんか今、とんでもないことを聞いたような……
「なんだ? 一条、何も話してないのか?」
「その方が、ありのままの彼を見てもらえると思ったものですから」
「そらそうだが」
「一応、監督の御意見を伺ってからとも思いましてね」
「嘘つけ、こいつだと思ったから連れてきたんだろう」
「否定はしませんよ」
 だが彼しかいないと思ったことも事実で、もうすでに出逢ってしまった以上、雄介以外の人間があの役を演じることなど 考えもできなかった。
「あ…あの……冗談ですよね、俺が主役だなんて」
「いぃや、冗談じゃないさ」
「おう、冗談なんかじゃないぞ」
 ようよう衝撃から幾分立ち直ったのだろう、なんとか雄介が会話に割って入る……きっとなんかの聞き間違いだろう、そ う期待しながら問い掛けるのだが、あっさりそれは却下された。
「できません! 俺。俺はただの学生なんですよ! それがどうして!!」
「心配するな、誰も素人に演技力なんぞ要求せやせん。地でやってくれりゃいいんだ、地で」
「いえ、だから問題はそういうことじゃなくて」
「てことはギャラか? それはスポンサーと応相談ってやつなんだが」
「違います! 誰がギャラの話をしてるんですか! 俺が言いたいのは───」
「他になにか問題があるのか?」
「ですからそもそも俺は役者なんてやる気はないんです。ここには届け物に来ただけなんですから」
 ぜいぜいと息を切らしながらもなんとか断りの言葉を口にする。なんでせこんなに意思の疎通が難しいんだろう。自分も 相手もちゃんと日本語を使っているのに。
「そうなのか? 一条」
「らしいですよ」
「そうか、それは悪かったな」
「いえ、いいんです、判っていただければ」
 良かった。なんとか理解してもらえたらしい……と、安心したのもつかの間。
「だが本当に悪いとは思うんだが、俺もやっと見つけた主役を逃がす気はなくてな」
 そう言って監督はにやっと笑った。
「え…えぇ〜!」
「一条、おまえだってそうだろう」
「まぁ否定はしませんけど」
「そんな……じゃあもしかして…、一条さん、始めから俺をそのつもりで……」
「すまない。君を騙すような形になってしまって」
「ひどい……」
 全部嘘だったなんて。すっかりいい人だと信じていただけにショックだった。あんな親切にしてくれたのも、ここまで連れて きてくれたのも全部、俺を利用するための偽りだったなんて。
「だが君しかいないと思ったんだ」
「え?」
「今度のドラマの主役を演じるのは。下で会った時、俺がオーディションのことを口にしたのを憶えているか?」
 そういえば、そんなことを言っていたような。
「監督はずっと探してたんだ。今回の主役を演じるのにふさわしい人間を。規制の役者では合うやつがいなくて、オーディ ションまでしたのに、結局それもダメで……諦めかけたときに、君が俺の前に現れたんだ。これは運命だと思わないか?」
「運命?」 ↑↓どさくさに紛れて口説いてます。
「あぁ、ずっと求めていた。君みたいな人間を。だけど何処を探してもいなくて……そんな人間はもういないんじゃないかと 諦めかけたときに、君が声をかけてきたんだ」
 確かに、あのとき声をかけたのは五代の方だった。
 あの時、ロビーには他にも大勢の人がいた。その中で雄介が道を尋ねたのは一条だった。
 それが運命だったのだろうか。 ←いいえ、ただの面食いです。
「君だと思った。そう思ったから、監督にも引き合わせた。監督も納得してくれた。俺の目は間違いじゃなかった。俺の…い や、俺たちの探してたのは君だったんだ。頼む、やってはくれないだろうか?」
「でも……俺は……」
 ここで一条は戦法を変えた。
「もし君が引き受けてくれなければ、この企画自体がダメになってしまうかも知れない」
「え?」
 思いっきり悲しげに雄介を見つめる。困っている相手は見捨てられない性格と見た。
「そうだろう、要の主役がいないんだ。ドラマは成り立たない。せっかく期待していた仕事だったんだが……残念だ」
「そんな……あ、じゃあ秀にいさんも」
「当然、仕事はなしということだな、そうですよね、監督」
「あ? あぁ、そうなるな。五代くん、やってはくれないか? この作品を成功させようと願っているスタッフみんなのために も」
 いきなり振られて焦りつつも、一条に合わせる。別件での口説きも入っているような気はするが、とにかくここで雄介にう んと言って貰わなければ話は始まらないのだ。
「頼む」
「………なんで…俺、なんです?」
「たぶん、口で説明するのは難しいと思う。俺も上手く説明する自信はない。でも確かに君なんだ。それは間違いない。君 しかいないんだ」
 ここぞとばかり雄介の腕をとり、じっと瞳を見つめて言葉を綴る。実際語る言葉に嘘はないのだ。ちょっとばかり別方向の 下心も入ってはいるが、いやだからこそ一つ一つの言葉には、思いっきり説得力があったりして。
「一条さん……」
「俺の言葉を信じられないか?」
 トドメにたっぷりと憂いを湛えた瞳で見つめ、悲しげに問い掛けたあと、淋しく視線を伏せてみせる。
 世の女性たちには絶大な効果をもたらすそれは、雄介にも有効だった。
「そんな…そんなことないです、一条さん」
「じゃあ」
「俺、やってみます。どれだけやれるか判らないけれど、精一杯頑張ります」
「ありがとう五代くん」

 一条薫の勝利である。

 と、その時、

 バターン!

 大きな音とともに思いっきり扉が開かれた。
 突然の侵入者はドアに手をかけたままぜいぜいぜいと息を着いている。もしかして下からここまで階段で駆け上がってき たのだろうか? と、室内を見渡していた視線が目的のものを発見した。

「雄介〜〜!!!」

 ぐわしっ!とばかりに抱き締められて面食らう。まるで何年かぶりの再会のようだ。椿とは今朝同じテーブルで朝食を食 べたはずなのだが。
「秀にいさん?」
「無事だったのか! 雄介!」
「え? 無事って……」
 いったいなんのことだろう。
 戸惑う雄介を他所に、しっかりと雄介を抱き締めたまま、椿は一条に噛み付き始めた。
「一条! よくも人を騙しやがったな!」
「なんのことだ?」
「雄介がロビーにいるってマネージャに伝言させやがっただろうが!」
「あぁ、そのことか」
「そのことかじゃねぇ、俺がどれだけ雄介を探したと───」
「だからちゃんと伝えたろう、ロビーで五代くんがおまえを探してたって。だからこうしてここに連れてきてやったんじゃない か」
「うん、俺、下で迷っちゃってさ、たまたま道を聞いたのが一条さんだったんだけど、そうしたらわざわざここまで連れてき てくれたんだ。秀にいさんからもお礼を言っておいてね」
 そういってにっこり笑う雄介は、微塵もその言葉を疑ってはいなくて、一条は椿にだけ見えるようににやりと笑った。
「そういうことだ、椿」
「ほぉ〜〜〜、それはうちの雄介が迷惑をかけたな」
 こいつ判っててやったな。内心はらわたが煮え繰り返ってはいたが、雄介の前である。必死に平成を装ってれいょ言う。 無論さりげなく棘をつけることは忘れない。
「礼を言われることの程じゃないさ。なにしろこれから五代くんとは長い付き合いになるんだし」
「そんなことはないだろう。おまえも色々と忙しいだろうからな。学生と付き合ってる暇はないだろう」
 言葉は柔らかいが、金輪際雄介と会わせやしねぇとバックに書いてあるのが見えたりして。しかし、
「あぁ、確かに忙しくはなるな。五代くん一緒に」
「なんだと?」
 なにやら聞き捨てならないことをこいつは言わなかったか? そして追い討ちをかけるかのように雄介が椿に笑いかけ る。
「秀にいさん。俺、頑張るから」
「?」
「来年からのドラマ、俺、一生懸命頑張るから」
「…………は?」
 ちょお〜〜っと待て、いったい何の話だ?
「あぁ、言い忘れていたが、椿。たった今決まったぞ。彼が、五代くんが今回のドラマの主役を演ることにな」
「なんだってぇ〜〜〜!」
 聞いてないぞ! そんなこと!!
「良かったな、これでお互いいい仕事ができるぞ。椿。頑張ろうな、五代くん」
「はい、俺も頑張ります!」
「ちょっ…ちょっと待て」
 冗談じゃない。せっかく今まで悪い虫がつかないように大切に育ててきたのに、よりにもよってこのけだものと一緒に仕事だぁ! 飢えた狼の前に子羊を投げ出すようなもんじゃないか。断じて止めさせてやる! と意気込んではみても、
「勝手に決めちゃってごめん、秀にいさん。でも俺、頑張るから」
 じいっと自分を見つめる雄介の瞳に勝てるわけもなく、
「いや、別におまえに怒ってるわけじゃないんだ」
「良かった。俺、素人だから、秀にいさんにも色々と迷惑かけちゃうと思うけど、精一杯頑張るね」
 そう言ってにこぉっと笑われてしまえば、椿に最早返す言葉はなくて………青い空なんて大っ嫌いだ。
「よろしくお願いします、秀にいさん」
「あ…あぁ、よろしくな、雄介」
 思いっきり複雑な心境ながらも、かろうじて椿が雄介に笑顔を見せることができたのは、長年の演技力の賜物というやつ だろう。そして監督に肩を抱かれて他のスタッフに紹介されている雄介の背を見守りながら、おどろ線を背負った椿は一条に詰め寄った。
「一条、おまえ、覚えてろよ〜〜!!!」
「なんのことだ」
「言っておくが、おまえなんぞに雄介は絶対に渡さんからな」
「どうかな」
 ふふんとばかりに余裕で笑う。とりあえず第1ラウンドを勝利したものの余裕だろう。


 だがしかし、どんな手段を使っても雄介を彼の手に渡すまいと決心した椿と、その周囲による妨害に、
 これ以降、連戦連敗を重ねることになろうとは予想もしない一条薫であった。





ようやく終わりました。二人の出会い編です。
しかし長いぞ。なんでこんなに長くなるの。
一条さんてば思いっきり企みまくりなんだから。
やっぱりこの世界でもあなたは鬼畜なのね☆
ひかる


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