BOY FRIEND 《5》






ああ、平和な一日だった・・・・・全部という訳じゃないけど、終わり良ければ全て良しだよな、
と片付けをしながら桜井は思っていた。
今日は大きな事件もなかったし、未確認だって出なかった。
こんなフウに早く上がれる日は早く帰ってゆっくりしよう。
「なあ、さくら・・・・・」
「いやだ」
だから何時の間にか側によってきた竹田が言い終わらないうちに断るのは当然のことといえた。
「・・・・最後まで聞きもせずに言うなよ」
「聞かなくっても判る。おまえの話はぜっったいロクなもんじゃない」
「そんなことはないぞ?」
チロリと妙に目を輝かせている竹田を、もとい、竹田の手の中にあるものを見て桜井は深い溜息をついた。
「・・・・・・・それ、なんだろな?竹田君」
「これ?! もぅ、100メートル離れたとこだってバッチリの超望遠カメラ。借りてきたんだよ!」
一体誰がこいつにこんな物を貸したんだ・・・・!! 貸すなよもう!!
と歯噛みしたりしてみる。
「な? お前だって並んだとこ見たくない? 俺見たいんだよう・・・・」
宙をみてウットリしている竹田をみて深い溜息を付く。
しかし・・・・・・そりゃ、見たくないといえば・・・・・嘘だけど、と桜井の脳裏を走ったのが判ったのか。
伊達に付き合いは長くはない様だ。
「じゃ・・・」
「でも!い・や・だ!」
「えー」
「俺は自分が可愛い。行くんなら自分一人で行ってこい」
「おまえ、常日頃未確認相手に闘っているくせに・・・」
「あのなぁ! アノ人相手にすんだったら未確認相手のほうがよっぽどまし!!」
「大丈夫だって!絶対気付かれないぐらい離れておくから!」
「アノ人に絶対なんて言葉は通じないんだ!!」
「いいじゃんかよー!!」
「いやだ!!」
いい加減らちがあかないとおもったのか、桜井は後で帰り支度をしている杉田に助けを求めた。
「第一、俺はこれから杉田さんと飲みに行くんだからな」
急に降られた杉田はいやぁ〜な顔をしてふりむいた。 
「・・姑息なやっちゃな、おまえ」
「俺を見捨てて帰る気でしたね・・・・」
「あたりまえだ。俺には可愛い妻と葉月が待っているんだ」
杉田の背中が俺は絶対帰るんだ!!と語っている。
「ここにも可愛い後輩が杉田さんの助けを待ってるんですが」
「・・・・・・短い付き合いだったな」
「随分、冷たいじゃあないですか?」
「桜井。俺だって自分が一番可愛いぞ?」
「・・・・・」
「・・・・・」
未確認を倒すという崇高な目的にむかって協力し合う仲間ではあるが。
ソレとコレとは別物で。
「良かったな、竹田。桜井が一緒に行くって言ってるぞ」
「ああ! 酷い!」
「俺は帰る。桜井も竹田も明日があるんだから程々にな」
「杉田さん!! 俺は行くなんて言ってませんよ!」
慌てて手を伸ばしても、杉田は手をひらひらと振りながら部屋を出て行ってしまった。
ソレを見送る桜井。
その後に控えるは・・・・・・。
「ああ!もう、行けばいいんだろ! 行けば!!」
桜井の叫びがむなしく響いた。



さて、所かわってスケートリンク場では。
一種異様なムードが漂っていた。
本来ならカップルばかりが集まるここは普段だったらピンク色の空気になったっていたりするのだが。
なにしろ人の流れの隙間を華麗に滑る二人の男達の浮いてる事浮いてる事。
いや、ただ単純に男同士だというだけなら目立ちもしないが、何しろその二人の出で立ちがマトリックスとトップガンとくれば。
ましてや、コレが二人とも超いい男だったりしたら。
そりゃあ、もうリンク場の女の子達の――――カップルまで含む―――視線を釘付けで。
男達の敵だったりする。
しかし、その二人はそんなことには気にもせずあるカップルからつかず離れずに滑っている。
そのカップルと言えば、よーくみればよく似たふたりだったりする。
――― 片方はスカートはいてるから女の子間違いない、うん、かわいいなぁ、と思われ、もう一人はと言えば、
男?だよなあ・・・あのイチャツキぶりはどうみてもカップルのものだろう・・・でも、よく見りゃ姉妹に見えなくもないし・・・・
うーん、綺麗なのにその癒し系の笑顔がいい!!・・・もし男だったりしても声かける価値ありだよなぁ、
なんて思われていたりするから、二人で滑っているにも関わらず近寄ってくる男達がいたりする。
ま、近づく前にマトリックス・一条に粉砕されちゃったりしたが。
なにしろ超一級の彼女達(仮定)に声をかけるつもりの者共だからかなり自分には自信を持ってたりするのだが、半径5 メートル以内に近づくとマトリックス・一条がよってきて、上から下まで視線を流した後、蔑むでもなく、見下すわけでもな く、ただ、フッ・・・・と笑う。
ただ目でしっかり(声をかけるつもりか? 君が? ・・・・俺の前で?)なんて語っていたりするけど。
顔の造形じゃあ一条に適うものなど滅多にいない。
俺ってカッコいいじゃん!などと結構鼻高々な人たちのことだから、一条の考えていることなどしっかりくっきり読み取っ て、自分と一条を比べた後は大体のものはすごすごと引き下がっていく。
だがしかし、なかには読み取れない馬鹿もいたりする。
そんな輩は、一条の冷たい笑い――もちろん未確認に相対する時並、もしくはそれ以上だったり――や、椿の無言の圧 迫に引き返していくのだ。
そんな光景がなんどか繰り返されれば、異様なムードが漂うのも当然のことで周りの観客達はその雰囲気に飲まれつつ も目が離せなかったりする。だって、肝心の護られている二人組みはその雰囲気にぜんっぜん気付いてなかったりする のだから。
(すごい・・・・! あの二人って只者じゃあないよね!)
と感心し、新たな男達が粉砕されるのを結構楽しみに眺めていたりするのである。



「ああ、面白かった!! ちょっと休憩しよう?」
「みのりも上手くなったよね」
「ううんううん。雄ちゃんにずっと掴まっていたんだモン、・・・疲れたでしょ?」
「馬鹿だな、全然平気だよ、だって」
「「クウガだもん」」
二人の声がピッタリはもる。
五代が目を見開くと、みのりの笑みを含んだ目を見て、ほわあ・・と笑う。
「ね、喉渇いちゃった」
「わかった、ちょっと買ってくるから先に休んでて?」
「うん」
みのりと雄介が分かれると一条が雄介に、椿がみのりについてリンク上を上がっていく。
「疲れた?」
「喉渇いちゃったから、頼んじゃった、椿さんもお疲れ様」
椿を見てふふ、と笑う。
「うーん、と言う事は知っててやってるのかな?」
「なにが?」
え?と小首を傾げてみせる。
椿の中で、ただ、人より少しだけ芯が強くて、過酷な状況に落ちた兄をひたすら信じている可愛い女の子のイメージだった のが崩れていく。
「煮詰まったアレの相手は結構大変なんだぞ?」
「だあってぇ、椿さんだって楽しんでるくせにぃ」
「・・・・・」
「でもま、そろそろいいかな」
「え?」
靴を脱いでベンチに座る。椿もその隣に座って靴を脱いでいるとき、みのりの側に安部和弘がやって躊躇いがちに口を開 いた。
「ね、みのりちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・・」
一瞬真顔になったみのりは、すぐ笑顔になると「どうぞ」と自分の隣を勧める。
「なんですか?」
「あの・・・・あとからきた人って、その・・・・・雄介君とは・・・・」
「一条さんのことですか? うーん、なんていうのかな・・・」
「みのりちゃんは気にならないの?」
「は?」
「だって、その自分の彼氏が・・・・・」
安部が言葉に詰まる。
なにしろ、安部が雄介に声をかけようとするたびに、ことごとく一条に遮られていたりする。
安部だって鈍い男ではない。
だから、一条の視線に込められた(コレは俺の。触るんじゃない)という威嚇ぐらいしっかり読み取っていたりする。
それに雄介だって何気なく背中や肩に廻される一条の手を拒まないということは、普段からそうされ慣れているということ だ。
雄介が気遣いの人だと言う事ぐらい阿部にだってすぐにわかった。
その雄介が一条にあんな態度をされて気持ちに気付かないはずが無い。
ましてや雄介は一条に己の50cm以内に存在する事を許している。
そんなに側に、赤の他人があることを許せるのは、はっきり言って体の関係があるものだけだと安部は思っている。
今までの経験から自分の勘が外れたことが無いから、二人の関係が友人と言うだけのものじゃないことぐらいすぐわかっ た。
だが、みのりを見る目に愛情があるのは嘘ではないし、二人の間に流れるものには誰も割り込めないような気もしている のだ。
雄介が二股をかけるような人物じゃないのは判っているから。
「なーんだ、安部さんて結構鋭いんですね」
にっこり笑ってみのりが言った。
「うーん、じゃ、本当のコト言っちゃおうかな。安部さんも正直に言ってくれたコトだし」
「え?」
なに?と目で問えば、みのりが他の子達としゃべっている女の子達をチロリと見た。
「ああ・・・・雄介君から聞いたんだ」
自分達が偽造カップルだってコト。
「私達もなんです」
「え?」
「私達、兄妹なんです」
「ええ?!」
マジマジと見る。
「そっ・・・・・・か、うん、そうだね。そういえば、よく似ている」
「まあ、私もおんなじ様にお兄ちゃんに頼んだわけなんですよ」
「そっか・・・・」
「でも、ダメですから」
どこか安心したような声を出した阿部にみのりが釘を刺す。
「みのりちゃん?」
笑っていてはいても、目が真剣な光を帯びていて安部を見つめていた。
「お兄ちゃんには、一条さんでなきゃダメなんです」
「え・・・・?」
みのりが前を向く。
「お兄ちゃんて、ああいう人だから」
人の苦しみを取り込んで人を癒そうとする人。そうしよう、と思ってするのではなくソレが自然にできてしまうひとだから。
「安部さんじゃ、お兄ちゃんに癒されるだけです」
悪い人ではないけれど阿部の器では雄介に癒されるばっかりで雄介を癒す事ができない。
「・・・・・私達のお父さんて、雲のような人でした。・・・根無し草って言うか。私達を愛してくれているのは判ったけど何処か地に足がつかない人で、私達が望むから側にいてくれたけどちょっと目を離したら何処かにいってしまうような人でした」
みのりの呟きのような言葉を黙って聞いている。
「兄はお父さんに似ています。ううん、お父さんよりひどいかも。・・・・兄は自分の欲求が少ない人で、他人の望みはなん でも適えてくれるくせに、お兄ちゃんはいいの?ってきくとみのりがよければいいよって・・・・・・」
「・・・・・」
「例えば・・・ご飯だって、私がお兄ちゃんに美味しいって言って食べてほしいなあって思ってるから食べてくれるぐらいで」
だからベルトは兄は選んだのだとみのりは思っている。自分を捨てると言う事を意識せずにできると言う事。
あんなものを受け入れて、きっと求められるままに自分を与えてしまって。
「あなたじゃお兄ちゃんをつなぎとめられない」
「みのり、ちゃん」
「一条さんぐらい俺様じゃないとね」
ふふ、と笑う。
そう、一見優美な一条の外見に隠されている一条の本性をみのりは判っていた。
一条に潜む恐ろしい程の激しい感情の本流や欲求が、普段は自制心で押さえられているだけだと言う事を。
それが兄に対するときだけはちがう。
一条の全てが注がれている。全身で兄を欲しいと要求する。
その身体も魂も雄介自身のものすらでなく、全て俺のものだと判らせて。
「一条さんでなければ、兄を繋ぎとめられないから・・・・・」
兄は恐らく一条とあって初めて一人でいることの孤独を教え込まされたのだ。
付き合いは長くてもある一定のラインからは絶対他人を踏み込ませなかったのに、一条はこじ開けて其処にはいり、自分 の存在を刻み付けた。
広い海を漂う兄に、一条は自分という存在の錨を付けさせたのだ。
永遠に漂えないように、なにがあっても己のもとに帰るように、縛り付けたのだ。
雄介はそれを許し、己の全てを一条に与えて、一条の全てを許した。
そして、一条は、人一人の存在を背負う辛さはどのようなものだろう、なのに悦びすら浮かべて雄介をその存在を丸ごと 抱き込んだのだ。
自分にはできなかった事をした。
悔しいけれど、嬉しかった。だから、
「だから、あきらめてください。一条さんのように全身全霊で兄を求めてくれるようでなければ、一条さんに張り合う資格す らありません。自分のプライドや何もかも捨てる事を、恐らくその命ですら兄のために捨てられるようでないないら、兄には近づかないで」
みのりに圧倒されて、安部は何もいえなかった。
雄介に向けられた深い思い。
事情は良くわからないけれど、あの一条という男が全身全霊をかけて支えなければならないような過酷な事が雄介を襲っているのだろう。
自分など足元にも及ばない。
「それに、私、面食いなんです」
「は?」
突然かわった展開に阿部がすっとんきょうな声を出した。
「一条さんて、中身はともかく顔だけは一級品でしょ?」
「・・・・・」
「側にはいたくはないけど見てるだけなら最高じゃないですか」
「もしもし?」
「お兄ちゃんと並んで立ててお似合いだと思いません? 見ててウットリですよねぇ・・・」
「はあ」
「安部さんだっていい男ですけど一条さんにはかなわないですよう」
「・・・・はっきりいうね」
安部の顔にも笑顔が戻る。
「ふふふ、それにお兄ちゃんて私なんかより超面食いなんですよv」
「そうなの?」
「ええ」
「そっか・・・・、じゃあ、俺じゃあダメだね」
「・・・・ごめんなさい」
「いいや、はっきり言ってくれて嬉しかったよ。・・・でもなんでそこまで俺に言ってくれたの?」
安部が不思議そうに聞く。
別にこんな話をしなくとも良かったはずだ。
他の男と同じ様に切って捨ててもよかったのに、なぜわざわざみのりは教えてくれたのだろう。
「・・・・・あなたが、戦争の写真しか取らなかったお父さんの山の写真を知っていたから」
「え?」
「お父さんは本当は戦争の写真ばっかり撮っていて・・・・それで有名になりすぎちゃったから、名前を変えて山の写真集を 出したんです」
「・・じゃあ、あの噂って・・・・」
その写真集を出したのが実は有名な写真家だと言う噂が一時期流れたのは本当の事だったのだ。
「最初は全然売れませんでした。刷った部数もすくなかったし。なのに、その本を持っててくれたなんて嬉しかったか ら・・・・・」
「そっか・・・・」
安部は一つ溜息をつくとパンと膝を叩いて立ち上がった。
「じゃ、俺たちは帰ろうかな。傷心の俺には雄介君とあいつの姿を見るのはつらいからね」
セリフとは裏腹に晴れやかな笑顔で立ち上がる。
「僕達は先に帰るから、ゆっくりしておいで」
「・・・・ありがとうございます」
手を振ると一瞬真顔になる。
「・・・・君は、好き、なんだね?」
誰をとも、どんな風にともいわない、けど確信している質問にみのりが真顔になる。
「自慢の兄ですから!」
兄とよく似たその笑顔。
安部は、そこに彼女の強さをみた。
「・・・・・そうだね、じゃあ、また」
多分、もう会わないだろうけど。
幸せになるといいね。
安部は皆を引き連れて去っていった。最後に軽く頭を下げて。
その姿が消えたとき、黙って話を聞いていた椿が口を開いた。
「・・・・いい男だったな」
「うん、人間的にいい人過ぎたんだよね」
「・・・・・なんか、含みある?」
みのりは笑うだけだ。
「でも、本当にいいのか?」
「お兄ちゃんが幸せなら」
迷いの無い言葉に、椿は苦笑する。
「それにしちゃ随分煽っていたじゃない?」
椿の言葉にみのりはだって、と唇を尖らせた。
「だって、今日は私だけのお兄ちゃんだったのにぃ!」
「・・・・・」
「いっつもいっつも一条さんたらお兄ちゃんの事独り占めしてるのにズルイ」
「ははは・・・・」
「それに私小姑だから、お嫁さんいびりは当然ですよね?」
「お嫁さんて・・・・一条のこと?」
椿は嫌そうに顔をしかめた。
「えー、それは嫌ですぅ。気分的にってことですよ!」
「だよなあ、ああ良かった」
「ね、椿さん」
「うん?」
五代によく似た笑顔で下から覗き込まれて椿の眉尻が下がる。
「さっき言ったこと本気ですから、一条さんにお兄ちゃんをあげたからには・・・・・」
「ん?」
「お兄ちゃんを悲しませたら、ただじゃすみませんよ?」
「・・・え?」
その目に光る光にギクッとなる。
じつは、この女の子が一番強いんじゃあないだろうか何て思ったりして。
一条を恐いと思ったことの無い自分を一瞬でも竦ませるとは・・・・・只者ではない。
敵に廻してはいけない、このとき椿は心に誓っていたりする。
「なーんてね♪」
みのりが嬉しそうに雄介たちをみる。
「ふふ、ま、そろそろいいかなぁって思ってたんですよ。私も今日は十分楽しんだし、そろそろ一条さんも限界だろうし」
楽しそうなみのりに椿は珍しく言葉を詰まらせる。
「だからね、この後・・・・・」
みのりが椿の耳元に口を寄せる。
みのりの囁きを聞いているうちの椿の顔も段々人の悪い笑みが浮かぶ。
「・・・オッケー」
「ふふふ、でね? 椿さん、もちろんもってきてますよね」
「あったり前田のクラッカーvv」
「・・・・・椿さん、それって、今はやってるんですか?」
「なんで?」
「おやっさんも言うから」
「・・・・・もう、言わない」
「? ま、いいや、で、できたらちゃんと見せてくださいねvvv」
「もちろん、みのりちゃんにはちゃんと見せるよ」
「ぜんぶですよ?」
「・・・・・はい」
二人の話が終わった頃、一条と雄介が帰ってきた。
「あれ? 皆は?」
一条と雄介が帰ってくる。
「もう、先に帰るって」
「? そう・・・ふうん。随分急だったね」
何か感じたのだろうが、雄介は黙ったまま買ってきたジュースをみのりに渡して腰を下ろした。
「おにいちゃん、今日はありがとうね」
「いいよ、みのりのお願いだモンな」
「でね、最後に一個だけ」
「・・・・・・まだあるの?」
「うん!! アレに乗りたい!!」
とみのりが指したのはおっきな観覧車だったりする。
「そうだよな! やっぱり遊園地の締めは観覧車だろ!」
椿がニコニコしながら頷く。
「折角ここにきたんだから記念に4人で乗りたいの!!」
「4人って・・・・」
雄介はそこにいるメンバーを見渡した。
「俺はいいけど・・・・」
一条さんは・・・と視線を流すと椿が「大丈夫だって!」と言いながら五代を引っ張っていく。
「おい、椿・・・・・!」
一条が引きとめようとして、コートの裾を掴むみのりに気付く。
「なにか・・・?」
「あのね、一条さん」
椿にしたように一条を引き寄せて耳うちをする。
話を聞いてるうちに段々と一条の顔が笑顔になっていく。
「・・・・ね?」
「・・わかりました」
どうやら一条は最強の味方を手に入れたようだ。
――――― 今ココに最強のコンビが(雄介にとっては最凶の)誕生したのである。



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