BOY FRIEND U その5





「いいのか?一条」
椿がビール片手に問うと一条はチロリと視線を流して軽く頷いた。
「・・・・一番最初の日ぐらいはな」
兄妹水入らずで過ごさせたっていいだろう、そんなセリフが続いてるのを椿は聞き逃さない。
「ほう」
それでも、あの独占欲がズバ抜けて強い男がそこまで譲歩したのかと思うと感心してしまって。
だが。
「一日ぐらいだったら貸してやってもいい・・・」
むすっ、とした一条の面白くなさそうな物言いに椿が思わず噴き出してしまった。
「貸してやってもいいってお前さぁ・・」
気に入らない、という表情を全面にだしながらも、それで雄介がみのりのことを大切にしてるのを知っているから。
「うるさい」
いやいや随分大人になったもんだな、とチェアにもたれて夜空を仰ぐ。
東京では決して見ることのできない、まるで降りそそぎそうなほどの星空を見ながら、静かな漣の音を聞いて。
男2人は酒を飲んでいた。

が。

この先、みのりの思いもがけない抵抗にあうなんて思ってもいない一条だった。



一方、こちらは船室で。

「お兄ちゃんと一緒に寝るのって・・・何年ぶりなんだろ!」
先にシャワーを浴びたみのりはベットの上で枕を抱きしめながら右左に転がっている。
船室には各部屋にシャワーの付いているのだから別に同じ部屋で浴びる必要もないのだが、やっぱり離れがたくてこうして同じ部屋にいる。
「でも、考えたら・・こんなに一緒にいたことってないんだもんなぁ・・・・」
小さく呟いてふふふ、と笑った。
「なに笑ってんの?」
シャワーを浴びた雄介が頭を拭きながら出てきた。
「ううん、なんでも」
「ふぅ〜ん」
ジーンズしか穿いていない雄介の上半身を、たったいま浴びてきたばかりのシャワーの水滴が伝って落ちる。
意外に白い肌をしている雄介は、海上の強い陽射しを浴びてうっすらと日焼けをしていた。
白い肌の持ち主には珍しく赤くならずに綺麗に焼けるようだ。
その肌が、水を弾いて。
珠のような水滴が雄介の反らした背筋を伝って落ちるのを見て。
「・・・・・ねえ、お兄ちゃん、今、幾つだっけ?」
「はあ?」
突拍子もない質問をされて思わず雄介が声を上げた。
「いいから、幾つ!?」
「・・・・・・・・・25・・・,6、かな?」
「・・・・・・・・」
二十歳過ぎたらお肌の曲がり角なのに。
「・・・・・やっぱり、アマダム欲しい・・・・」
たとえ好きで好きでたまらない兄だとしても、コレとソレとは話は別。
「・・なんだよ、先刻から・・・・」
「ううん、別に!」
突然むくれだしたみのりに訳のわからない顔をした雄介が着替え終わるのを待って、みのりが枕を抱えたままベットに飛 び移った。
「・・・・・機嫌直ったのか?」
「別に怒ってなんかないもん!」
「あっそ」
呆れたように笑う兄を軽く睨んで。
「ね、ね、お兄ちゃん、冒険の話して、いっぱい!」
「はいはい」
「みのりが知らない話だってあるでしょ?」
「う〜ん、そうだなぁ」
「全部だからね! ・・・みのりの知らない話、全部して!」
「わかったよ、しょうがないなぁ」
強請る妹が可愛くて仕方ない、という顔をして。
2人は一つのベットで仲良く枕を抱えて横になって、夜遅くまで語り明かしたのだった。



翌日も、ひっじょーに!!イイ天気だった。

皆で泳いだり、釣をしたり、海の上の娯楽はそんなに多いものではないかも知れないけれど、四人は楽しい時間を過ごし た。

楽しい時間が過ぎるのは、それはそれは早いものであっという間に夜がきて。
夜は花火を楽しんだ。
五代が作った食事も美味しかった。
皆で食器を片付けた後には、UNOなんかしちゃって。
あっというまに夜もふけて、そろそろ寝る時間にもなろうとした頃。
一条が雄介に声をかけようとした正しくその瞬間。

「ね、おにいちゃん」
と、みのりがちょっと甘えるような声で雄介を呼んだ。

椿の背中にいやぁな汗が流れる。

「どうした、みのり」
「みのり、なんか背中が痛い」
「どれ」
「ここ」
と、みのりが指したところを雄介が覗き込んだ。
「あー、赤くなっちゃってるよ、どんなふうに痛い?」
「ちょっと、ヒリヒリするかも」
「こーいうのは早めに手当てしないとシミになっちゃうんだぞ」
「えー・・・・、みのり若いから平気だもん」
「だめだめ! そんなこと言ってないでよく冷やさないと!」
「はぁーい」
「椿さん、氷貰ってっていいですか?」
「え、あ、ああ」
丸っきり言葉を挟むことも出来ず、ただ呆然と目の前の会話をみているしかなかった椿が何とか返事を返す。
「ほら、部屋にいったらコレで冷やしてやるから」
「うん」
「荷物持って」
「はーい」
「じゃ、一条さん、椿さん、お休みなさい」
「お休みなさーいvvv」
あれよあれよ、という間に話が進んで、みのりが雄介と部屋を出て行こうとして振り向いた、その瞬間。
にーっこりと。
一条と目を合わせたみのりの微笑みが。
「うわお」
空調が効いているこの船室で、クーラーとは明らかに違う冷気を感じて思わず椿が声を上げてしまう。


パタン、と扉が閉められて3秒後。
「・・・・・・・・・・・・・・・椿」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・と、音にしたらきっとそんな音なんだろうな、と思わせるモノを背に、一条の地を這うような声が名を 呼ぶ。
「・・・・あれにどー口を挟めっちゅうんだ」
椿の言い訳に、一条が冷たい視線を流した。
「・・・・・・・・」
「・・・・・わーったよ! 明日な!」
「・・・・・・その言葉、忘れるなよ」
「お前ね、大親友に凄んでどうするよ」
「ほほう、俺は約束を守れない男を大親友に持った覚えはないんだが」
「あのね」
「ふん」
まったく、一条と言う男は煮詰まれば煮詰まるほど無表情になる男で。
顔がイイ奴が凄むと、かなりな迫力があるもんだな、と椿はしみじみ思う。
それにしても。
みのりは手強い、とつくづく思い知る。
医者をしていると、泣く子には勝てないという言葉が身にしみるときがあるが、それに"みのり"という単語が加わることにな るとは思ってもいなかった椿だった。
微妙に椿や一条の行動や言葉を封じ込めるタイミングのとり方、五代の関心を全て自分に向けようとする一条並の執着 心が。――――――― あなどれん・・・・・・。
と、感じいった椿だった。
一条にしても他の人間に対して出る容赦のなさがみのりに対しては出ないらしい。
五代雄介の妹、というバックボーンをさし引いても、五代みのり、という一人の人間を一条が認めているという事だろう。
そうでない人間に対する容赦のなさを椿は間近で見て知っているから。
「・・・・・・ま、それだけじゃなくって、弱いってことだよな」
あの、五代雄介そっくりな笑顔。
似ているのは表面だけではなく、その魂と。
彼等の行動の根底にあるものまで・・・・・・自分のためではなく他人のために行動できる事が、そして、その優しさを大切に 思っている自分達だから彼等に弱いのだろう。
「なんだ」
椿の呟きに、一条がさらに面白くなさそうな顔をする。
「まぁまぁ、明日は任せろ」
「・・・ふん」
仕方なさそうに苦笑した男2人は、船室へと降りていったのだった。


なーんて。
ちょっとホノボノしたのはその日だけだったりするのだけれど。

船に乗って一週間も過ぎた頃。
そりゃあ、もう。

一条と椿は地獄としかいえないような思いを味わっていた。



一条にすれば、目の前で半裸に近い状態の雄介が絶えず歩き回っていて。
普段、あんまり見ることのできない太腿とか、臍とか、常に手の届く範囲のところで見せびらかされている状態なのだ。
もっと詳しく言ってしまえば。
綺麗に日焼けした肌の、微妙に色が薄い日焼けの色をした太腿の内側の脚の付け根の部分がちらちら見えそうになっ ちゃったりとか、海水に濡れた髪をかきあげたときに毀れる雫が光りを弾きながら首筋を伝って肌を伝っていくさまとか、薄 いながらも綺麗に筋肉のついた胸の頂点にある二つの薄いピンク色をした乳首とかが海から上がったときにプッチリとし ちゃっているのを見ちゃった時とかなんてもう。
目の前に大好物のご馳走を並べられていながら手の出せない状態だったりなにかして、日に日に一条の表情が能面のよ うになっていく様ったら――――― それでも雄介やみのりに対してはけしてそれを気取らせないところが素晴らしい ― ―――― それを側で体感しなければいけない椿が味わう地獄ったら。
さすがの椿も、ちょっときたらしい。
「能面未確認野郎だ」
などと呟いて鉄拳をもらってしまった椿であった。

天がそんな一条に味方した・・・・というより椿を哀れに思ったのか。



8日目の朝。
朝食をとり終わって、もう限界かもしれない、と密かに一条が思いながらフラフラと甲板に昇った時。
「あれ? 一条さん」
と、チェアをもって、ひ・と・り・で! 立っていた五代に声をかけられた。
「五代・・・一人なのか?」
「はい、のんびり朝寝でも、と思って!」
とニッコリわらった雄介の白い歯が光る。
「いや、みのりさんは?」
「なんか、これ以上日焼けしたくないからって、下で寝ています」

―――――――――  よしっ!!!

思わず心の中でガッツポーズをとっても外には微塵も出さない一条。
「一条さんはどうしたんですか?」
「俺も少しゆっくりしようかと思ってな、一緒にいいか?」
と間髪返事をしたのは言うまでもなく。


一条が、チェアを取りに行って戻る頃には雄介は、既に倒したチェアにうつぶせになってトロトロとまどろんでいた。
思わず、そんな様子を見て笑う。
こんなに心からくつろいでいる雄介を見るのが嬉しくって仕方がない。
あの、辛くて苦しかった戦いの最中に見ることの出来なかった雄介の表情は一条の心も解してくれて。
こんな表情を見れるなら、もっとゆっくりくつろがせてやりたいと心の底から思うのは確かだけれど。


「でも、それとこれとは話は別だ」


にんまりと笑った一条はサンオイルを手にとった。
椅子をすぐ隣に置いて。
「五代・・・・」
一条の低く甘い声が心地よく体に響いて五代を覚醒に導く。
「・・・はぁい」
「そのまま寝ると肌によくないぞ?」
「・・・はぁ・・・・」
「オイルを塗ったほうがいい」
「おいる?」
「そうだ・・・・・俺が塗ってやろう」
「はあ・・・・・」
まだはっきりと理解していない五代から了承を取り付けて、一条は手にオイルを垂らした。



その頃椿は。
みのりのいる船室を訪れていた。
軽くノックをすると「はーい」と中からみのりの声がした。
一条から聞いた話では寝ている、とのことだったのに、と首を傾げながら名乗るとドアが開いて。
「どうぞ」
と、みのりが部屋に入れてくれた。
「あれ?」
部屋に入った椿の第一声は不思議そうな声だった。
ベットの上にはみのりの着替えなどが広げられていて、どう見ても荷物を纏めているようにしか見えなかったから。
「・・この荷物、どうしたの?」
「はい、そろそろ帰ろうかと思って」
「え?」
「先にどこかで下ろしてくださいね?vvv
「は?」
話が見えずに単語でしか発声できない椿をみのりがおもしろそうに見上げる。
「一条さんに言われてきたんでしょ」
「うっ!」
「ふふふ、そろそろ限界ぽかったですもんねvvv
楽しげなみのりに椿がガックリと肩を落した。
「・・・みのりちゃ〜ん・・・・・・」
「だってぇ〜・・・・結局、一条さんのものなんだもん、お兄ちゃん。ちょっとぐらい邪魔しちゃったっていいじゃないですかぁ」
下から可愛らしく見上げられてしまえばもう、椿にはなにも言えず。
仕方なしに苦笑してベットに腰掛けた。
「で、もういいの?」
「はい、夏休みは十分楽しみましたし、お兄ちゃんともいっぱい、楽しい時間が持てたし」
「そっか」
「だからそろそろ一条さんに返そうかと思ってvvv
「そうしてくれると助かるよ」
といって2人で笑いあった。
それから片付けを手伝って、みのりの出してくれたお茶を飲んでちょっとくつろいだ頃。
「そろそろかな」
とみのりが腕時計を見て立ち上がった。
「みのりさん?」
不思議そうな顔をしている椿に。
「うふふんvvv 最後の意地悪してきちゃっていいですか?」
「え?」
と、よく理解してないうちにみのりは「ちょっといってきまーすvvv」と部屋を出て行ってしまって。
「・・・・! ああ――――― っ!!」
数秒遅れて、漸く理解した椿の声が部屋にむなしく響いた。



「ひゃ!?」
脚に感じたヌルリとした感触に、思わず上半身を起してしまった。
「どうした?」
「あ、い、いえ」
オイルを一条が塗ってくれているのだと、漸く理解した五代は慌てて首を振った。
「い、一条さん、それ、自分でも出来ますから・・・」
「自分では塗りにくいだろう、そのまま寝ていろ、塗ってやるから」
チロリ、と一条の表情を伺えばまるっきり普段と同じ顔をしているから、変な声を出してしまった自分の顔の方が真っ赤に なってしまった。
慌てて椅子に体を戻して顔を臥せる。
(だって・・・・突然揉んだりするから・・・・)
やわやわと、オイルを塗りながらゆっくりと脹脛から膝裏を通って太腿まで何度を昇ってくる指先の感触が。
雄介の体の熱を上昇させる。
「・・・・・っ・・・・」
「雄介? どうした・・・」
「・・・いえ・・・・」
思わず漏れそうになる声を堪えるべく、雄介は下唇を噛んだ。


頑張って堪えている様子に一条の口元が緩む。
この明るい太陽の下で、久しぶりに味わう五代の肌に一条は酔っていた。
指先に感じる小さな震えが愛しくて、さらに追い詰めずにはいられない。
だから。
わざと指が滑ったフリをして、脚の裾から手を忍び込ませた。
「あんっ!!」
小さく跳ねた雄介に構わず手をそのまま奥まで侵入させて。
そのまま、尻の片丘をきゅっ、と揉み上げる。
「やっ・・・!」
「こら、雄介、じっとしてないとオイルが塗れないだろう」
恥らうように体を捩らせる雄介の行動を封じ込めるように、今度は幾分手荒に手を滑らせた。
オイルに塗れてヌメる指はもみ上げてもつるり、と滑ってしまうから何度も何度も繰り返し揉みしだく。
脚の付け根から指を滑らせる瞬間に、指をその谷間に忍び込ませていまだ固く閉じる蕾を撫でて。
その手の動きに裾が捲りあがり、足の付け根が顕わになり陽に当たらない白い肌の部分が太陽の下に晒される。
「ああ、本当に雄介は色白だな」
「!」
「こんなに色の差がはっきりしている」
「やぁっ・・・・」
嫌がっているはずのその声には熱と艶が込められていて。
煽るようにその境い目をなぞり、脚の付け根の谷間の奥の部分で指を留まらせる。
「あんっ、んんぅ・・・・・」
ゆっくりと、小さな円を描くようにして蕾をなぞる。
指に絡んだオイルが動きを滑らかにして、くにゅっ、と時折濡れた音を立てて指が蕾を開かせる。
せいぜい指の第一関節ぐらいまでしか潜らせない程度の浅い位置を何度も何度もゆっくりと出入りをさせて入り口を解き ほぐせば、それが雄介にとっては物足りなくなるのを承知の上で繰り返していく内に、抜ける指を追うように徐々に雄介の腰が突き出されて。
一条は、その行動によってできた椅子と体との間に手をもぐりこませて、すでに勃起して布を押し上げ始めているソレを布の上から握り締めた。





ああ、こんなとこで終ってしまいました。
月末は仕事が忙しい。
さらに、食欲はスッカリ失せた。
はっきりいって、ソーメンを作る気力もない、
が。レバーは食ってるぞ!
焼き鳥屋で毎日2本ずつ買うからすっかり覚えられてしまった。
えらい?ひかるさん。
それにしても、大変、私ったら、ガオが・・・・・・。
ああ・・・魅惑の白赤。ふふふvvvv  更に自分の首を締めそう。

さて、この続きは・・・・vvvvvv。
BY  樹 志乃


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                     なんですが、表バージョンも作りました。 →GO!

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