周辺部の問題 1

 ここ(藤野町)は人口1万人を超えてますから、一般論として盛んに言われている、「一万人以下の所はなくしてもらおう」という合併推進という立場からいけば、別に人口問題でどうこうと言われる数ではありません。
 そんななか私が、人口2200人の村に住みながら、なぜ合併しないかと言う理由を二つぐらい挙げておきたいと思っております。

 一つは、周辺部に位置している市町村は、合併によって必ず疲弊すると言う事です。

 私の村は日本で一番東京に遠い所でございますが、うちを出て霞ヶ関に行くまで高速バスで約5時間かかる。ここ(藤野町)の高速道路をバスが走るのですが、その時、
「そういえば、車から見て神奈川県という看板があるな、東京から山梨通って長野に行くとばっかり思ってたが、途中神奈川県ってどこにあるんだろうな」
と思ってましたら、ここ相模湖の周辺にあるんだと(笑)、今日つくづく電車に乗って来ながら判ったんです。


藤野町の位置

 以前、神奈川県の寒川町という町、(平塚市と茅ヶ崎市とで、湘南市構想というのもありましたが、結局、平塚か茅ヶ崎か知りませんが、市長選挙で合併に消極的な市長さんがなられて、崩れたときいておりますが)、寒川町の議会の方が視察に見えられて話をしておりましたら、どうも話が合わないんですよね。合わない理由が何かといいますと、交付税不交付団体だと言うんで、そんなの話が合うわけが無い(笑)

 こないだも東京のシンポジウムで私がした発言の中で、
「350万人の横浜も2200人の泰阜村も日本では同じ地方自治体として存在しているが、横浜のような自治体もあっていい。しかし、2200人の村だって存在しても良いのではないか。」
と言いましたら、その場で一緒になった松沢知事が、ちょうど交流会の席上、どなたか紹介してくれて話をしてくれました。
「おい村長、横浜を分解するように言ってくれ」なんて言われて(笑)
「そうですよね」なんて私も言いましたが。こないだも横浜のシンポジウムに呼ばれてきましたが、神奈川県と言うのはそういう豊かで人口の密集したイメージばっかりだったんですが、やはり県境・周辺部というものもあるんだなとふと思ったんです。

 実はですね、私の村の地域が愛知県と静岡県の(直接県境に接していませんが)県境なので、県境と接している村と南信濃村があって、直接行く事は出来ないんです。そんな所に住んでいるわけで、合併すると、周辺部、一番はしになってしまい、絶対に中心になれない所なんです。たぶん、ここ(藤野町)が相模原と合併する事になれば、そういう事になると思います。

 これはですね、非常に、大きな問題でございます。
 私が総務省の方とも論議した時に、
「周辺部と言うのは非常に大きな問題で、昭和の合併を見ても周辺部は明らかに疲弊している。これはもう歴史が証明している。」
と意見を出したら、まあ、さすがキャリア組だな上手い事を言う、と思ってメモしたんですが、その役人の方が、
「そんなことは自治とは関係ない。村長は自分の村を行政運営する時に、役場から遠い所を粗末にするような事をしておられますか」と聞くので(笑)
「いやそんなことはない、遠い所ほど大事にしている」(笑)
「それと同じように合併して大きくなっても、周辺部がそんなふうになることは無い、」て言ったんだけれど、これは住んでみないと判らん、と私も言いました。

 昭和の合併の反省から、総務省は地域審議会と言うものを作ると言う話になって、地域審議会で周辺部の問題を解決すると言いました。結局、周辺部問題で盛んに騒がれて、最後には、今回は「地域自治組織」という、法人格を一定期間残していいと、相模原市の一部になっても、「藤野自治区」みたいなのを何年間残していいという事にしました。一方で、そんなものを残したら、新しい自治体の一体感が崩れるという御意見もありますので、非常に難しい話になっていますが。
 当初、私にあのように言った総務省の方々が、やっぱり地域自治組織は必要だと考え直す。周辺部問題というのはそれほど大きな問題でございます。


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