始めに

松島村長

 ご紹介を申し上げました長野県の泰阜村の村長の松島でございます。
 私の村は人口2200人の過疎の山村です。私は合併という手法そのものに反対するわけではございませんが、あちこちから合併しない方向の講演で呼ばれています。そこでいつも思うのですが、よくあるのが『会場の閉館時間が何時なので、それまでに終わらなければならない』と、スタッフの皆さんが大変苦労をする。今日のこの会場も9時までに終わらなければならないという。

 公共施設というのは皆さんの税金で作られていて、住民の皆さんが使いたいのだけれど使えないという管理のされかたというのは、本当は大変おかしい事では無いかと、皆様思いになりませんでしょうか。別にこれ、神奈川県知事のお金で作った建物じゃ無くて、皆様の税金で作られたもので、住民の皆様が使い難いような時間にして管理すると言うのは、誠におかしいなと思っております。


講演会場の「芸術の家」

 私の役場にはですね、役場と一緒にこのような施設もございます。そこでは、住民の皆様には何時までもいい、午前1時でも良いと言っているんです。どこ行っても市や町や村の施設でありながら、どうして市民の皆さんが気兼ねして使わねばいけないのかと疑問に思います。ここにですね、今までの日本の行政の、お上意識が現れているのではないか。
 長野県でも、今は治ったと思いますがこんな事もあって、施設を借りる時に、空いてるかどうかを電話で聞いて、空いていたら「じゃあ借ります」という時に、「本人が来て申請しなければならない」、と言う施設もあったり、とんでもない事だと、そんな事を感じております。

 私はもともと地元の高校を卒業して役場の職員になっただけでございまして、ちょうど44歳のときに訳あって村長選挙に立候補して村長になってから10年経つのですが、従って、地方自治についてきちんとした何の勉強もございませんし、何の教養もございません。学者の先生が話すような理論的な事は何も話す事は出来ませんから、それを前提にしてお聞きになって欲しいと思います。

 私が村長になりましたのは、たまたま役場の職員でございましたが、あの診療所っていう勤務が長くて、勤務柄、医療の方が中心でございました。
 泰阜村は、知る人ぞ知る、『在宅福祉の村』、と言う事になっております。合併しない取り組みとか、合併しないで悩んでいるとか、 地元テレビ局が 1時間番組を2回も放映しました。 私の村は、テレビ局にとって非常に取り上げやすいそうでございます。何故かと言いますと、『住民の福祉と医療を守るために合併しない』という理由が、マスコミに取り上げやすいんだそうでございますが、そんなに立派なものではございません。

 私がシンポジウムに呼ばれますのは、福祉とか医療のテーマも多いのですが、最近はここ藤野町のように、合併のような話が殆どです。先ほど言いましたように、私は合併に反対している村長ではありませんが、合併反対村長という看板になってしまいました。
 一回だけ合併に賛成推進している皆さんから呼ばれましたが、他は殆ど合併反対。住民投票の前に是非と言う事がもう何度もありましたが。今まで私が呼ばれた所で、一つの町は18人の議員の内6人しか合併反対側がいなかった町で、私が2週間前くらいに集会に出ました。そこの町長は絶対合併だと思っていたようでしたが、住民投票の結果、合併反対のほうがが多くてですね、合併反対ということになりました。
 もう一つは、、私が行くと言ったら、そこの村長が職員や議員に、「今日は講演会に行くな」(笑)、と発言がかかったそうで、そこは合併賛成の方が多かったですね。
 もう一つアンケートをとる所があって、そこは圧倒的に合併反対が多くて、そこも合併しないということになりました。奈良県に行った時に、そこも圧倒的に合併反対が多くて合併しなかったという町もございまして、だいたい、半々ぐらいでございます。
 私は、今日は勝手な事をしゃべって、皆さんが藤野の事は皆さんが決めてくれればいいと思っております。


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