第12話 悟空、復活!
八戒は花果山へ着いたが、空から悟空の様子をうかがっていた。
そこでは、悟空が1200匹ものサルの家来達を集め、戦いの訓練をしていた。
八戒はそーっと舞い降り、サル達の中に紛れ込んで様子をうかがってたが、すぐに悟空に見破られた。
「そこにいるのは八戒だな?」
「へぇへぇ、ばれたか...。」
「こんなところで何をしているんだ?」
「実は、お師匠様が大変なんだ。」
「あんなクソ坊主、どうなろうと俺の知ったこっちゃねぇー。」
「悟空兄貴、ちょっとぐらい話を聞いてくれたっていいじゃねぇか。」
「うるせぇ! とっとと帰ってクソ坊主に伝えろ。俺は美猴王に戻ったと。」
「ちえっ。悟空兄貴なんてたいしたこと無いんだ。」
「何だと? 今言ったこと、もう一度言ってみろ!」
「別に...。」
「いったい俺に何が言いたいんだよ。」
八戒は、牛頭夜叉と出会ってから今までのことを詳しく話した。
悟空は怒りながらも、牛頭夜叉に捕らえられたときなぜ、自分の名前を出さなかったのか八戒に問いただした。
八戒は、悟空の名前を出したが、牛頭夜叉にあんなサルたいしたこと無いといわれたと嘘をついた。
それを聞いて怒った悟空は家来達に後を頼むと、八戒といっしょに筋斗雲に乗り、牛頭夜叉の住む仏塔へ急いだ。
空から仏塔をうかがうと、門の中で遊んでいる牛頭夜叉の子ども達の姿が見える。
悟空は子ども達を捕まえて人質にした。その騒がしい声を聞いて、百花公主が外へ出てきた。
悟空は、子ども達と引き換えに沙悟浄をこちらへ渡すよう百花公主に申し出たが、首を縦に振らなかった。
しかし、すでに縄を解かれていた沙悟浄は、仏塔から出てきた。
悟空は、八戒に牛頭夜叉の子ども達をおとりに使って、仏塔まで誘き寄せるよう頼んだ。
そして悟空は、八戒が宝蔵国へ出かけると、沙悟浄を隠れさせ、百花公主を部屋の奥に閉じ込め、自分が百花公主に化けると牛頭夜叉の帰りを待った。
牛頭夜叉は子ども達の騒がしい声につられ、波月洞へ戻ってきた。
「子ども達はどこだ?」
「あなた...。」
「どうした? お前。」
「あなたがいつまでも帰ってこないから、沙悟浄には逃げられ、子ども達はさらわれて
しまったわ。ああ、胸が痛みますわ。」
「この『カタ』はちゃんとつけてやる。それよりも胸が痛むなら、この丸薬を飲むがいい。
楽になるぞ。ただし、下に落とすなよ。」
「下に落とすと、どうなるの?」
「俺の変身の術がとけてしまう。」
百花公主に化けた悟空はそれを聞くと、丸薬を地面に叩きつけた。すると、好青年に化けた牛頭夜叉は正体を現した。
悟空も正体を現すと、騙されたことに気づいた牛頭夜叉は悟空に襲いかかった。
しばらくの間、戦いつづけると突然牛頭夜叉は姿を眩ました。悟空は突然、姿を眩ました牛頭夜叉は下界の魔物ではなく天界の者と見極めた。
そこで、悟空は玉帝に天界で最近、行方を眩ましているものを調べてもらうよう頼みに行った。
玉帝が調べると、「奎星(けいせい)」が姿を眩ましていることがわかった。
玉帝は家来に奎星を捜させ、天界に連れてくるよう命じた。家来が奎星を連れてくると悟空は叫んだ。
「こいつです。」
「やい、夜叉! さっきはよくも俺様をバカにしたな。覚悟しろ。」
「悟空、落ち着きなさい。」
「玉帝様、申し訳ありませんでした。天界の仕事を投げ出した以上、どんな罰でも
受けます。」
悟空は、牛頭夜叉を捜してくれた玉帝にお礼を言うと仏塔に戻り、百花公主を救い出し、城に戻り、虎にされた三蔵をもとの姿に戻した。
「悟空よ、済まなかった。」
「そんなことはどうでもいいけど、あの頭の痛くなるお経だけは、もう2度とかけないで
くださいよ。」
「わかった。」
こうして、無事に百花公主と三蔵を救った悟空は、また三蔵達と一緒に天竺への旅を続けることとなった。
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