韓国ドラマを楽しむのに役立った本 2004年ちょっとした本屋であれば必ず入り口の目立つところに韓国本コーナーが出来ている。 定番の冬ソナ本を筆頭にドラマ解説本が殆どなのだが、このドラマ解説本は当初こそ知らないことも多いのだが、ある程度 韓国ドラマに慣れてくると、今更という記述が多くなり、目新しい事に出会うことは殆どない。 そんな風に感じている時、出会ったこの2冊の本。この2冊のお陰でどれだけ目から鱗が落ちたか。無論どちらの本もドラマ 解説本ではないが、ドラマ解説本を10冊読むより何十倍もドラマの事がわかるようになる。ドラマに描かれる世界が韓国の 総てではないだろうが、ドラマに描かれることは韓国の世界では当然に有り得ることなのだということがよく解る。 奥さんが韓国人という著者が、日々の生活に感じたことを中心にとても穏やかな口調で韓国と日本の違いについて語っている本。 事実は事実として淡々と韓国、日本の生活習慣の違い、行動に見られる国民性、どちらの肩を持つ訳でもなく、ニュートラルな感じで 語られている。一番目から鱗が落ちた思いがしたのは・・「思いやり」という言葉について・・・書かれている部分を読んだ時だ。 ピビンバの国の女性たち 伊東順子 著 講談社文庫 ソウル在住10年以上のジャーナリスト、コラムニストの女性が逞しい韓国女性の生態を中心に歯切れのいい口調で韓国について 語っている本。言っていることは@妻をめとらば韓国人と殆ど違いはないのだが、さばけた語り口調と取り上げる題材の潔さから随分 と元気のいい本になっている。韓国の男と女事情などはドラマの中で垣間見るアジュマパワーの現実がよく解る。 間にはさまれる@韓国お役立ち解説も、ドラマを理解する上ではかなり役に立つ解説だろう。 しかしそんな韓国女性の力強さについて語られるこの本で、一番面白く読んだのは・・・韓国で「冬ソナ」を見なかった人々・・・の部分 だった。 わざと冬ソナを見なかった人がいたのは「秋の童話」にあるということで、秋の童話について語られているのだが、その中で語られる 秋の童話の結末が私の知っている秋の童話とは結末が違うのだ。(ちなみにこの本の中で語られる結末は「夏の香り」の結末と似ており 、その韓国ドラマ特有の大衆迎合主義に視聴者は多いにしらけたと書かれている) |
共演者 | ちょっと一言語る |
ソン・ヘギョ (秋の童話) |
「ホテリアー」 ペ・ヨンジュン演じる冷徹なビジネスマンドンヒョクばかりが取り上げられるこのドラマだが、どうしてどうして対するホテルマン テジュンを演じるキム・スンウのことを忘れてはいけないドラマだ。 ソン・ヘギョ演じるキム・ユニを筆頭にホテルの従業員は皆キム・スンウ演じるテジュンのファンなのだ。 今はペ・ヨンジュン演じるドンヒョクに心が動くソン・ユナ演じるジニョンでさえ、以前はテジュンの恋人だったのである。 キム・スンウはその容貌が一般的な日本人の好みとは言いがたいのが一番の難点だろう。しかしドラマの中の役どころは、新貴公子しかりこのホテリアーしかり頼れる兄貴分なのだ。新貴公子の時は、どうして彼が主役なのか解りかねる部分が多々あったが、このドラマを見た後では、その疑問にも答えが見つかったような気がする。 彼が持つ「裏切らない男」という雰囲気が、ドラマの中の頼れる兄貴分という役柄にぴったりはまるのだ。必要以上に男前でないというのも「裏切らない男」には大事なポイントだ。男前で口が上手いというのは、如何考えても詐欺師である。 必要以上に男前でないというのは頼れる兄貴であるためには、一番大切なことだろう。 お嬢様を演じるソン・ヘギョは秋の童話の雰囲気とは一転、親の愛に飢えたちょっと我儘なお嬢さんを演じている。秋の童話よりかなり早口で、そしてキム・スンウ演じるテジュンに熱烈夢中なのだ。 出番はやや少ないが年上の男性テジュンの思いやりの深さを感じ、ホテルマンとして社会に踏み出そうと決意するあたりは、なかなかだ。 ホテリアーはホテルで働く人々をことをいうのだそうだ。 以前ソウルで 「ホテル イックエ オデエヨ?」(ホテルの入り口はどこですか?) と警備の人に尋ねて、イック(入り口)が通じたのに、ホテルが通じなかったことを思い出した。ホテルではなくホテリと言わなくてはいけなかったらしい。 2005・1・3 |
ソ・ジソプ (ローファーム) |
「バリでの出来事」 ローファームでもあまり笑わなかったジソプだが、今視聴中(2005・1)のこのドラマではもっと笑わないジソプが堪能出来る。 父親がおらず男にだらしない母親に育てられても立派に大学を卒業し、一流企業に就職したのが、ジソプ演じるイヌク。お坊ちゃんのジェミン(演じるはチョ・インソン)に この二人が好きになるのが、ハ・ジウォン演じるスジョンで、ジェミンの婚約者そしてイヌクの元彼女ヨンジェ。 まだ5回までしか観ていないが、この4人が愛を掴もうと、お互いに泥沼なのは、今からでもはっきり解る。 一番の元凶は今のところヨンジェだ。元彼のイヌクを追いかけバリに行き、イヌクに戻ってきて欲しい素振を見せつつも、イヌクとは結婚できない(勿論家柄重視のお嬢様故)「でも好きだから私のものよ。私の元から去って行かないで。」とイヌクと泣き付くかと思いきや、どうもお坊ちゃまのジェミンのことも忘れなれない素振だ。 どっちがいいのかはっきりしろ!あんたがはっきりすれば、このドラマ、もう少し笑顔の溢れるドラマになるのでは?と思うのだが。 バリというバカンス気分溢れる土地の題名がついていながら、ドラマはどんよりとした雰囲気なのだ。とにかくバリのバカンス気分などひとつもないのがこのドラマなのだ。 私がバリ観光協会勤務だったら絶対協賛などしないのだが、このドラマのおかげでバリ人気が高まったとのことだから不思議だ。みなどこかで泥沼に憧れているのか? 私は泥沼でなくてもいい。スジョンのように二人の男性の間で揺れ動きたくもない。一人にっこり笑うイヌクが居れば十分だ。 貧富の差がきっちり描かれる韓国ドラマらしく、このドラマの中でもハ・ジウォン演じるスジョンもイヌクもかなり貧乏だ。特にスジョンなどは友達の家に身一つで居候。化粧品も借り、布団も一組の布団に寝る有様だ。 2005・1・3 |
ハン・ジヘ (夏の香り) |
正直初めて夏の香りで観た時は、スタイルは抜群だが、ちょっと韓国の女優さんらしからぬ風貌にびっくりしてしまったのだ。恐らく大半のファンがそう思ったはずだ。夏の香りでも役柄故に視聴日記で「無駄な努力云々」などと散々なコメントをしてしまったが、でも彼女の頑張りで随分ドラマが面白くなったことは確かだった。そして観ているものに伝わる明るさは、努力で得られるものではないからこそ、さらに大事なものに思えてくる。 「ランラン18歳」 10歳年上の検察官に恋をした高校生が、頑張って頑張ってお嫁さんになり、そして頑張って頑張って妻になるというかなり暢気なコメディ。 一目惚れして結婚したのはいいが、なかなか初夜を迎えられない二人にも笑ってしまうし、お嫁に行った先で古い風習に悪戦苦闘するも、知識でなくて知恵と若さで乗り切ろうとする力技にも笑ってしまう。 言葉が解らなくてもかなり暢気だと思われる主題歌も耳にするたびに笑ってしまう。 そしてなにより一重の目とは思えなくくらい目を大きく見開きハン・ジヘが走り回る様は、誰が見ても思わず笑ってしまうはず。「ウリ アジョッシ」と連発する姿も初々しいし、このドラマ馬鹿馬鹿しいがかなり好感度の高いドラマだ。 共演の検察官役イ・ドンゴンにとっては、実年齢ではさほど年上でもないのに「アジョッシ」「アジョッシ」と連発され、ある意味受難のドラマかもしれない。でもハン・ジヘの口から出る「アジョッシ」に愛が感じられるゆえこちらも好印象である。 2004・8・15 |
チャ・スンウォン (メッセージ) |
リベラメでの知能犯役はどうもしっくりこなかった。あの映画はどうしても火の印象が強いし、チャ・スンウォンの演じる知能犯の悲しみを感じるまでにいなかったのだ。しかし先日観た「先生 キム・ボンドゥ」やドラマ「ボディ・ガード」などのコメディはかなり面白かった。 「ボディ・ガード」(ミステリー・チャンネルで視聴) 韓国ドラマのコメディとはこんなに解りやすく展開していくものなのかと、こんなに典型的な描き方ばかりでいいものかと、観始めた頃は最後まで見る気になるかちょっと心配だったのだ。 しかしチャ・スンウォンがボディ・ガードになってからの対悪役との展開は、解ってしまうが故の安心感からそれなりに楽しく観る。チャ・スンウォン演じるボディ・ガードはそんなに高尚な理想を掲げているわけでもないのに、何故か皆に好かれ(ハン・ゴウンからもイ・ウンギョンからも好意を寄せられる美味しい役だ)そして両親にも愛されと、なぜかすっかり巷の愛すべきヒーローになっているのだ。そして面白かったのは両親(特に母親)の示す長男への愛情だった。無職の時は足蹴にしていたのに、ボディ・ガードになってからはすっかり自慢の息子になってしまい、ことあるごとに息子の自慢をする。日本のドラマにはない展開のように思い、ちょっとだけ家族の情愛の表現方法の違いなどを感じたりする。 2004・8・15 追記 チャ・スンウォンがボディガードになる前にキャバレーのボーイをやる場面がある。チャ・スンウォンはいい男性を紹介出来ずにアジュマに嫌味を言われていたのだが、どうもその流れがよく解らなかった。しかし@ピビンバの国の女性たちの@韓国キャバレー潜入記を読んですっきりする。韓国でのキャバレーは中年合コンの発祥地なのだという。正義感溢れる彼はそんなことは出来ないとアジュマに断わり、アジュマの怒りを買っていたのだ。 2004・8・29 |
ハン・ゴウン (Happy Together) |
「ボディ・ガード」 HappyTogetherで初めて観た時は、日本人の私でもわかる台詞の棒読みにあっけに取られたものだ。Happy〜ではある意味お金と権力で愛情を手に入れようとするなかなか強かな女性だったが、「ボディ・ガード」では一転正義感溢れる出来る女ボディガードになっていたのにかなりビックリした。正直、演技が上手になっていたかどうかは解らないが、白のタンクトップと黒のスーツというボディガード姿での回し蹴りは、ドラマの中ではカッコいいという設定故、かなり苦労の後がうかがえる。 このドラマ かなり典型的な筋立てと役柄設定で、先が見えてしまうが、愛情と愛憎が渦巻くばかりが韓国ドラマではないというのがよく解る。コメディはあくまでの解りやすい設定が大事なようだ。 2004・8・15 |
チェ・ジウ (メッセージ) |
冬のソナタ・美しき日々など彼女の出演しているドラマはそれなりに観ているが一押しはリュ・シウォンと共演している「真実」だろう。 「真実」(テレビ神奈川で視聴) 貧乏人はどこまでも貧乏で、持てる者はその力ゆえさらに富んでいくというスタイルに最初はビックリするが、持てる者が唯一手に入れることが出来ない愛を得ようと何でも行う様(替え玉受験、飲酒運転の隠蔽)は途中から麻薬のように感じられ、もっとありえない展開をもっと刺激的な展開をと、どんどん過激な展開をみることに快感を覚えてしまったりするのだ。韓国ドラマはありえない展開にどっぷりつかってこそ面白いということを改めて実感させてくれるドラマだった。 途中の展開まで先に見せ、そこまでどんなことがあったのか、そしてその後はどうなると興味をそそらせる、割と狙った展開もありえない展開にどっぷりつかればかなり面白く楽しめる。 主人公はチェ・ジウであるが、彼女とリュ・シウォンという主演コンビより、イ・シニ(パク・ソニョン)演じる成績がさえないお嬢様と、自分の貧しさを悲観し、世間全部が敵のように生きているパク・スンジェ(ソン・ジチャン)の二人の屈折した愛情物語として観た方が何倍も楽しめるドラマである。 (このあたりはヒョンチョル先輩とソンミの愛の物語としてみるより、ウジンとヨンミの物語として観た方が面白いイブのすべてと似ているかもしれない) 2004・8・15 |