電気で食う人々 1
福島の原発事故以降、目立たなくはなっているが、よく知られているように、電力会社の広告主としてのマスコミへの影響力は大きなものがあった。当然、原発はタブーであった。
これは「電力の横暴」であると同時に、マスコミ各社も出稿を受ける形で利益が出る仕組みでもあったわけだから、俯瞰で見れば両者は「共犯」である。しかし、なかにはこうした相互の利益という関係ではとらえられないものあるのかもしれない。
「電力時事通信」という媒体がある。官庁や企業の広報した資料を数枚の紙にまとめてホチキス留めしたものである。この「ニュースレター」が結構な金額の定期購読料である。広報資料はインターネットで簡単に手に入る時代。誰が買うのだろうか。もちろん買う人の自由だけれども。
「国会画報」という月刊誌があった。これは分厚い上質紙のしっかりしたつくりだった。内容は、国会議員や閣僚などへのインタビューが少し、あとは政策についてのお堅い原稿や、政治学者への依頼原稿など。美術欄などもあった。そして電力会社のPR記事である。この雑誌も購読料は結構な額であった。もちろん買う人の自由である。
さて、話は変わるが、今後東京電力は、福島の事故の補償に追われることになる。電力料金の値上げや国庫からの負担も検討されている。もちろんこの会社には、思うにまかせて広告を打ったり、物を買い込んだりする自由はなくなるんだろうなと思う。たぶんそうだろう。
(2011.8.6)
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