続・新型探線アンカーの開発
 前回小型モデルの実験を経て、良好な結果から爪深度80cmを目標とした実用モデルの作成を行いました。今回その実用モデルの使用結果報告を致します。

1.探線作業への使用

 今回新型探線アンカーが使用された場所は、今までの探線アンカーでは何度やっても捕線(海底ケーブルを引き上げること)が出来なかった難所らしく、新型探線アンカーの性能を知るには、絶好の場所だったようです。水深は29m、底質は砂、ケーブル埋設深度は80〜100cmで破断荷重10tのロープを使用して探線作業を行っています。
 作業では探線を行うと共に新型探線アンカーの性能を測るために、把駐力測定やダイバーによるアンカーの写真撮影を行っています。
 
新型探線アンカーの作業前準備。 ストックの取り付けを行い、作業場所への投錨の様子。

 探線アンカーを投錨して着底後に、1〜2tで曳航を開始。海底ケーブルがあるポイント付近で把駐力が4.5tに急激に増加し捕線出来ました。この時、アンカーに接続していたロープが破断(ロープが古く傷んでいたため)したため、ダイバーが探線アンカーに揚錨用チェーンを海底にて接続し、ケーブルとアンカーを回収しました。
 
海底に完全に貫入しているアンカーの様子。(左)シャンクの中央付近まで潜っている。(右)片爪が完全に貫入し、シャンクも海底に埋没してるのが分かる。
海底ケーブルをしっかりと捕線し、引き上げられる探線アンカー

2.作業結果を得て
 今回の結果により、新型探線アンカーが探線作業に充分適している事が分かり、性能テストとしては大成功と言えるでしょう。既存の探線アンカーでは捕線できなかった個所において1回の曳航にて、アンカーロープの断線があったものの海底ケーブルの引き上げに成功できた事は、今後の作業効率やコスト面において非常に有効であると言えます。また、曳航時の把駐力が1〜2tと極めて小さな抵抗しか出ていないので、把駐力を抑える設計が効果的だったことがわかります。ただ、1回で捕線してしまったため、曳航時のアンカー状態や把駐力などのデータが充分に取れなかったので、今後とも実作業において新型探線アンカーを使用し、データ収集を行う事が必要になると思います。
 今後は水深1000mを超え、2m貫入を目標とした大型の探線アンカーを目指していきたいと思います。