スペインに行こう 3



スギ花粉編(6日目夜、アルハンブラ宮殿にて)


 桜子「あれ、これもしかして杉?」
みのり「本当だぁ。しかもこの黄色いのって、もしかして花粉ですか?」
 一条「たぶんそうじゃないか? そろそろ季節だし。この陽気じゃな」

 このとき幸か不幸か、残り二人は席を外してたのだが。
 で、問題なのは、花粉症なのはこの三人ではなく、その二人だということで。

 桜子「うわぁ、五代くんと椿さん、これを知ったら嫌がりそう」
 一条「けどもうすぐ戻ってくるぞ」
みのり「じゃあおにぃちゃん来たら杉の枝を揺らしちゃいましょうか」
 桜子「みのりちゃん……それって鬼」

 おまけのその後・移動中バスの中

みのり「で、なんでおにぃちゃん、桜子さんの後ろに座るかなぁ」
 五代「え? なんで? ……くしゅん!」
みのり「さっきさぁ、ずっと桜子さん、杉の前に立ってたじゃない。
    だからたぶん髪にいっぱい付いてると思うよ、花粉」
 五代「そういうことは先に言ってよ〜!」


タオル、プリーズ編(7日目夜、ホテル・夕食にて)


  椿「やっぱりここのバスタオルほしいよなぁ」
 五代「あ、俺も」
みのり「私も欲しいです」
 桜子「いいけど、パチるのだけは止めてね。このホテル気に入ってるんだから」
みのり「やっぱり、フロントで頼むのかなぁ」
  椿「どうやって?」
 五代「タオル持ってプリーズって言えば通じるんじゃないか」
  椿「いや、それだけじゃダメだぞ、五代。そこはやっぱり斜め45度に首を傾げてだな、
    相手を見上げて可愛らしく『プリーズ』って言わないと」
    (さぁ皆様、椿さんでこれを想像してみましょう)

 不幸だったのはこれを正面から見てしまった一条で、見事に水を吹いた。

 一条「正面でやるなぁ! おまえ自分が幾つだと思ってる!」
  椿「26」
 一条「それが26の男がやることか!」

 結局、添乗員のMちゃんを通じて頼むことになりました。


スカーフ購入編(8日目、某ブランドショップにて)


みのり「うん、これにする。おにぃちゃん、カード貸して」
 五代「またか、みのり」
みのり「だって持ってくるの忘れちゃったんだもん。いいでしょ、その分日本円で今払うから」
 五代「しかたがないなぁ」
みのり「ありがと、じゃあこれでお願いします」
 店員「じゃあパスポートのコピーをお願いします」
みのり「おにぃちゃん」
 五代「うん………あぁ!」
みのり「どうしたの?」
 五代「パスポートのコピー忘れた」
みのり「えぇ!」
 五代「保険証のコピーならあるんだけど」
みのり「それじゃ使えないでしょ!」


RPGコマンド編(8日目、夕食団欒中に)


 五代「トラブル時の技と言っても色々あるよね」
  椿「桜子さんはMちゃん召還の技を持ってるんだよね」
 桜子「みのりちゃんは『逃げる』で、椿さんは『戦う』かな。一条さんは?」
 一条「『仲間を売る』」
 五代「人非人〜〜!」
 一条「俺は足が遅いからなぁ、逃げたらまず掴まるのは俺だろう。そこで別の人間を身代わりにたてると」
 桜子「さすが一条さん。でもそうすると売られるのは……」
 五代「なんでみんな俺を見るわけ」
みのり「だってねぇ」
 一条「五代、よぉく考えて見ろ。このメンバーで、だ。
    誰かが掴まったとして、そいつが『皆、待って!』と叫んだとする」
 五代「はい」
 一条「その時、止まってくれるのはおまえだけだ」
  椿「だよなぁ」
 桜子「私たち、絶対。他人のフリするものねぇ」
みのり「うん」
 一条「頼むぞ、五代」
 五代「い〜や〜〜〜!!!」


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