08.09.09(TUE) 鹿島槍ヶ岳(1日目) 北アルプス


 今年は7月に梅雨明け10日の晴天もなかったし、その後もほとんど晴れず、豪雨やカミナリばかりの不安定な天気が続いた。温暖化のせいと言えなくもないが、しかし何年か前にもこんな夏はあったし、サザンの歌詞にあるようにその昔にもあった。

 9月の8日の午後になって、本当に久し振りに前橋から赤城山が見え、湿度も下がって天候が安定しそうな気配が見えた。夕方の天気予報では3日間は持ちそうである。夏の初めから天気が安定したら北アルプスに一度は行きたいと思っていたので、急遽全てを放り出して明早朝、鹿島槍ヶ岳に行くことに決めた。


 コース1日目:爺ヶ岳登山口9:20→一枚岩11:55-12:10→種池山荘14:00 (所要時間4時間40分)

 駐車場:立山黒部アルペンルートの扇沢の橋(鉄橋)の手前が駐車場(登山口)。道路の両側に駐車できる。さらに橋を越えた右側にも駐車場がある。4〜50台分位? 9日の9時はほぼ満車、11日の正午頃はガラガラだった。トイレはない。
 アルペンルートは、シーズンによっては大渋滞になるなどの情報があって、気にしていたが特に渋滞は無かった。
尾根の上の種池山荘(右の白い点)
3分の1ほど登った所から
 種池山荘 標高 2453m 
        標高差 1062m 
        距離 4km
 
   
  コースタイム 3時間35分

参考;
    高崎IC6:00⇒豊科IC8:00⇒扇沢駐車場9:00

     小諸ICで一度降りて通勤割引を活用。

 高崎ICから扇沢まではまったく順調で、登山口の駐車場もすぐ分り、橋の先になったが駐車場所も確保できて一安心。しっかり仕度をして登山口に向う。登山口の前の駐車場には2台分程のスペースが出来ていた。車で着いた時はなかったので、下山してきた人が出て行ったのだろう。満車でも少し待てば空くこともあるのかも。
扇沢の鉄橋と登山口
道の両側と橋の先右側に駐車できる。


 樹林帯の山道らしい道を扇沢に沿って登る。激しい沢音が聞こえる。道はかなり上の扇沢源頭部のガレ場以外道幅も広く、よく整備されていて歩き易い。人気コースの割にはあまり痛んだ感じはしない。この夏の豪雨で崩れたような所もまったく見なかった。
 先は長いし、最近はほとんど歩いておらず、標高差1000m以上を登るための身体の準備もなく飛び出して来ているので、例によってことさらゆっくり登る。登山口付近で遇ったご夫婦は、あっという間に登って行ってしまい、種池山荘まで二度と後姿さえ見ることはなかった。
針ノ木岳とアルペンルート扇沢駅
八つ見ベンチ付近


ナルコユリの実 ダケカンバの古木


 もう花の季節は終わりで、ゴゼンタチバナやナナカマドなどの赤い実が目立った。花は小ぶりのリンドウにアキノキリンソウ、咲き残りのアザミくらいだろうか。
 登り始めてすぐのテレビの集合アンテナのある尾根で、携帯が使えたので種池山荘に予約の電話を入れる。当日登り始めてからなんて予約のうちに入るのかな、と思いながらの電話だったが、気持ちよく受けてくれて、到着して受け付けに行ったら予約者にあげているという絵葉書までもらってしまった。


針ノ木岳への稜線 岩ベンチ


 登山道には下から順に、八つ見ベンチ、ケルン、一枚岩、石畳、水平道、石ベンチ、ガラ場などの道標があって、長い登りに一区切りつけてくれる。八つ見ベンチからは文字通り八ヶ岳が見えるらしいが、下が白んでいたのでむしろ富士山がよく見えた。石畳は道作りの苦労が偲ばれる見事な大岩を敷き詰めた道である。ガラ場は扇沢の源頭部でこの道で唯一緊張する場所である。
 そのガラ場の抜け際のところで、単独の男性がザックを背負ったまま、頭を下にして屈んで崖に身を乗り出して何かしている。何んだろうと思いながら近付いたら、男性が立ち上がって、”イチゴですよ、食べませんか”と手のひらに乗せた赤いイチゴを二人に一粒ずつくれた。命がけで採ったイチゴを頂いて食べたら懐かしいすっぱい味がした。シロバナノヘビイチゴだと思う。でも慣れているんだろうけれど信じられないことをするなあ。


北アルプスの東の壁、蓮華岳、餓鬼岳方面
山のスケール感がいいなあ。
やれやれ種池山荘到着


 ガラ場を抜けて、最後の苦しい一登りで、また心配していた通り足が攣りそうになった。堪らずに腰を下ろしたら、両足のふくらはぎと太ももの筋肉のあちこちが、勝手気ままにびくびく痙攣しているのが分る。それが治まるのを待って、だましだましゆっくり登り、やっとのことで展望のいい尾根の上の種池山荘に着いた。ピーカンだったけれどこの道は日陰が多く助かった。長く天候の勝れなかった後の沢沿いの道なのに、濡れたところもなく、虫もほとんど居ない快適な道だった。


 早速受付を済ませ、部屋に案内してもらう。2階の八人部屋に4人だからこれは楽だ。先着で休んでいた同室のご夫婦に挨拶して、早速スリッパを引っ掛けて爺ヶ岳側の展望のいい尾根まで散歩する。本当に気持ちのいい展望が広がっていて、この展望を見たらそのまま山を下っても満足するのではないだろうか。


種池山荘周辺の展望:
 








 
 明日越える爺ヶ岳


 







      明日登る鹿島槍ヶ岳

    なだらかな尾根の右端に
     冷池山荘が見える。


 実は目の前に剣岳、立山の山々、針ノ木岳、遠く南アルプス、富士山、八ヶ岳などの展望が広がっているが、三日間同じように晴れが続き、同じような風景を見て歩いたので、その紹介は後回しにしたい。
駒ケ岳、僧ヶ岳、毛勝山など北西の山々


 夕食の5時半まで部屋で休息する。同宿のご夫婦は佐久の人で、昨日登り冷池山荘泊の一泊二日で登る予定が、やはり運動不足の旦那が膝を痛めてしまい、扇沢へ下るのをあきらめて種池山荘泊になったとのこと。足が攣りそうになった話をしたら水不足だと言う。確かに二人で500mlのペットボトル1本ずつ持って1000m登って来て、まだ水が残っているというのは、水分摂取が足らないかも知れない。明日爺ヶ岳を超えて鹿島槍に登り冷池山荘に下るのに、1人500mlでは足らないのでこれを持っていきなさいと、1Lのペットボトルまで出してくれた。1Lの水を余計に担いだら、そちらでばててしまいそうな気がしたが、好意はありがたく頂いた。この日の種池山荘の宿泊者は30人ほどだった。



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