08.04.04(FRI) 神成山 西上州(富岡)


 ”山渓”3月号に紹介されていた神成山を歩いてきた。神成山は富岡郊外の標高321mの里山で、近くて手軽でそれなりに歩けて、春らしい花に会えそうな所として選んだ。花は麓の住人が種からの育成に成功して、有志がハイキングコースに植えつけたという絶滅危惧植物オキナグサである。


 コース:宮崎公園9:40→南中学校9:50→神成山10:35-10:50→打越の御嶽さん11:45→新堀神社12:20→南蛇井駅12:55-13:29→神農原13:35→宮崎公園13:50 (所要時間4時間10分)

 帰りに楽しそうなので上信電鉄を利用したが、車で行ったら麓を歩いて戻った方が早いかもしれない。歩く距離も、駅まで+駅から歩く距離と大して違わない。

 駐車場:宮崎公園(宮崎公園利用者以外使用禁止の立て札がある)。トイレ公園にあり。
神成山


 山渓の案内には入下山口が違うためマイカー利用には向いていないと書かれていて、駐車場等の情報がない。ウェブ検索してみると神農原側はの宮崎公園、南蛇井側は吉田公民館の駐車場を借りるようだ。宮崎公園の駐車場は上下に2箇所あるようだが、何れも狭く(両方で8〜9台?)山歩きに使わせて貰うにはちょっと気が引ける。


 宮崎公園は既に神成山に続く稜線近くの小高い丘にあって今は桜とミツバツツジが満開でそれだけでも楽しめる。オキナグサの植栽地も2箇所あるようで、写真の東屋の左下には百本規模で植えられていて、花も付けていたが雰囲気は今一。生き生きした株が育つにはまだ数年かかりそうである。東屋の左上にも小さなオキナグサの花壇がある。 
宮崎公園


 宮崎公園からは西上州の稲含山、小沢山、四ツ又山、鹿岳などが見えて展望がいい。宮崎公園の東側が工事中なのが残念だが、一回りしてから案内にしたがって、神成山のハイキングコースへ向う。ハイキングコースの入口は富岡西中学校の裏で、ちょっと殺風景だがすぐ林の中の、良く手入れされたハイキングコースの雰囲気になる。
宮崎公園の桜と稲含山


 落葉した雑木の林の中をお地蔵さんやお不動さんの石仏や石碑に導かれて、僅か10分ほどで宮崎の御嶽さんに着く。この道端に小さな花壇のように、いかにも今年植えたと思われるオキナグサが10数株咲いていた。 


宮崎の御嶽さん オキナグサ


 その先に岩壁の上の見晴台がある。西上州の山々と、眼下に鏑川沿いの平らな農地の広がりが見え、たまたま上信電鉄の電車がオモチャのように走って行く。これから歩く稜線の小さなピークの連なりも見える。神成山は南の鏑川側がほぼ垂直に近い絶壁で、北側は大雑把に言ってなだらかな森である。


オキナグサ 神成山山頂=下鍛冶屋御岳さん


 さらに神成城跡など小広い森を抜けて、ミツバツツジの咲く道を登って行くと神成山の山頂に着く。祠と、祠の反対を向いた矢尻のような形の高い石碑があり、下鍛冶屋御嶽さんと案内が立っている。この周りにもオキナグサがあり、シュンランも咲いていた。百葉箱のような小屋にはノートが入っている。


ミツバツツジ オキナグサ


 神成山を下り宇芸神社跡へ登っていくと、急な登り道の両側にかなりの数のオキナグサが咲いている。ここのオキナグサは根付いたもののようで、やっと会いに来た花に会えたという感じがした。ただ株そのものは花柄が二本から三本の小さなものがほとんどである。そろってたくましく大きな株に育ってくれることを祈る。
 宇芸神社跡からの道を下っていたら、東京から1人で電車で来たという年長の男性とであった。オキナグサは咲いていますか。というのですぐ先に咲いてますよというと安心したようだった。またしばらくミツバツツジの咲く道を上がったり下がったりで、石祠と石灯篭のある打越の御嶽さんと書かれた山頂に着き、その先にも打越の御嶽さんと書かれた石碑のある山頂があった。それにしても御嶽さんが並んでいる。せまい山域なのに昔はそれぞれの集落ごとに、それぞれ御嶽さん遥拝所を持っていたということなのだろう。


大桁山と鍬柄岳 四宮吾妻神社


 そしてこのコース最後のピークが、石祠の並んだ四宮吾妻神社である。ここからはお隣の大桁山とその山腹に突き出した岩峰鍬柄岳が良く見える。最後の新堀神社への下りはかなり険しい感じで、こちらから登った方が山登りらしい感じはするかもしれない。途中で親子かと思われる二人連れの女性に出会った。人に会ったのはそれだけである。


神成山とその麓 大サボテン


 下山口は新堀神社の参道にありちょっとお参りをして戻る。参道にもオキナグサが植えられていたがもう萎れかけていた。周辺は山里の雰囲気を残していて民家が寄り添っている。その一軒の広い庭の、それも建物の軒先に、巨大なサボテンが生えている。山渓の案内で知ってはいたが実際に見ると、まさに聞きしに勝る大物である。たまたま庭に居たこの家の奥さんの話によると、最盛期には600くらい花をつけたという。今は5〜6月ごろ400くらい花をつけるが、木が大きいのと一度に咲かないのでそれほど沢山咲くようには見えないという。サボテンが軒に近いので風が吹くと家が壊されるのではないかと怖いので、欲しい人にはあげたいのだけど誰ももっていってくれないと言っていたが、本音かもしれない。花の頃また来て下さいと言って頂いたが、月下美人と同じように、花が開くのは夜だそうである。


オキナグサ
南蛇井駅の線路脇に雑草のようにたくましく咲いていた。
オキナグサ
神農原駅の素朴な花壇の大株


 大通りへ出て南蛇井駅に向って歩く。高速道路の下をくぐる。上信電鉄は風景に溶け込んでいるのに、高速道路はどうしてこうも無粋なんだろうね。南蛇井駅まではけっこう距離がある。南蛇井駅は見えず何処にあるのか皆目見当も付かずに歩くせいかもしれない。南蛇井駅のすぐ手前に吉田公民館があった。それなりに広い駐車場と予備の駐車場のような所もあるが、公民館利用者以外駐車禁止と書いてあるから、勝手に止めるわけには行かないだろう。お願いすれば空いている時は使わせてもらえるのかもしれない。
 南蛇井駅で30分電車を待つ。13時は1時間に一本だから運のいいほうかもしれない。ホームに上がってみたら上がり口や、線路のはずれに雑草のようにオキナグサが沢山生えている。大株で沢山花を付けている。神農原駅の前の小さな花壇にも、テンコ盛りのようなオキナグサが咲いていた。こんなに強い草なら今に山の上でもこんなのが見られるようになるかもね。神農原駅から宮崎公園に向って歩いていたら、山で出会った老紳士に再会した。また会いましたね。と声をかけたらこれから温泉(かぶら健康センターかのさと)に入って帰りますと元気に歩いていった。



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