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養護学校実践「いなくなる子をひきつける」 茨城県立土浦養護学校 河村 要和 |
4月,担任となった2年生のクラスには家を抜け出してしまう児童がいました。学校に来始めれば,今度は学校から抜け出してしまうことになります。どのように学校やクラスにひきつけ抜け出してしまうことをなくすか。その手立てについてです。子ども達をひきつける何らかのヒントにしていただければと思います。
1 たくさんの時間をかかわる
(複数担任制ですので,当分の間私がその子とメインにかかわることとなりました。)
@ その児童とたくさん遊び,関係作り
その児童の好きな自転車乗り・ブランコ遊び・正義の味方ごっこなどを一緒にしながらいろんな話をする。
学年の他の子ども達も巻き込みながら一緒に遊ぶ。
A アニメなどの絵を描いたり養護学校用の教科書を一緒に見たりして,いろいろなことを教える。
4歳ほどの力があるので,勉強に対しての意欲はある。いろいろなことが分かるとやはりうれしい様子を見 せる。
2 夢中になりそうなことを探す
遊びの中で,勉強の中で,生活の中で,その児童が夢中になれそうなことがないか常に注意を払う。
生き物が特に好きなようだ。 |
ということを見つける。(父親も家でたくさんの生き物を育てていた。)
3 夢中にさせる
かえる探しが始まった。校庭はそれほど広くないが,農耕班の畑も脇にあり,柵の向うは山のようになっ ている。校庭の周りは芝生に囲まれている。探せば小さな生き物がたくさん潜んでいる。もちろんかえるも いる。
かえるを捕ってきて,教室にある水槽に入れた。帰りには逃がしたので,毎日午後の遊びの時間にはかえ る探しをした。
時にはトカゲも見つけた。かごに入れ,いろんな先生に見せて驚かせた。(すぐ逃がす。)
畑の奥の側溝でおたまじゃくしを見つけた。教室で飼い始めた。水の入れ替えと水槽洗いを教えていった。
生き物探しに加え,生き物のお世話の活動が毎日の日課となる。
畑の奥の側溝でザリガニ発見。教室で飼い始める。もとからいたカメと合わせて,教室に水槽がたくさん 並び,生き物ランドができた。
ザリガニ捕りと水槽洗いが日課になった。 |
それからは毎日午後の遊びの時間に,ザリガニ捕り,水槽洗いを一生懸命するようになった。ザリガニの 捕り方,水槽の洗い方をいろいろ教えていくうちに,児童との関係がぐっと近づき,私の後をついてはなれ なくなった。他の児童とも一緒に遊ぶ機会を広げ,学校を抜け出してしまう様子はほとんどなくなった。
4 2学期現在
バッタ,かまきり,トンボ捕りが始まった。捕ってきて教室に置くが,帰りには逃がした。
教室内では現在カメ,ザリガニ,鈴虫を飼っている。カメ,ザリガニの世話はクラスの何人かで行っている。
落ち着きが出てくるとともに,字をたくさん覚えたり,友達に対する本来のやさしさもたくさん見られ
るようになった。夢中になることを見つけ,児童が自分でできることを作っていくことが,その子の自信とな り,次への成長につながると考えている。