哲学・思想
小さい頃から色々とくだらない事を考えるのが好きだったせいか、10代から20代前半にかけて手広く読んだ記憶だけはあるのですが、社会人になる前に友人や後輩に大量処分してしまい、しかも度重なる経済難で古本屋に売り払ってしまったおかげで手元に残ってるのはこれだけです。最近も懐かしさから気まぐれで買ったりしてますが、やはり若い頃に熱中する分野みたいですね。


プラトンの哲学
藤沢令夫
(岩波新書・新赤版 537)
現代思想では<形而上学の淵源・権化>とされて評判の悪かったプラトン。しかし、最近はその評価の見直しが進んでいるようです。本書はそのプラトン研究の第一人者によるプラトン哲学の入門書で、竹田氏の「プラトン入門」がどちらかというと再引用あるいは恣意的解釈に傾いているのとは異なり、自身の研究観に忠実にプラトンを描ききっております。
プラトン
斎藤忍随
(講談社学術文庫)
プラトンの呪縛
佐々木毅
(講談社学術文庫)
プラトンの思想をめぐり、20世紀の政治哲学がそれといかなる距離をもったものであったかを分析しています。私が読んだ当時は単行本でしたが、今では文庫本になって入手し易くなっていますので、政治哲学に関心ある方には是非お薦めです。
アリストテレス倫理学入門
J.O.アームソン(著)
雨宮健(訳)
(岩波同時代ライブラリー)
「ニコマコス倫理学」を中心にアリストテレス倫理学の真髄をやさしく解説しています。でも、初心者には随分難解ですが、理解したい人には最適の「1冊目」の入門書でしょう。
ところで、訳者の雨宮健氏といえば、「ノーベル経済学賞に最も近づいた日本人」として有名な計量経済学者なのだそうです。
ニコマコス流頭脳ビジネス学
大平健
(岩波書店)
いわゆる哲学書ではないんですが、無能な上司や職場ではびこるネガティブな空気などでお悩みの方にお薦めの仕事「哲学」の本。(少なくとも)あなた(だけ)をポジティブ志向に変えてくれること、間違いなしです。(やっぱり、ビジネス・スキルには心理学的アプローチが重要なのかもね)更に哲学好きの方なら、一粒で二度楽しめます。でも、そこで標的として書かれているのは、上司だけでなく自分も含めてだったりして...著者は聖路加国際病院の名物精神科医です。
「良い仕事」の思想
杉村芳美
(中公新書)
西洋で"労働"というものに対する評価がその時代によっていかに変遷してきたかを考察しています。
帰ってきたソクラテス
池田晶子
(新潮社)
自分の頭で考える倫理
カント・ヘーゲル・ニーチェ
笹沢豊
(ちくま新書)
ヘーゲルの「法」哲学
加藤尚武
(青土社)
ヘーゲルの『法哲学』での議論を身近な言葉で置換して説明しようとした意欲作。『法哲学』の原典(私の場合はもちろん翻訳)を読むと、歴史的なイメージが常に付き纏ってしまい、なかなか本質的な主張を見失いがちなのですが、本書では思い切って卑近な例をモチーフに的確かつ分かり易く説明しています。う〜ん、でもやっぱり難解かなぁ?かなり前に「現代思想」に連載されていた文章を加筆したものです。
ヘーゲルに還る
福吉勝男
(中公新書 1472)
ヘーゲルの生い立ちとその歴史的な背景を絡めて、ヘーゲルの国家観や倫理観がいかにして生成されたかについて書かれた入門書です。『法哲学』あたりに関心のある方にはお勧めです。
新しいヘーゲル
長谷川宏
(講談社現代新書 1357)
在野のヘーゲル研究第一人者の手によるヘーゲルの入門書。冒頭でのヘーゲルに限らないアカデミズムに対する批判は痛快ですが、それでもやっぱり難しいものは難しいですよね。特に、『精神現象学』、『哲学史講義』、『歴史哲学講義』、『美学講義』あたりに関心のある方にはお勧めです。
社会思想史講義
山中隆次
(新評論)
自由論
J.S.ミル(著)
塩尻公明,木村健康(訳)
(岩波文庫・白)
職業としての政治
マックス・ウェーバー(著)
脇圭平(訳)
(岩波文庫・白)
社会科学の方法
M・ヴェーバー(著)
祇園寺信彦(訳) 祇園寺則夫(訳)
(講談社学術文庫)
M.ウェーバーのかの有名な『客観性』論文を収録。しっかし、この訳文、どうにかならんかねえ?
マルクスその可能性の中心
柄谷行人
(講談社学術文庫)
はじまりのレーニン
中沢新一
(岩波同時代ライブラリー)
ソ連崩壊で今時流行らない「レーニン」をオウム事件(これを読んだ時は確か事件前だったが)で評判を下げた「中沢新一」が伝記風にレーニンの笑いに潜む唯物史観を分析しています。
金融資本論(上)(下)
ヒルファディング(著)
岡崎次郎(訳)
(岩波文庫・白)
ツァラトゥストラはこう言った(上)(下)
ニーチェ(著)
氷上英廣(訳)
(岩波文庫・青)
道徳の系譜
ニーチェ(著)
木場深定(訳)
(岩波文庫・青)
この人を見よ
ニーチェ(著)
手塚富雄(訳)
(岩波文庫・青)
これがニーチェだ
永井均
(講談社現代新書 1401)
存在と時間(上)(中)(下)
ハイデガー(著)
桑木務(訳)(岩波文庫・青)
ハイデガーの思想
木田元
(岩波新書・新赤版 268)
私が知る限りでは、最良のハイデガー入門書だと思います。
パルチザンの理論
カール・シュミット(著)
新田邦夫(訳)
(ちくま学芸文庫)
ユダヤ人問題、ケルゼンの敵、第二次大戦の戦争責任などであまりよいイメージのないカール・シュミットの手による戦争論・政治論。<パルチザン>による戦闘は近代世界の敵概念に大きな変容をもたらしたと主張しています。これは、立場的に正反対にあるベンヤミンとかなり類似した問題意識によるものであり、シュミット擁護者および批判者ともに必読の書です。特に、NYテロ事件の問題を深く考えるのにも有効だと思います。
リヴァイアサン
近代国家の思想と歴史

長尾龍一
(講談社学術文庫)
"純粋法学"で有名なケルゼンとその対立項に位置するC.シュミットの戦前ドイツでの"国家論"論争を軸にその時代背景と二人の人間ドラマを描き出しています。
現代の哲学
木田元
(講談社学術文庫)
現象学
木田元
(岩波新書・青版 763)
1970年の刊行以来、今やロングセラーとなっている現象学の入門書。フッサール,ハイデガー,サルトル,メルロ=ポンティに至るまで、読み易い文体で現象学の変遷を解説しています。
はじめての構造主義
橋爪大三郎
(講談社現代新書 898)
いかにもキャッチーな切り口でソシュール、レヴィ=ストロース、神話論、記号論などの取っ付きにくい構造主義の思想をコンパクトに概観した入門書。
ミシェル・フーコー
内田隆三
(講談社現代新書 989)
メルロ=ポンティ入門
船木亨
(ちくま新書 238)
メルロ=ポンティの入門書のはずなのですが、著者もあとがきで認めている通り、メルロ=ポンティの考えと著者の考えとが混在してしまっていて、メルロ=ポンティの思想を系統立てて理解するのには分かりにくくなっている気がしますが、「なぜ、そういう問いを立てるのか」という観点から哲学的な諸問題を論じているので、それはそれで面白いと思います。
ただ、やはり本書を購入する方の動機を考えると、もうちょっと親切であってもいいかなという気はします。むしろ、メルロ=ポンティの思想をある程度理解している読者向けなのかも。
知覚の本性
M.メルロ=ポンティ(著)
加賀野井秀一(訳)
(法政大学出版局)
小説・倫理学講義
笹澤豊
(講談社現代新書 1380)
現代ヨーロッパの精神
加藤周一
(岩波同時代ライブラリー)
サルトル、ゴットフリート・ベン、グレアム・グリーン、カール・バルト、シモーヌ・ヴェーユ、E・M・フォースタら6人の思想家・作家をとりあげ、彼らが戦中戦後のヨーロッパ社会がつきつけた思想的課題とどう切りむすんだかを論ずる。戦後日本のヨーロッパ思想研究を先導した書。著者追記をくわえ、新版とした
ヴァルター・ベンヤミン
高橋順一
(講談社現代新書 1071)
暴力批判論 他十篇
ヴァルター・ベンヤミン(著) 野村修(編訳)
(岩波文庫・赤)
暴力批判の基礎となるべきは、目的の正当性でなく法の措定だ、と暴力に潜む権力性を鋭く分析した表題作をはじめとして、ベンヤミンのリアリズムが堪能できる。
ボードレール 他五篇
ヴァルター・ベンヤミン(著) 野村修(編訳)
(岩波文庫・赤)
自由主義の再検討
藤原保信
(岩波新書・新赤)
排除の構造
今村仁司
(ちくま学芸文庫)
現代思想の基礎理論
今村仁司
(講談社学術文庫)
格闘する現代思想
今村仁司
(講談社現代新書)
雪片曲線論
中沢新一
(中公文庫)
野ウサギの走り
中沢新一
(中公文庫)
ケルビムのぶどう酒
中沢新一
(河出書房新社)
ゲーテの耳
中沢新一
(河出書房新社)
冒険としての社会科学
橋爪大三郎
(毎日新聞社)
カオスモスの運動
丸山圭三郎
(講談社学術文庫)
文化記号学の可能性
丸山圭三郎
(夏目書房)
言葉と無意識
丸山圭三郎
(講談社現代新書)
ソシュール研究の第一人者である氏の言語論の入門書ともいうべき書。ソシュールの言語論の発生論やそれと東洋哲学との接点などを平易かつコンパクトに説明しています。
言葉・狂気・エロス
丸山圭三郎
(講談社現代新書)
かれこれX年前にモグリで著者の講義に出席したことがあり、ちょうどその頃の講義で『ドラクエ』やら『イカ天』やらをモチーフに本書に書かれている内容を話していたのを思い出した。温和な語り口はさることながら、大教室での学部生への講義で内容も平易だったので、彼の著作を理解するには打って付けだったが、逝去された今ではそれが聞けないのが残念ですね。謹んでご冥福をお祈りいたします。
<子ども>のための哲学
永井均
(講談社現代新書 1301)
哲学の本というと、古今東西の哲学者の考えや議論を解釈した「解釈論」あるいは「哲学史」が相場だと思う。だが本書は、「ぼくはなぜ存在するのか」、「悪いことをしてなぜいけないか」、といった子どもの「問い」からスタートして哲学する姿勢を見せてくれています。
イスラーム哲学の原像
井筒俊彦
(岩波新書・黄版 119)
意識と本質 精神的東洋を索めて
井筒俊彦
(岩波文庫・青)
東洋・イスラーム学の碩学である故井筒俊彦氏の力作。東洋哲学の認識論をベースにした<共時的構造化>論を展開しています。
神秘主義のエクリチュール
五十嵐一
(法蔵館)
神秘主義の絶好の解説書。オカルトやら俗説の神秘主義を一蹴しているところは痛快です。著者は元筑波大助教授。「悪魔の詩」の訳者で、1991年謎の暗殺で逝去。
はじめてのインド哲学
立川武蔵
(講談社現代新書 1123)
中国思想
宇野哲人
(講談社学術文庫)
タオのプーさん
ベンジャミン・ホフ(著)
吉福伸逸,松下みさを(訳)
(平河出版社)
「韓非子」の知恵
狩野直禎
(講談社現代新書)
韓非子(上)(下)
韓非
本田濟(訳)
(ちくま学芸文庫)

日本の「哲学」を読み解く
「無」の時代を生きぬくために

田中久文
(ちくま新書)
西田幾多郎、和辻哲郎、九鬼周造、三木清の4人の哲学者たちが、いかにして日本独自の哲学を築いていったか、それらの思想形成はどのような影響によるものか、そして思想がカタチとして発展するにつれて、結局は彼ら自身が形而上学の罠に嵌ってしまう過程などに触れられています。目新しさはありませんが、解説が非常にオーソドックスなので、「日本近代哲学史」の入門書としてお勧めです。
「いき」の構造
九鬼周造
(岩波文庫・青)