さて、親もいよいよ家計が苦しくなり、正直言って「仕送り」なんか続けたくなくなりました。そこでこんな提案をします。 『お前、結婚しろ』(笑) この人と全く同じ境遇の人間がもう一人いたとします。その人も15万の収入で10万の「仕送り」をもらっています。 『今後いつまで「仕送り」なんか続けられるかわからん。一緒になってしまえ』 無茶な提案です(笑)。 『そうすれば、今まで一人一人が別々に使っていた光熱費も新聞代も一人分で済む。食費も一人分の食事を作るよりも二人分を作る方が安く上がるだろう。テレビや掃除機や洗濯機といった家電製品だってそれぞれが一つずつ買う必要はない。一人の場合の「必要額」が25万だったとしても、二人だったら倍の50万はかからない、40万で何とかなる。』 そう経済的な事ばかり言われても・・ |
親の提案 『一人一人が別々に暮らすよりも、一緒になった方が安く上がるだろう。一人の場合の「必要額」が25万だったとしても(グラフの左)、二人だったら倍の50万はかからない、40万で何とかなる(グラフの右)。』 グラフの黄色い部分が「仕送り」。水色は収入。 |
『いきなり「必要額」を50万から40万にはしない。最初の10ヶ月は今までと同じ基準で「二人が別々だった場合の必要額」を算定してやる。次の5ヶ月で段階的に新しい「二人が一緒になった場合の必要額」に降ろしていこう。』 結局、親の申し出を受ける事にして(よく納得したな)、「祝い金」も200万使う事にしました。この場合、頭金を10万払えば190万の借金が出来ますが、そのうち自前で返済するのは3割の57万だけ。のこりの133万は親が払ってくれるはずなのですが・・・。 さて、この提案を受けた人は、次のような将来の予想を立てました。 |
二人が一緒になっても、最初の10ヶ月は「二人が別々だった時の必要額」を保障してくれます。なので、最初の10ヶ月は「仕送り」も20万は来るだろう。そのうえ、200万の「祝い金」(ピンク色)が10ヶ月に渡って分割されて支給されます。 この間に二人は、一緒になった事によって省ける無駄を無くして、将来の「必要額」の減額に備えなければなりません。 |
次の月から段階的に5ヶ月に渡って、新しい「二人が一緒になった場合の必要額」へと移行していきます。同時に、ローンの返済が始まります。自前で3万支払い(オレンジ色)、親からは7万が「必要額」に加算されて返済に当てられます。 |
補足説明 いよいよ合併問題と、合併特例債が出てきました。ここでは合併特例債が「祝い金」として登場しています。 地方交付税は面積や人口の小規模な自治体ほど、手厚く払われる算定基準の仕組みになっています。(このことをあげて、交付税制度は地方に安易に無駄なお金を流す悪い制度だ、という人がいますが、それは違います。後日、別の場所で説明します) しかし、合併したからといって、すぐさま合理化の成果が現れるわけではないので、合併後10年間は、合併しなかった場合の交付税額を維持する事になっています。その後、5年間をかけて、段階的に通常の算定に基づく交付税額に落としていきます。(上記の例え話では、1年を一ヶ月に置き換えました) さて、もう一つの特例が、通称「アメ」と言われている合併特例債です。 ここで例え話であげたグラフは、合併の道筋を説明する際によく出てきます(例えば下のグラフ。神奈川県発行『これからのまちづくりと市町村合併』より)。そして、このグラフを見た人は、実際にそのように事が運ぶと考えがちで、のちのちの誤解のタネになり、想定外の問題に直面します。特に多い誤解は、『合併すれば10年間は交付税の額は、今まで通りもらえる』というものです。
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