第一章

 2,000円紙幣を発行するなら、ついでに25円硬貨も出してほしいと思うのは僕だけでしょうか。
 ほんの短い間でしたが、カナダで生活していたことがあります。カナダの小銭は1セント、5セント、10セント、25セント、1ドルの5種類でした。50セント玉というのも昔はあったらしいのですが、かなり前に製造中止になったそうです。つまり、50セントの買い物をして1ドル玉を出すと、25セント玉が2枚返ってくるのです。ひょっとしたらカナダは、たぐさんには住みにくい世界かも知れません。
 向うではドルが単位通貨で、何事も倍とか半分とかを基調に考えますから、一ドルの1/2の1/2、すなわち25セントが硬貨になってもさほど違和感を感じないのでしょう。
 もう昔のことではっきり覚えていないのですが、確か1ドル紙幣はなかったような気がします。紙幣は2ドルからしかなかったような。無論、5ドル札はあります。他に10ドル札、20ドル札、50ドル札、100ドル札。これをもとにすると、同時に500円札を復活させて200円札を新設すれば、通貨体系はカナダと同じになります。実際に国境を越えたことがないので事情はわかりませんが、日本が愛してやまないアメリカ本国も通貨体系はカナダと同じと考えて良いと思います。
 そう、2,000円札発行の言訳に、時の首相は欧米の先進国で「2単位」の紙幣が流通しているということを口にしていました。だったらどうして「1/4単位」の硬貨が流通してはいけないのでしょうか。ついでに日本の基本通貨を「百円」にして、「円」を補助通貨にしたら、将来「ドル」に移行し易いと思うのですが。そしていつしかアメリカの51番目の州になる夢を果たせるのではないかと思うのです。無論、これは皮肉ですよ。
 25円玉が発行されたらどうなるか。100円ショップが今よりもっと増えるでしょう。そして500円の買い物をする人が増える筈です。むろん、スーパーやデパートで500円均一セールが流行することは言うまでもありません。25円玉が10枚あれば、マイルドセブンが一箱買えます。自動販売機のジュースが現在の120円から125円に値上げされるでしょう。そして、それから値上がりすることは当分ない筈です。自動販売機でついでに言えば、電車の切符を買うのに、小人料金の半額が「10円未満切り上げ」などと理不尽なことをされずにすむような気がするのです。150円区間なら小人料金は75円。50円玉と25円玉を一枚ずつ入れればそれでおしまい。100円玉を入れてもおつりは25円玉一枚です。公衆電話が25円玉一つで3分間、なんてことも実現するかもしれません。
 政治のことはよくわかりません。それでも消費税を導入して良かったと思う点は、それまでないがしろにされていた5円玉と1円玉が、いよいよ真価を発揮するようになったことではないでしょうか。特に5%となると、5円玉の活躍が増えます。今25円玉を発行すれば、消費税の税率の上昇を食い止められるのではないでしょうか。少なくとも7%なら平気だ、8%なら平気だとじわじわ上げていくような真似はできなくなると思うのです。

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