上野研究室 研究テーマ, 2007-2008
上野研究室 研究テーマ, 2007-2008
私たちの研究テーマ 2007年11月14日更新
- (1) 光材料の研究から、新しい光回路の創出へ
- ゲート性能、さらには未来のネットワークシステムの鍵を握る
『光増幅材料(光半導体)の高速動作特性』を調べ、より良いゲート方式を開発しています。
現行システムより消費エネルギーが格段に小さいことも重要です。
- ⇒ 1×10-12秒= 1ピコ秒前後と超高速な光パルス信号を駆使して、ゲート材料の量子的な光電変換効率、総合的な消費エネルギーモデル作りを行っています。
光で光を制御する超高速ゲートの基礎研究部分です。
KDDI研究所やデンマーク工科大との共同研究も、数回行ってきました。
- 広帯域・量子ドット材料の動作速度や動作効率の基礎特性を研究しています。
- ⇒ KDDI研・筑波大・産総研との共同研究や外部資金のおかげで、
光強度情報だけでなく光位相情報を超高速かつ超高感度に検出する実験装置一式が、もうすぐ完成します。
レーザ研究棟に設置してあるMillennia-Tsunami-Opalという3段レーザシステムを利用して実験する、
光ナノテク研究の1つです。
- 200Gb/s光ゲート材料と回路を実験研究しています。
- ⇒ 本学初の、超高速で高周波(毎秒200ギガビット)な光実験装置の製作が、着々と進んでいます。
博士後期課程の坂口君から前期課程の西田君へ少しずつ引継ぎ中。
自動車やロボットの研究と違って一見小さいですが、実際には高速光実験装置を相互接続し、かなり大規模に連動させ、実際の高速光信号処理に近い状況下のゲート動作特性を実験研究します。
これもせっかくできてきたのに後継者が足りない?! ⇒ 大募集中!
- (2) 光回路原理の研究から、光通信・光計測応用の創出へ
- 光周波数スペクトル分解・再合成法を導入する新型ゲート回路方式の研究を始めています。
電波のcdmaのように、時間波形と周波数スペクトル波形の「表裏一体の関係」を活用します。
- ⇒ 中本君が卒論で始めたテーマであり、世界的にも好評な第1成果を受け継ぎ、現在M1と卒研生が具体化始めています。
今後情報通信研究機構(NICT)や産総研(AIST)との共同研究を計画しています(電通大の研究がプロの研究者にも役立つ⇒卒研生にはまだ難しい?)。
- 高周波で高精度な光クロックパルス発生・光周波数コム発生の回路方式を研究を続けています。
- ⇒ 2003年度卒研生高山・佐藤君が着手して以来これも1歩ずつ発展を続け、昨年一度新聞発表しました。
他機関で行っていない電通大独自方式であり、独特な特徴があり、
2ピコ秒・40ギガヘルツパルス発生に繰り返し成功しており、
農工大・電通大COEシンポジウムでも何度か発表しています。
この装置も一見小さく見えると思いますけれど、実験研究の"質"は、かなり大規模です。
光通信システムにも光計測技術にも役立つ研究です。
- 手作りの高周波光ヘテロダイン計測装置の高効率化と高精度化を続けています。
- ⇒ 研究の所々で、40〜320GHzのマイクロ波・ミリ波信号を高精度に周波数分析する必要があります。
30GHzまでは、高速フォトダイオードと市販計測器でRb原子時計の精度(Δ1Hz)で直接計測します。
40ギガヘルツ以上では、2003年度の鈴木・小林君以来、光ヘテロダイン法で上手に間接計測しており、手作り計測装置を開発中。
精度と変換効率の2つが重要です。
- (3) (1), (2)の基盤となる回路モデル研究や超高速な光回路製作
- DISCゲートモデル、3Rゲートモデル、光子と電子のレート方程式、擬似ランダム信号発生、2値デジタルアイパタン描画、符号誤り率計算などの
回路モデル研究を行っています。
- ⇒ 2002年度卒研生の一戸君、2003年度の豊田・永末君以来、各種のモデル研究を続けています。
- 最高の実験結果が「たまたま運が良かっただけ」なのか、今後は誰でもいつでも再現できる「科学的な成果」なのか?
いつまでも「しらみつぶし」に実験するか、実験する前に理論モデルを使って独自方式を探索したり、予想を立てるか?
これらは多くの研究に共通する大きな命題です。
従って私たちも、次の2通りの方針で研究しています。
- (a) まず実験研究で良い結果を生み出し、その後、理論モデルで裏付ける。
- (b) 新しい独自方式をモデル設計し、その後、実験的な確証を得る。
- 超高速光信号用の増幅器製作、分散補償器製作、多重回路製作など
- ⇒ 実験研究に必要な回路や装置を、手作りしています。
2005年度卒研生柳澤君が最初の高速多重回路の手作りに、2006年度卒研生奥平君が最初の高速・高出力増幅回路の手作りに成功しました。
毎秒100ギガビット以上とブロードバンドな光信号を劣化させないように、
光材料と部品に関する基礎知識や実験技術を実践的に体得することができます。
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毎秒100ギガビット以上の世界に、加わってみませんか?
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- 2007年現在の世界最高速度は:
- ⇒ 電子トランジスタの信号処理速度は、毎秒40ギガビットで頭打ち(実用性能限界)。
- ⇒ 限界速度近くで信号処理する電子トランジスタは効率悪く、激しく発熱する。
- ⇒⇒ 今後の大型ルータやデータセンターでは、信号処理の高速化と省電力化が、とても大切。
- 研究の、大きな目標は:
- ⇒⇒ 電子トランジスタを大きく超える、
高速で省電力な光信号処理を実現すること。
- たった1つの大学院研究、1つの卒業研究ではとても無理だけれど、
- 研究室学生が力を合わせ、他の研究機関とも力を合わせると、立派に発展します!
- 大学生・大学院生にとって生まれて初めてなことをたくさん経験できます。
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電気通信大学 電子工学科/電子工学専攻
超高速光ロジック研究室
上野 芳康