演習問題の略解と考え方
Last updated: July 20, 2004
電磁気学第一演習の略解と考え方
*) 毎週の「演習」は、試験と異なります。ちょっとくらい間違えても良い。厳密に正しいことよりも、様々な問題に果敢に取り組み、辛抱強く考え、電磁気学の考え方を幅広く身に付けることが10倍大事です。
**)演習レポートの採点基準は、各問題10点満点。内訳は概ね、説明7点(図:3点、文章:4点)、答え3点(値1点、符号1点、単位1点)です。
- 第1回、クーロン力、2004/4/13出題
- 今回の演習では、[B3]以外は皆、よく出来ていました。
- [B2](1) 4.1×10^-8 s、(2)例えば、テレビのブラウン管、蛍光灯。家電製品以外ならば、電子顕微鏡が良い例となります。(3) 24 MHz (FM放送の周波数より少し低い)(4) 8.6×10-7 s (つまり、あっというまに光速に近づくほど強い電場です)
- [B3]の類題として、例題1.4を参照してください。この手の問題のポイントは、λdzを点電荷とみなし、重ね合わせの理を使うことです。後は、rやzやθなどの関係に気をつけて、積分(=微小部分の足し合わせ)を使うと解けます。
- 演習第1回の出席率(出席者数/履修生数)= 84%。
- 演習第1回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数)= 72%。
- 平均点= 40.4点(50点満点)。
- 第2回、電界を求める(ガウスの法則を使って求める/使わずに求める)、2004/4/27出題
- 今回の演習では、[5]以外は皆、よく出来ていました。
- [5] (後日)
- [6](1) 1.8μm、(2) 目的は、素電荷を求めること。もう少し詳しく説明するならば、「電荷には最小単位があること、あらゆる電荷は素電荷の整数倍となっていることを、ミリカンが明らかにした。」
- 演習第2回の出席率(出席者数/履修生数)= 58.3%。
- 演習第2回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数)= 55.6%。
- 平均点= 48.5点(60点満点)。
- 第3回、電荷密度分布、電気力線を求める、2004/5/11出題
- レポート提出率が下がってます。遅れ提出でも採点するので、がんばって提出しましょう。
- 今回の演習では、[5]以外は皆、よく出来ていました。
- [5] この問題は、例1.8と演習1.5(4)を手がかりにして考えてください。「点電荷から立体角ωへ放射される電気力線の本数」が「立体角ω」に比例することを利用します。
- 演習第3回の出席率(出席者数/履修生数)= 54.6%。
- 演習第3回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数)= 46.4%。
- 平均点= 31.1点(40点満点)。
- 第4回、電位を求める、電位から電界を求める、 2004/5/18出題
- 今回の演習では、電位を求めることは皆、よくできていました。
- [1](2)0.56ms
- [2](1),(3)の電位を求めることは皆、出来ていて大変良かったです。しかし、残念ながら、(2),(4)の電位から電界を求めることがわかりにくかったようです。
問題の解説をする前に、教科書P25、式(2.18)のE=-dV/dl が表す意味について書きます。まず、マイナス符号の意味は電位が高くなる向きと電界の方向は逆であることを意味しています。次に、dV/dl の意味は電位をl 方向に微分したものが電界の大きさとなることを表しています。ここで、注意することはl 方向とは教科書が勝手に任意の方向をl方向と名付けているだけです。
さて、本題の問題の解説をしますと、電界を求めるには、式(2.18)より電位を導体の中心からの距離で微分すれば求まります。導体の中心からの距離をxとおくと、導体の中心からxだけ離れた点の電位は[2](1)のaにxを代入した格好になります。よって、電界は電位をxで微分したものにx=aを代入したものが求める電界となります。わざわざ、xを導入した理由は、aが定数であるのに対して、xが変数だからです。公式の文字に引きずられて、直線導体の長さlで微分したひとが多かったので、注意しましょう。
- 第1回から今回までの出席やレポートの集計結果を、末尾に掲示しました。
- 演習第4回の出席率(出席者数/履修生数36人)= 50%。
- 演習第4回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数36人)= 39%。
- 演習第4回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数25人)= 56%。
- 2年生のレポート平均点= 33点(40点満点)。
第5回、電位から電荷密度を求める、 2004/5/25出題
今回の演習は、皆、よく出来ていました。
[4]まず、ポアソンの方程式より電位から電荷密度を求めます。その際に問題2.4(2)の等式を使うと計算が簡単になります。その電荷密度を体積積分することによって、負電荷が求まります。
ところで、問題2.4の等式の証明がよくわからなかったという声があったので、問題2.4(2)の解説をします。P170(2)の解答に沿うと、まず∇2 V=と書いてある1行目は∇・gradVを計算すればこうなります。1行目から2行目は合成関数の微分法を用いて、d/dx=d/dr・dr/dx=d/dr・x/rとした後、積の微分法を用いて、dV/dr、x、1/rをrで微分してください。2行目から3行目はx2 +y2 +z2 =r2 を代入してください。
前回の演習のように計算が大変な問題が電磁気にはあります。そこで、自分の答えがあっているかどうか確認する方法について書きます。それは、次元を確認するというものです。
例えば、第4回[2](2)の解はE(x)=λl/(2πε0 ・a・√(l2 +4a2 ))でした。ここで、各文字の次元はEは[N/C]、λが[C/m]
lが[m]、1/2πε0 が[N・m2 /C2 ]、aが[m]、√(l2 +4a2 )が[m]です。これらの単位だけを先ほどのE(x)=の右辺に代入すると、[C/m]・[m]・[N・m2 /C2 ]/([m]・[m])=[N/C]と、電界の次元になり、確認ができます。
演習第5回の出席率(出席者数/履修生数36人)= 50%。
演習第5回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数36人)= 46%。
演習第5回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数25人)= 60%。
2年生のレポート平均点= 35点(40点満点)。
第6回、電荷、電界、電位の相互関係を考える、2004/6/1出題
[1](2)この問題は電気双極子と呼ばれ、応用上とても大事です。
例えば、テレビやラジオのアンテナに応用できます。アンテナの電磁波の送受信の様子は
電気双極子を用いて考えることができます。
電気双極子の電気力線のカープの形は計算によって、求めることができます。
計算の仕方は例題2.5に譲るとして、ここではその特徴だけを書きます。
電気力線の様子は教科書の口絵1、等電位面の様子は口絵2に書いてあります。
また、口絵2の縦軸はz軸ではなく、電位です。この口絵2からプラスの点電荷が大きなプラスの電位
、マイナスの点電荷が大きなマイナスの電位を作ることが見て取れます。このような図を書けば、
等電位面の欠点である電位が高いのか低いのかわからないという欠点をカバーできます。
さて、この電気力線と等電位面の特徴は、
1.プラスの電荷から電気力線が出て、必ず、マイナスの電荷に入る。
2.電気力線と等電位面は互いに直交する。(口絵4参照、教科書P26例題2.4にて証明)
3. 電気力線は電荷の近いところでは球対称に放射する。
4. 等電位面は電荷が近いところほど密に、遠いところほど疎になる。
の4点です。
[4]問題の訂正:4万m →4万km(採点上は4万m、4万kmどちらも○)
[4]-4.6×105 [C](4万km)、-0.46[C](4万m)
演習第6回の出席率(出席者数/履修生数24人)= 71%。
演習第6回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数24人)= 75%。
演習第6回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数20人)= 80%。
2年生のレポート平均点= 32点(40点満点)。
第7回、静電容量を求める、静電エネルギーを求める、2004/6/8出題
静電容量の求め方は、
1.導体間の電界を求める。(たいていはガウスの法則で求める)
2.電界から電位を求める。(E=-gradV ⇔ V=-∫E・dr+k、kは積分定数:境界条件で決定)
3.静電容量を求める。(C=Q/V)
の手順に則って計算すれば大体の問題は解けます。
[3](2)エネルギー差ΔWを計算だけして終わっている人が多かった様に思います。
問題ではどのように変化するかと聞かれているので、例えば、ΔWだけ接続前と接続後ではエネルギーが
減少した、などと答えるようにしましょう。
演習第7回の出席率(出席者数/履修生数25人)= 71%。
演習第7回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数25人)= 76%。
演習第7回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数20人)= 85%。
2年生のレポート平均点= 28点(40点満点)。
第8回、誘電率を求める、分極電荷を求める、2004/6/22出題
今回の演習は、皆、よく出来ていました。
[1](3)誘電体を電極間隔の半分だけ満たすということは、
電極間隔の半分の間隔で中身に誘電体が詰まったコンデンサと、
電極間隔の半分の間隔で中身が真空のコンデンサ
を直列接続することと同義です。合成容量を計算し、電位差を求めてください。
演習第8回の出席率(出席者数/履修生数25人)= 84%。
演習第8回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数25人)= 80%。
演習第8回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数20人)= 85%。
2年生のレポート平均点= 17点(20点満点)。
第9回、誘電体のガウスの法則、誘電体の境界条件、2004/6/29出題
[1](3)まずガウスの法則から電束密度Dを求めます。電束密度Dは異なる誘電体間では、法線成分が等しい境界条件から、誘電体ε1、ε2 で等しい。次に、電束密度Dから誘電体ε1中の電界E1と誘電体ε2中の電界E2を求めます。最後に電界から電位差を計算すると静電容量を求めることが出来ます。問題[2](3)も同様です。
演習第9回の出席率(出席者数/履修生数25人)= 84%。
演習第9回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数25人)= 63%。
演習第9回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数20人)= 75%。
2年生のレポート平均点= 44点(60点満点)。
第10回、誘電体に関する応用問題とその静電エネルギー、2004/7/6出題
[1]静電エネルギーWは、W=∫v1/2εE2dvで求めることが出来ます。
この式の意味は、(静電エネルギー)=(微小体積素片に蓄えられる静電エネルギー1/2εE2)×(体積V)です。
よって、[1](1)では誘電体ε1に蓄えられるエネルギーW1はW1=1/2・ε1・(D/ε1)2×S・d1となります。(Dは電束密度、Sは極板の面積)
誘電体ε2に蓄えられるエネルギーW2は同様に、W2=1/2・ε2・(D/ε2)2×S・d2となります。
よって、W1=W2のとき、d1/ε1=d2/ε2となります。
(2)も同様にして、求めることが出来ます。
演習第10回の出席率(出席者数/履修生数25人)= 76%。
演習第10回のレポート提出率(レポート提出者数/履修生数25人)= 52%。
演習第10回のレポート提出率(2年生のレポート提出者数/2年生履修生数20人)= 55%。
2年生のレポート平均点= 16点(20点満点)。
電磁気学第一演習、第9回 2004/6/22までの集計結果までの集計結果
学籍番号, 出席点(A), レポート点(B), 発表点(C), 途中集計結果 (a*A+b*B) [aとbはシラバス記載の重み付け]
- 0322001 , 9.0 , 709 , 1.8 , 59
- 0322002 , 8.0 , 349 , 1.8 , 37
- 0322004 , 7.0 , 376 , 1.0 , 36
- 0322005 , 9.0 , 616 , 2.0 , 54
- 0322007 , 9.0 , 766 , 2.0 , 63
- 0322008 , 9.0 , 644 , 1.8 , 56
- 0322010 , 9.0 , 664 , 1.8 , 57
- 0322011 , 7.0 , 368 , 1.8 , 36
- 0322012 , 8.0 , 754 , 1.6 , 60
- 0322013 , 9.0 , 877 , 1.8 , 69
- 0322014 , 9.0 , 846 , 1.6 , 67
- 0322017 , 8.0 , 394 , 1.6 , 40
- 0322019 , 8.0 , 673 , 2.0 , 55
- 0322024 , 9.0 , 660 , 1.0 , 57
- 0322025 , 9.0 , 694 , 2.0 , 59
- 0322027 , 9.0 , 851 , 1.8 , 67
- 0322028 , 2.0 , 0 , , 4
- 0322029 , 9.0 , 777 , 2.0 , 63
- 0322030 , 9.0 , 782 , 1.8 , 64
- 0322031 , 0.0 , 0 , , 0
- 0222001 , 4.0 , 338 , 0.8 , 28
- 0222004 , 7.0 , 249 , 1.0 , 29
- 9922030 , 0.0 , 0 , , 0
- 9922025 , 0.0 , 0 , , 0
- 9821029 , 2.7 , 100 , , 12
電磁気学第一演習、第4回 2004/5/18までの集計結果
学籍番号, 出席点(A), レポート点(B), 発表点(C), 途中集計結果 (a*A+b*B) [aとbはシラバス記載の重み付け]
- 0322001 , 4.0 , 290 , 1.0 , 56
- 0322002 , 4.0 , 186 , 0.8 , 43
- 0322004 , 3.0 , 226 , 1.0 , 43
- 0322005 , 4.0 , 291 , 1.0 , 56
- 0322007 , 4.0 , 370 , 1.0 , 66
- 0322008 , 4.0 , 313 , 1.0 , 59
- 0322009 , 1.0 , 72 , , 14
- 0322010 , 4.0 , 354 , 0.8 , 64
- 0322011 , 4.0 , 148 , 1.0 , 39
- 0322012 , 3.0 , 360 , 0.8 , 60
- 0322013 , 4.0 , 389 , 0.8 , 69
- 0322014 , 4.0 , 386 , 0.8 , 68
- 0322017 , 3.0 , 203 , 0.8 , 40
- 0322018 , 0.0 , 0 , , 0
- 0322019 , 4.0 , 253 , 1.0 , 52
- 0322021 , 1.0 , 70 , , 14
- 0322022 , 1.0 , 0 , , 5
- 0322023 , 0.0 , 0 , , 0
- 0322024 , 4.0 , 359 , 1.0 , 65
- 0322025 , 4.0 , 310 , 1.0 , 59
- 0322027 , 4.0 , 390 , 1.0 , 69
- 0322028 , 1.0 , 0 , , 5
- 0322029 , 4.0 , 327 , 1.0 , 61
- 0322030 , 4.0 , 345 , , 63
- 0322031 , 0.0 , 0 , , 0
- 0222001 , 2.0 , 0 , , 10
- 0222004 , 2.0 , 23 , , 13
- 0222013 , , , ,
- 0220022 , 1.0 , 0 , , 5
- 0220033 , 1.0 , 0 , , 5
- 0122017 , , , ,
- 0126004 , 1.0 , 0 , , 5
- 0023008 , 1.0 , 92 , , 17
- 0023010 , 0.0 , 54 , , 7
- 0023018 , 2.7 , 152 , , 33
- 9821029 , 1.0 , 0 , , 5
- 文責・問合せ先: Teaching Assistant、鈴木励、西2号館301-302号室、電話 0424-43-5207(内線5207)
- 授業担当者: 上野芳康、西2号館310号室
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