今回は、NYの治安について書くわけですが、これはfujiyanの全くの個人的な私見であることをお断りしておきます。色々な方々のNY関連サイトを見ていただくとお分かりいただけますが、NYの治安についての意見は、運・不運も含めて個人個人でまったく違っています。ある方は、まったく大丈夫、としていますし、危ない、を連呼する方々もいらっしゃいます。また、この稿は2001年6月頃の事情を元に記しています。今後、環境が変化していくことも十分にあり得ます。この稿をご覧になる場合には、日時の経過にお気をつけ下さい。また、これはマンハッタンでの事情です。NY市の他のエリアについては、ほとんど行った事が無いため、治安事情は全く判りかねます。

SAY NO! to DRUGS (麻薬にはNo!と言おう)−ワシントン・ハイツの学校傍の建物に書かれた大きな壁画の一部最近のマンハッタンは、ホント治安が良くなっているようです。いろいろな原因が想定されているようですが、景気の良さ、全米に渡る麻薬防止そして治安への取組みそしてジュリアニ現NY市長の犯罪への高圧姿勢(まあ、弱者イジメ、人権侵害とも捉えられる節もあるようですが。。)などが挙げられます。

NY市は1980年代に破産寸前まで来たときに、リストラとして警官の数を削減したりして、景気後退による治安悪化に拍車をかけましたが、治安強化目的の国の「補助金」=連邦予算により警官数が増加したそうで、現在では警察のパトロールは質・量ともに充実してます。

fujiyanは結論から言うと、お散歩も含めて危険な目に遭ったことは、幸いにして今までのところありません。ドラッグ・ディーラーらしき人に呼びとめられたり、ヤンキースのジャンパーを着ていた時に、メッツファンに絡まれそうになった、あるいは車の中のにいたグループから「Jap!」「XXXX!」と連呼して怒鳴られたくらいで、大したことはありません。ただ、アメリカの景気の行く先が、若干不透明になっており、少し不安は感じています。

このサイトでマンハッタン内のウォーキング・コースを紹介している中で、「ご注意下さい」とか「危ないと言われてる」とfujiyanは連呼?していますが、お住まいの方々には、ホント申し訳ありませんが、不特定多数の方々にご覧戴いていますので、防犯について呼びかけ過ぎるということは無いだろう、と思って書いている次第です。
(「注意していない場所は、大丈夫なのか」って言わないでね(笑)。治安ってやつは、ホントに判らないんだから。)

拙サイトは一応、「歩く」ことがテーマになっていまして、外を「歩き」回らないとサイトが成立しないわけです(笑)。NYへの転勤が決まったとき、治安が正直言って心配でした。10年前くらいに来てからNYにご無沙汰で、その頃のイメージしかありませんでした。外を歩きまわることが出来なくなって、結局、このサイトも閉鎖しなければならないのでは、と思っていました。

15年ほど前、観光でNYに初めて来たんですが、
(お若い方には信じられないでしょうが、その頃、日本人は「観光ビザ」を取得しないといけなかったんですよ!)
その頃はやっぱり治安が相当悪かったようです。麻薬の氾乱も主な原因の一つのようです。15年前からNYにお住まいの日本出身の女性に、その当時のお話を伺う機会があったのですが、アルファベット・シティのアベニューBにその当時住んでおられて、道端や公園に麻薬用の注射針が少なからず落ちていたそうです。また1988年には「トンプキンス・スクエアの暴動」(「マンハッタンを歩く」のイースト・ビレッジ編参照)当時も、お住まいだったそうです。ご主人が自宅の近所で強盗に遭ってしまい、結局お引越しをしたとか。

さて、15年前にfujiyanが滞在したホテルのフロントでマンハッタンの地図を広げて、「危険な所を丸で囲ってくれ」と頼んだら「Everywhere!(どこでも全部!)」と答えられてしまいました(苦笑)。その後、「丸をつけた場所以外で、君が犯罪にあったとしても、責任が持てないからそう言ったんだ。責任を持てない、という条件で言うと。。。」と丸をしてくれた部分は、たしか以下のようだったと記憶しています。
・96 Streetより北。
該当地域‐イースト・ハーレム、モーニングサイド・ハイツ、ハーレム、ワシントン・ハイツ。
・9th Avenueより西。
該当地域‐ヘルズ・キッチン。そしてトライベッカ、チェルシーそしてアッパー・ウェスト・サイドの大部分。
・14th Streetより南の、東側のある範囲。
該当地域‐アルファベット・シティ、旧ユダヤ人居住区のローワー・イースト・サイド。
・早朝そして夜は特に避けるべき場所は、ビジネス・エリアと公園。
該当地域‐ウォール街やワールド・トレード・センターなどのファイナンシャル・ディストリクト、そしてミッドタウンのパーク・アベニュー沿い。セントラル・パーク。
・川沿いにはあまり行かないこと。
結局行けるところは、相当少ないエリアですよねぇ(苦笑)。fujiyanの個人的見解としては、上記の考えは現在でも極端に保守的に考えれば妥当ですかね。「トライベッカ」、「チェルシー」そして「アッパー・ウエスト・サイド」は除外しても良さそう。あと、「モーニングサイド・ハイツ」と、「ハーレム」でも125丁目近辺で5thAvenueとBroadwayの間も大丈夫そうにも思えますね。
(ただ、あたりまえですが、夜と昼で街はがらりと雰囲気を変えますんで、ご注意を!)

治安対策は、月並みですが、「人気(ひとけ)の少ない所には行かない。公園や小さな通りは避ける」「危険と言われている地域に行かない、あるいはそう言う場合は警戒レベルを引き上げる」「一人よりグループで行動」「夜は人出の多いところに行くようにする。また移動には、地下鉄を避けてタクシーを利用する」「人目を引く服装をしない」というところになりますよね。セントラルパークは(fujiyanの独断と偏見で申し上げますと)、NY市が威信と面子をかけて犯罪防止に努めているように思います。それでもRambleやLochなど、見通しが悪いところには、一人ではあまり行かない方が良いでしょう。

また、道を歩くときには、「横の建物などに引きずりこまれないように車道に近い場所」を歩くようにしています。そして、fujiyanが思うに意外と重要なのは「ヤバイな」という直感です。fujiyanは、お散歩している最中に、人が少ない通りの前方に、群れてウダウダ?しているグループが見えた、という時には、引き返したり、迂回したりするか、傍のスーパーや教会などに入って彼らが解散するのを待っていたりします。

服装と言えば、fujiyanの会社はカジュアル・スタイルでの勤務が認められています。これは治安上、非常に良いと思いました。黄色人種でスーツを着ている人間は、クレジット・カード嫌いで現金も持っていそうですし、犯罪のコスト・パフォーマンスが良さそう?で、僕が犯罪者だったらターゲットにしますものね(笑)。
マンハッタンの、ストリートで40-50番台の東側には、日本料理屋・飲み屋さんが並んでいます。10年ほど前には、酔っ払って良い気持ちで外に出た瞬間に、スーツを着ていた日本人を待ち伏せしていた強盗に遭った、という事件が結構あったようです。今では、トンと聞きませんケド。

日本の観光客の方々は服装が清潔でキッチリし過ぎている、と言われています。
(ブランド物に身を包み、ヒールを履いて、高価なバッグを提げている、というのは、モチロン論外ですよ(笑)。)
確かに、こちらで黄色人種でやけにチャンとした格好をしている方々に時々遭遇します。別に派手でもないですがこちらの方々(とfujiyan(笑))のだらしなさ?と比べると、妙な違和感が(苦笑)。
また、これはAlphabet Cityにお住まいの方の英語サイトで見たのですが(残念ながらアドレスを無くしました)、白いスニーカーは厳禁だそうです(笑)。
英語の散歩本でのSoHoコースに、髪の毛を金髪に染めた若い東洋系は日本人観光客で、100ドル紙幣で大きな買物をする、と、ジョークでなんしょうが書いてありました。当地では現金紙幣は20ドル札までで、それ以上の高額紙幣は、まず持っていません。お散歩本に登場するくらいですから、当然犯罪者の知識?として流布していることでしょう、お気をつけ下さい。

以前は危険といわれていた地下鉄ですが、一昔と比べますと非常に安全になっているようです。実は、fujiyanは深夜の地下鉄に一人で乗ってたりしていますが、いままで危険なことに遭ったことはありません。fujiyanが心掛けているのは、ホームで電車を待っているときは人の多い場所に居るようにするか、もし人が全く居ない場合には駅員さんが居るブースの前に居るようにしています。深夜は、月並みですが、ホーム内の「off-hour waiting area」に居るようにしています。
また、地下鉄は、一車両違っただけで乗っている人の数が全く違っています。ですので、昼でも夜でもホームに列車が入線している最中に、ある程度の数の乗客がいる車両がどこにあるかを見定めるようにしています。がらがらの車両や、群れたグループ?一組しか乗っていない車両が目の前にきた場合、ホームを走ってでも違う車両に乗っています。
本音を付け加えますと、乗車する地下鉄の路線がどのエリアから来たか/行くのかは、一応意識しています。治安が悪いと言われているエリアを往来する地下鉄路線に乗る場合は、頭の中で警戒レベルを上げるようにしています。
(何が出来ると言うわけではないのですが、本・新聞などは読まない、途中の駅で乗車する人々をさりげなく見ておく、位ですけどね。)

さて「犯罪に遭ってしまう」ということは、犯罪の場面に居たために巻き込まれてしまうかもしれませんね。犯罪でも「殺人」となりますと、これは麻薬を中心とした犯罪組織内外の揉め事が圧倒的な割合を占めるようで、一般市民が対象となると、その数は相当少ないものと想定されるそうです。先日ミッドタウンの有名店「カーネギー・デリ」の上のアパートで、複数殺人があったんですが、これは麻薬取引をしていた女性の部屋だったそうです。
(ちなみに、この女性は「Dirty Dancing」という映画に出演していたとか)。
従いまして、重大犯罪に巻き込まれないための心構えの一つは、犯罪の現場に遭遇しない(犯罪者と親しくしないも含む?)ということになります。犯罪、たとえば麻薬の取引などが行われるのは、人気(ひとけ)の無いところということになりますので、「人があまり居ないところには行かない」というのは、窃盗・強盗対策と同様と言うことになります。と言うわけで、基本的には見通しが悪く人気(ひとけ)の無い公園などは行かないほうが無難です。

ちなみに組織犯罪ですが、現在ではNYでの非合法活動は小さいものとなっているようです。1980年代の後半から国、地方自治体は麻薬を中心とした非合法活動の摘発に力を入れ始めます。1992年にイタリア・マフィアの名門?ガンビーノ一家のボス、ジョン・ゴッティがFBIに逮捕されたり、犯罪に高圧的なジュリアニNY政権を避けているのもその理由かもしれませんが、NY近郊のマフィアはその活動本拠を川向こうのお隣ニュー・ジャージーに移しているようです。

また「ウエストサイド物語」の舞台設定として有名な「Hell's Kitchen」(「地獄の台所」って凄いネーミングですよねぇ(苦笑)。由来はいずれお散歩アップ時に...っていつだろう?(笑))は、その設定通り昔から未成年者も含めてギャング団があり、危ない地域とされていました。1980年代にそこを実質的に仕切っていたギャング団「Westies」(「西者」団、ですかね?)は、麻薬取引でマフィアとつるんでいたんですが、組織内外の摩擦と90年代の取り締まり強化で組織が瓦解したそうです。そのエリアにお住まいの方々が、イメージアップに現在努力されていて、エリアの名前を「Hell's Kitchen」から、そのエリアに在る公園の名前である「Clinton」に変えて定着させようと、努力されているようです。
(ちなみにこのエリアは地下鉄路線図では、「ウエストサイド物語」を意識してか「West Side」と表記されており、また「Midtown West」と言う名前でも呼ばれているなど、エリアのネーミングが一定しません。)

と言うわけで、NYは治安が良くなっていると言えそうです。ただし大変残念ですが、男性と女性とではやっぱり事情が違うようです。カミサンのお友達の、NY駐在員のある奥様が昼間に5番街のショッピング・エリアを一人で歩いていたら、男性に後をつけられていることに気がつき、あわてて傍のデパートに飛び込んだ、ということがあったそうです。残念ですが、女性は男性にもまして注意が必要です。結局、犯罪者は、「弱い、あるいは弱そうに見える人間」を狙うんだ、と思います。
(当地で聞こえてくる日本の最近のニュースによると、どうも日本のほうがNYより治安が悪いように思えます(苦笑)。特に感じるのは、小学生など体力的に弱い人々を狙っているようにfujiyanには思えて、ホント憤りを覚えます。また、日本の犯罪の怖いところは、世田谷区の強盗殺人を例として、治安の良い・悪いというエリアの区分が無いことですね。どこにでも犯罪が発生してしまうように思えます。当地ですと、治安の良し悪しでエリアの区分が、ある程度有りますね。)

また、「弱そうに見える」ということに関してです。最近、fujiyanの会社のアメリカ人男性職員が深夜残業の帰りに強盗に遭ってしまいました。アメリカ人同僚の反応ですが、結構冷たくって「あいつなら強盗にあってもショウガナイ」という辛口のものでした(!)。実は、その職員、大変失礼ながら相当な肥満体なんです。「あの体でノソノソ歩いていたら、狙われるよな」ですって!(苦笑)。

最大の防犯の一つは外に出ている時間を短くすることであり、それは速く歩くことが基本です。日本の治安の悪化に備えて、減量効果も期待できて「弱そうに見」えなくなる、そして「外に出ている時間が短く」なる「速歩=エクササイズ・ウォーキング」は如何でしょうか?
(これは、話のオチになっているのかなぁ(苦笑))。




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