眺望保全の価値とコスト

日暮里富士見坂の眺望保全にあたっては、例えお願いとはいえ規制手段を提示する必要がある。ましてや地区計画等で対応する場合には、法律的に強制カを持った措置を執行することになる。それだけの価値と意味を規制の対象となる側に納得してもらえることが必要であるし、規制を受ける側の受忍の程度を確認する必要がある。
 23区内において富士見坂の名称を持つ坂のなかで、現在でも富士山を眺望できる唯一の坂の価値はどれほどのものであろうか。最終的に問題となるのは、眺望保存のために個人ないしは企業が支払うコストをどのように理解するかである。世論を通じてなどして、富士見坂の眺望が公的な価値を有するものと公的に認知される何らかの措置がとられることになれば、都市計画で用途地域を見直して、ダウンゾーニングや高さ制限などの措置を採用することも可能になる。これらの措置は、現在までの建設活動の実態からかけ離れていない程度の規制であれば、さほど間題となることはない。また、その程度のコスト負担で良いなら協力しましょうということで、個別の建築主の理解も得やすい。そこで、高容積率の指定をされておりコスト負担の面で少し検討を要する不忍、本郷、白山の各通りの沿道におけるコストについて検討してみる。


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