景観条例等

地区計画ほどの強制力を持たさなくとも、景観条例の制定およぴ景観形成地区等に関係地域を指定のうえ、確認中請の前に事前相談を受付けて建築確認の窓口で指導し、都市計画課で説明および協力要請をする方法は、すでに多くの自治体で経験を積んでいる。多くの場合、眺望景観保全に関わる計画の報告書を作成し、そのなかで提案された計画等にもとづいて、高さ規制や仰角規制の地域指定を行う方法で実践している。ゾーニングの形態は、さまざまであるが、盛岡市の例では、富士山の眺望の水平視角に相当する範囲で、距離帯別にゾーン指定を行い、眺望のために確保しなければならない仰角から眺望阻害を起こさない標高を求め、地盤高さを差し引いた高さ制限をかけている。この例では指導要綱が作成されており、「盛岡市都市景観形成建築等指導要綱」を平成6年10月より施行した。
また、松本市でも松本城の周辺地区について、高度制限15mおよぴ、3点からの仰角 2°ないし3°内に建築物の高さを規制している。これらの規制方策すなわち仰角にもとづく規制値の設定は、景観条例で初めて導入されたものであり、今後の眺望等規制方策のモデル事例になると考えられる。
その他の多くの都市で、城郭などの眺望保全のための「お願い行政」ではあるが、建築確認の事前確認を前提とした方策が現実のものになってきている。
これらの事例のなかでも問題となったであろう点は、眺望保全についての市民的合意である。特に地権者が自ら建て替えを行う場合も含めて、法定で認められた容積率を全部使わないで納得してもらえるだけの眺望価値を認めてもらうことが先決である。ないしは、都民の公的な価値として、眺望を考慮した容積率ゾー二ングを決定できることが目標となる。これらについては後述する。


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