必ずしも、規制一辺倒ではない前提であれば、かなり厳しい最高高さの指定およぴ壁面線の指定などを内容とする地区計画を策定できる可能性はある。特に本郷通りの水平視角範囲内を中心とした地区計画、および白山通りの水平視角範囲内を中心とした地区計画が考えられる。不忍通りの方は、建築敷地数カ所を対象とした措置が考えられるため、都市計画的な手法ではなく、個別対応で十分と考えられる。
白山通りの地区計画は諏訪台からの距離が離れており最高高さの制限をかけたとしても、現況の建設傾向にとってさほど厳しい制約とはならない。しかし地区計画をかけておくことで、もしも超高層のオフィスビル等の計画が持ち上がりそうな場合でも、事前に地区計画内容が公示されているので、地区計画の制約のなかで計画が策定されることは確定できる。その意味で特別な場合に対する予防措置としての効果が期待できる。
本郷通りの場合は、事態はより深刻である。地区計画をかけない場合は、かなり積極的に再開発プロジェクトを低容積区域とセットで立ち上げていく方策を採るか、3)で述べた連担建築物制度を活用した事前調整を行わない限り、眺望阻害の可能性を払拭することは困難と考えられる。しかしその場合は、地区計画で最高高さ規制およぴ壁面位置規制をかけていても、公平な自己実現の建築活動に応えているので、結果的には地区計画とセットにして運用する方が適切である。結論として地区計画と再開発誘導ないし連担建築物制度をセツトとした方策が有効と考えられる。
地区計画の内容としては、最高高さの制限およぴ壁面線指定が重要である。最高高さについては、富士山眺望のための式から個別に直接算定することも可能であるが、この数値は個別性か強いため、より一般的な高さ規制値を個別算定値のなかで最小のもので設定しておき、これに従ってもらうか、この数値よりも個別算定値が大きい場合は、その個別算定値に基づく選択もできるようにすることが考えられる。
壁面線指定は単独ではなく、高さと組み合わせて、水平視角範囲の部分で壁面線を設け、その線の内側では一定の高さ以下とし、その線の外側は高さ制限をかけないか、または徐々に外側に向かって高さを高める高さ制限とする方法が考えられる。