建築基準法

建築基準法上は建築確認により、建築基準法の内容を満たしていれは、確認が終了し建設ができることになる。建築基準法のうち外部形態ないしは建物ボリュームに最も大きな影響のある容積率は、高度地区や他の形態規制とともに、都市計画において定められた用途地域の内容によって規制され、建築確認のなかでチェツクされる。対象としている地域における都市計画の内容は、決して富士山眺望阻害を防止できるものではない。すなわち建築基準法で通常通りの確認業務を行っていたのでは、偶然の幸運に恵まれないかぎり、富士山の眺望を保全することは不可能であろう。
一方後述するように、基準法の範囲内で総合設計制度に準ずる新たな方策が制度化され、これを行政側が十分な準備とケーススタディを踏まえて、計画的に活用していくことが可能であれば、眺望確保のための方策として制度の存在意義を高めるケースとなり得る。しかし、この方策は建築基準法の通常業務とは大いに異なる創造的な方策が必要とされ、特別な体制を準備して取りかかる必要がある。さらには、諏訪台近傍の台東区谷中におけるマンション建設にあたり、地元住民の反対の声のなかで業者サイドが建物の高さを大幅に削るという状況が出現した。詳細はまだ明らかでないが、おそらく法定容積率を大幅に下回る計画に変更したものと考えられる。このような事例が出現することは、富士見坂の眺望保全にとっても大きな励みをもたらすものといえる。


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