諏訪台における居住者と富士見坂の関わり

 日暮里富士見坂の周辺地域においては、眺望に関連する既往研究で過去2度に渡ってヒヤリング・アンケート調査等を行っている。
 ヒヤリング調査は1993年12月、諏方神社・富士見坂付近において行い、境内からの風景、富士見坂からの風景などにつき、意見を尋ねた。
 第1回アンケート調査は、ヒヤリング調査と同時期に西日暮里駅から日暮里駅にかけての周辺地域を対象に200通を配布し、72通を回収した(回収率36%)。地形的な特徴から、配布地域は崖の下(A)、尾根道通り沿い(B)、富士見坂の下(C)に分けている(図2−17)。このアンケートは、眺望点として位置づけられる「諏方神社」と「富士見坂」の2箇所について、眺望を契機とした風景と人々の関わりを探る目的で行われた。
 第2回アンケート調査は翌1994年10月、上野台地から本郷台地にかけての広範な地域を対象に300通を配布し、60通を回収した(回収率20%)。地形的な特徴から、配布地域は上野台地部、低地部、本郷台地部(標高10mで区分)に分けている(図2−18)。このアンケートは、居住者の領域性と地形との関係を、イメージ、認知、行動の3点から探る目的で行われた。
 両調査から数年経過しているが、質間の視点・得られた回答の傾向等において、調査結果は現在でも十分に妥当性を有すると考えられる。このため本研究の目的に従い、これら調査結果のうち、ヒヤリングと1回目のアンケートにおいては、「富士見坂」に関する回答および自由回答に着目し、2回目のアンケートにおいては、地域内認知度調査における「坂」に対する回答および「高層化の影響」についての自由回答に着目して、日暮里富士見坂が地域や地域住民にとってどのような関係や価値があるのかをみていくこととする。


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