§ 4日目/アンコール・ワット

会社の同僚YJちゃんと1週間の予定でバンコクへ遊びに行くことになりました。でもバンコクだけじゃもったいない、と会社のおじさんたちが囁きます。
「ねぇ、YJちゃん。バンコクからアンコールワットまで飛行機で1時間なんだって〜。さんさん、行ってみた〜い」
「いいけど手配はさんさんがしてよ」
「OK,OK。任せといて!」

・・・とは言ったものの、アジアは初めてみたいなもんだしガイドブックを読んでみたもののどうもヨーロッパとは勝手が違うみたい。取敢えずホテルを押さえなきゃだけど、これもどの程度のどういう立地のホテルにすればいいのかよくわかんないや。プノンペン駐在の人に聞いちゃお。
「治安の面のことも考えて中級以上のホテルを教えてもらえませんか?」とメールしたらすぐに返事がきました。
「ラッフルズ・グランドホテル・ドゥ・アンコールを予約しておきました。到着日の空港迎えとガイド、観光タクシーも手配済み」
おぉ、ゼロからいきなり行くだけになってしまいましたよ。でも何も最高級ホテルを予約してくれなくてもいいのに(^^;

という訳でここではカンボジア旅行についてレポートします

バンコク空港でチェックインする時に「今日は混んでいるから席が通路を挟んで離れてしまったよ」と言われましたが、別にたいした時間じゃないからいいですよ。
この時空港にマッサージはあるか聞いたら、電動のならあるけどもう時間があまりないよ、と言われました。確かに搭乗開始時刻まで後10分しかありません。でも出発時刻までは40分あります。搭乗開始が早すぎるよね〜、と言いつつ出国すると目的のマッサージ屋さんはすぐに見つかりました。
でもこれ、マッサージと言うより、酸素を吸ってリフレッシュ、というもので、その時ついでに椅子もバイブがかかると言う程度のものでした。これで20分US$10は高すぎ! でもこの時出された缶ジュースが後々役立つ事になります。

さて、マッサージを受けている間に何度も搭乗案内がありました(しかも日本語で。バンコク・エア侮りがたし)が、まだ平気と思っていたら丁度お店を出たあたりでとうとう名前を呼ばれてしまいました。すみませ〜ん。

小走りで搭乗口へ行き、そこからバスで飛行機へ。なんと高翼機(翼が窓の上にある=景色がよく見える)じゃありませんか。さっすが観光地は違います。

機内に入ると席は左右2席ずつのミニミニ飛行機でした。なんか今年はこんなのばっかだな。
そして私たちの隣の席(つまりAとD。それぞれ窓側)はそれぞれ白人のばっちり太ったおばさまが座っています。どう見ても隣の席にはみ出してるんですけど。イヤだなぁ、と思っていたらこのおばさま達は連れ同士でわざわざ離れて席を取っていたんですね。そんなことは許せません。お願いして席を替わってもらいました。

高翼機

機内でも日本語のアナウンスが有りラクラクです。小さな飛行機は加速したと思ったらあっという間に離陸し、そして僅か一時間でシェムリアップ国際空港に到着です。
飛行機から降りたらターミナルへは徒歩で向かいます。飛行機とターミナルが直結した通絡や連絡バスなんてありません。つーか必要ありません。
ゲートを通るとすぐ右手がビザ取得カウンター。事前に観光ビザを取ってこなかった人はここで取得します(US$20)。ビザのある人は直接その隣にある入国審査に進みます。私達はこっち。因みに日本でのビザを取得手数料は3,000円也(平成14年10月現在)。
現地で取った方が割安ですが、ビザと入国審査との両方に並ばなくてはならないし(到着便が重なったりしたらサイアク)、無用なトラブルを避けるためにも時間が許すなら事前に取っておいた方が良いと思います。

入国審査でYJちゃんはすぐ終わったのに私はなんだか時間がかかります。なにか怪しまれてるのでしょうか? こういう時は笑顔で乗り切るに限ります。にっこり微笑むと「お名前は?」と日本語で聞かれてびっくり。日本語で話し掛けようかどうしようか悩んでたのかな(^^?
その後も係官殿はしつこくパスポートを見ているので一体何が問題なのか私も上から覗き込み、終いには横に行って並んで見てました。これじゃもう入国しちゃってるって(^^; 

やる気無しな税関を終え、建物を出るとそこはお待合わせポイント。私たちのお迎えもちゃんといました!  →→→
駐車場ははるか向こうですが、お迎えの人が合図すると車は近くまでやってきました。人が乗り降りする時だけ建物の近くに来ていいようです。おぉ、なんか立派な車だわ。もっとしょうもないのしかないと思ってたので意外な感じ。

出迎えてくれたボーイさんが車の中でガイドの料金(日本語US$30、英語だとUS$25)やシステム(半日なら半額とか)などの説明をしてくれます。時折日本語が入るので
「もしかして日本語話せる?」と聞いたら「挨拶だけ」とはにかみながら答えてくれました。笑顔がステキ音符
ところでこの道路、街と空港を繋ぐ大動脈のはずなのに舗装されてないんですけど?

お迎え

ウェルカム・ドリンク 到着したホテルはスタッフの数も多くていかにも高級そうです。ロビーに案内され象さんの顔の浮き彫りがあるウェルカム・ドリンクを飲みながらチェック・インしけました。これは先ほどの出迎えの人とはまた違う人なのですが皆さん流暢な英語を話します。
飾りは蓮の花です。タイでもそうですが花びらを折畳んであります。

次にガイド登場。
え?この子?プロに対して失礼ですが中学生かと思うような女の子です。しかも、どうも日本語に不安が感じられたので英語が話せるか聞いたら話せないとの返事です。つまり逃げ道は無いのね。信じてるわよ〜。

荷物を部屋に置いてくるのでそれまでここ(ロビー)で待ってて、と言い置いて部屋へ向かうと彼女はホテルスタッフに別の場所へ行くようにと言われてました。ロビーはお客様用でガイド用のスペースが別にあったのでした。ちゃんとしててよろしいです。

お部屋は広くて快適そう! テラスからの眺めもうつくしくウェルカム・フルーツも美味しそうです。写真の木箱の中にはチョコレートが入ってましたが、ありの襲撃を受けてました。残念。・・・と思ったらYJちゃんは食べてました。さ、流石・・・。
因みにピンクのドラゴン・フルーツは日本では1,500円也。はっきりいって美味しくなかったけどなぁ。

お部屋 ウェルカム・フルーツ お風呂 ホテル前の公園

さぁ、遺跡へ行かなくちゃ。
ロビーへ降りてガイドさんと合流したのが2時。遺跡観光はUS$20/日だけれど4時から無料になると言うじゃありませんか。4時からでも日没まで充分時間があるというので、観光は4時からにする事にしました。だって暑いし(^^;

で、2時間何をしたかというと、エステとマッサージ。水着を持って来ていればプールに入っても良かったんですけどねぇ。
ホテルご自慢のアムリタ・スパに行きました。が、ここのエステではにきびを潰されました。今時そんなことをするなんて・・・。鼻の毛穴の汚れも押し出すし。これをやると後で皮が剥けるからいやなんですよね〜。足揉みもしてもらいましたがこれもソフトで物足りない感じです。
という訳でここのエステはあまりお薦めしません。

時間になったのでロビーでガイドと合流し、ポーチに車が横付けされました。あれ?空港へ迎えにきてくれた車よりかなり見劣りします。ちょっとがっかりですが、車に乗りに来たわけではないのでしょうがありません。

さて、観光開始。まずはアンコール・ワットです。車で15分程度行くとチェック・ポイントがありここで遺跡の入場券US$20/日を買います。16時を過ぎているので今日の分は不要ですが、明日の分を買っておきます。そして、この翌日分の入場券がないと遺跡には入れないのです。
チェック・ポイントは17時までで遺跡の入場時間は18時までなので、17時以降はチケット無しでも入れますが、日が暮れてしまうので実質的に見学は不可能です。

数ある遺跡の中でアンコール・ワットだけが西向きに建てられています。これはアンコール・ワットを建てたスールヤヴァルマン二世のお墓だからという説がもっぱらです。
途中聖池で寄り道。ここからだとこれまで重なって見えなかった小塔の残り2基が現れ、5基の中央祠堂が全て見えるようになります。ホントなら池にこれらの塔が写って見えるのですが、突然の雨でそれは叶いませんでした。がっかりです。
回廊に刻まれたレリーフは素晴らしいですね。とても何百年も前のものとは思えません。それにしても中央祠堂に至る階段はあまりに急で写真を撮るのもハラハラものでした。

雨のアンコール・ワット ナーガの守る入口 こわ〜い階段 階段を見下ろして

遺跡内部では写真撮影もフラッシュ焚きまくりだしよじ登ってもOKなので、ロープを張られた見学に慣れてしまった日本人はハラハラしちゃいます。YJちゃんが段差を飛び降りた時はびっくりして「そんなことしたら遺跡が壊れちゃう!」と思わず窘めたら近くにいた別のガイドさんにしっかり聞かれていて失笑を買ってしまいました。日本語ガイドさんだったんですね〜。

見物は当然ガイドさんの説明を聞きながらなんですが、このガイドさん、当初危惧した以上に日本語に問題ありでした。やっぱり外国人には日本語は難しいのかと思っていたのですが、途中追い抜いた日本のツアーについていたガイドさんはかなりまともな日本語を話していたし、その人が時間をかけて説明しているレリーフを私達のガイドさんはすっ飛ばしていってしまったりしたので「あれはなんですか?」と聞いたら「あれもレリーフのひとつです」だと。
「やはり優秀なガイドさんは大手の旅行代理店に押さえられてしまうのね、こういうあたりが個人旅行の悲しさよ」と僻んでいたら、中央祠堂で近くにいた個人旅行らしいご夫婦のガイドさんはそれは流暢な日本語を話していました。つまり私たちはハズレってことですか。

アンコール・ワットからの夕日を拝んでいると街に通じる道は車のヘッドライトの行列で、東京と変わらない感じがします。違うのは光はあくまで街に向かっていて反対側には全く光が向かっていないと言う事です。この光の行列は観光客がホテルへ帰る為のものなんですね。・・・なんてことを考えながら本日の観光は終了です。帰りの車の中で明日の日の出見物の出発時刻を確認していました。
私 「日の出は何時なんですか?」
ガイド 「5時半くらいです」
私 「じゃ5時ごろホテルを出ればいいですか?」
ガイド 「でも、もうちょっと早いかもしれません。日の出の時刻は日によって変わりますから

だめだ、この子。お客に日の出見物を案内する以上、正確な日の出の時間くらい調べておくのがプロじゃないの?このガイドさんは確かに若いけれど一人前のガイド料(しかも英語より高い)を取っているのだから私達要求が厳しいものだとは思いません。
この後も彼女は観光とは直接関係の無い事をいろいろ話し掛けてきましたが、疲れたこともあって考えないと分からない日本語の相手をする気にはなれないでいたら、YJちゃんは彼女の怪しい日本語を何度も直しながら話してあげていました。優しいなぁ。私はそんな気力も体力もありませんよ。

ホテル到着後、日本人スタッフのGさんに挨拶をし、ホテルのレストランでアンコール・ビールで乾杯し、夕食を取りながら翌日の観光のアドバイスをして貰いました。

本日のメニュー
干し肉とバナナ・チップのサラダ
白身魚のスイート・サワー・スープ
チキン・レッド・カレー、フルーツ添え
蒸し魚
空芯菜の炒め物、チリ・ガーリック風味
ジャスミン・ライス
バナナ・フランベとココナツ・アイスクリーム
西洋菓子の盛り合わせ

いや、おいしゅうございました。これになぜかシェフからサービスの突き出しまでついて大満足。
すっかり寛いだあたりでどちらからとも無く「あのガイドいただけないよね」と言う話になりました。お互いに「不満を感じているのは自分だけ」と思っていたのでした。ホテルスタッフのGさんに相談しよう!と言う事になり、先ほどお別れしたばかりのGさんを呼んでもらってガイドを変えてくれるようお話しました。聞いたGさんはかなり驚いてました。多分日本人でこういうことを言う人は殆どいないんでしょうね。
YJちゃんが「料金の15ドル全額払わなくちゃいけないんですか?」と聞いた時には、実は私より彼女の方がよほどキテいることを知ったのでした。Gさんのお話ではガイド料金は基本料でガイドに満足した時にはチップを上乗せすることになるので15ドルから減額するのは難しい、とのことでした。
とにかく別のガイドを、日本語がいなければ英語でもいいから、と言う私達の希望を聞いてよほどの事だと思ってくれたらしく、もう遅い時間でしたけれどGさんが調整をつけてくれました。が、やはり日本語ガイドは出払っているそうで英語ガイドなら、と言うのでそれで承諾しました。明日の日の出見物の時にご対面です。

お食事の後はGさんに教えていただいた外国人用のバー、FCCへ行きました。ホテルから国道6号線を越えてシアヌーク・ヴィラの先にあります。ホテルからさほど離れていないんですが、街灯が少なくてちょっと不安になります。でもまだ交通量がそこそこあるのでまだ大丈夫、と思い早足で歩いていたのですが、この国道が渡れなんですよ。だって信号が無いんですもん。それでも国道なので車(というかバイク)が途切れることがなく突っ立っていたらいつまで経っても渡れそうにありません。それでもバイク同士はぶつからずに交差しているんですよね〜。隙を憑いて駆け抜けましたがかなりスリリングでした。
帰国後、会社の人に聞いたら「とにかく相手を見てはいけない。見たら相手を認めた=避けることになる」そうです。度胸のある方はどうぞ、わき目を振らず突っ切ってください(^^;;

バーではまたアンコール・ビールを飲みました。美味しいんですよ。YJちゃんと二人きりになるのはタイへ行く飛行機以来なので話すことはいくらでもあったのですが、なんせ明日は早起きなので一時間位おしゃべりして、引き上げる事にしました。
バーを出るとルーモー(バイクの後ろに二人乗りの座席をつけたもの/タイで言うトゥクトゥク)がいて「1ドル、1ドル」と言ってきました。こ、これは私の買ったガイドブックに「道が悪いし安定性に欠けるので乗らないほうが良い」と書かれていたヤツです。大体行先も聞かないで1ドルと言ってくるあたり既に危ないですよ。乗りたくないな〜、と思ったのですがYJちゃんは乗る気満々です。まぁ距離も短いし交通量の減った道を歩くのもどうかと思ったので付き合うことにしました。

でもこれ、マジ揺れます。怖いです。きゃあきゃあ言いながら乗っていましたが、いつでも飛び降りられる体勢だった事は言うまでもありません。
行きがけにあんなに苦労した交差点もらくらくクリアしあっという間にホテル到着です。これで1$は高いんだろうな。ま、観光客ですから。
部屋で映像のないスポーツニュースなど見ながら本日はおやすみなさい。

「旅の記録」へ 次のページへ