★ 4日目/次はお風呂だ! 

他の部屋の足音で目が覚めました。木靴で歩いているのかと思うほどの足音です。しかも携帯の着メロまで聞えるし。ドイツの無骨な携帯にこんなまともな着メロがあるなんて意外だわー。侮っててごめんなさい。だから静かにしてください。と布団を頭から被って起きるまいとしていたのに、それは実は目覚し代りのUちゃんの携帯でした。気付けよって感じ?

チェックアウトし駅へ向かうべくバス停へ。バス停はポルタ・ニグラ前。ポルタ・ニグラも見納めです。話しは前後するけど、ホテル代は当初聞いていた通りの料金(108EURO)でした。安くて感激!
列車の乗場は12番線北。列車が短い時はホームの前半分(もしくは後ろ半分)しか列車が停車しないので一つのホームでも北と南に分けて表示されます。キップ売場で渡される旅程表にちゃんと書かれているのチェックしましょう。
途中コブレンツで乗換え。階段ではスーツケース用のベルトコンベアがあったのでラッキーとばかりに乗せたらなんと動かない。乗せるのも大変だったのにショック! そこでグッドアイディア。キャスターで転がしてけばいいじゃない、私って頭いー。と、スーツケースを立てたら傾斜が予想以上にキツイらしく私が走るより早く転がって行ってしまうじゃありませんか!?
「きゃー!ダメー!」と叫びながら引き摺り下ろすと見かねたおじさんが持って降りてくれました。
「だ、だんけ・・・」
「さんさん、東洋人だよ」
「うん。でも日本人じゃないから日本語もどうかと思って・・・。ま、言いたいことは通じたよ、きっと(^O^)」

乗換えた列車は結構混んでました。っていうか乗り込んだ人が席を求めてウロウロしてるのに既に座っている人は自分の隣の空いている席に荷物(つーか雑誌や新聞程度)を置いてるんですよねー。どーゆー根性? 空席に新聞を置いたじーさまに「ここ空いてますか?」と聞くと「あぁ、もちろん!」とニッコリ笑顔で新聞をどかしてくれました。最初から置くな。

検札が来た時、そのブロックに新しく乗り込んだのは私達だけだったので車掌さんに言われるまでもなくチケットを差出したらチケットを眺めた後「OK.Perfekt!」と満面の笑顔で返されました。
「ねぇ、なにが『Perfekt』なの?」
「さぁ?正規チケットが珍しいのかな?」
訝しがりながらも列車は進みます。ふと、窓際に置かれたじーさまが読み終わった新聞が目に入り、そこには「北朝鮮の新ミサイル・・・」と書かれていました。よ、読みたい。しかし他人様のだしなぁ。かなり長い間悶々としていたけれど、勇気を出して言ってみました。
「新聞ちょっと見せてください!」
ニッコリ笑顔で貸してもらえました。問題の記事と他の面白そうなのを適当に拾読みして返したら、「ドイツ語を読めるのか?」と聞いてきました。おじーちゃま(新聞を貰ったので格上げ)と「どこから来たんだい? おぉ、日本からか。私も日本に行ったことがあるよ。京都はいい所だね。」などありがちなお喋りをした後、彼はマインツで降りていきました。

コブレンツからバーデン・バーデンまではマインツやマンハイムなど聞いたことのある駅を通って行きます。で、ちゃんと停車のアナウンスも入ります。が、これは日本のそれと同様、ちょっと早口で聞取りにくいです。でも車内にReiseplanが備付けてあるので別に困らないんだけれど、次は私達の目的地、という時アナウンスが入りました。
「次はバー・デ・ン バー・デ・ン」
こ、この異様に区切った発音は私達用? 検札をした車掌さんの差金 気配りかな。なんつーかありがたいですね^^; 

そんな訳でいろいろ楽しかった列車とお別れしてバーデン・バーデン到着。でもここから中央部へはバスに乗らなくちゃいけないんですよね。どのバスに乗っていいのかよくわからずオロオロしていたら運転手さんらしき人が通りかかったので「市の中心部へ行きたいんですけど・・・」と言ったら「ついておいで」と言われ彼のバスに乗り込みました。運転席近くの席に陣取り市街へまっしぐら。ここはバス通りがずっと並木道になっていてとても気持が良いです。20分くらい乗るとだいぶ賑やかになってきました。
この時私達は「近くなったら運転手さんが教えてくれる」と思っていました。でもなかなか運転手さんは「ここで降りるんだよ」とは言ってくれません。で、いぶかしんで地図を広げると私達の目的地はとっくに通りすぎてるじゃないですか。慌てて運転手さんに「インフォメーションに行きたいんだけど・・・」と地図を見せながら言うと彼は眼鏡を掛けながらしげしげと地図を見て「あぁ、行きすぎちゃったね。でも5分くらいだから歩いて行けるよ」と道を教えてくれたので慌てて降りました。
「なんかさー。降りる所教えてくれるって思いこんでたよねー」
「うん、私も」
「『中心部』なんて曖昧な言い方しないで「インフォメーション」ってちゃんと言わなくちゃいけなかったんだねー」
また一つ賢くなりました。

反省しながら「右って言ってたよね」と教えられた道を歩き出すと、見知らぬおじさんが「小川を渡ったらそれに沿って右に行くんだよ」と教えてくれました。なぜ私達の目的地を知っているかな?「わかった。ありがとー」と言って歩き出しても「Bach、Bach。Ah〜、Fluss! Rechts!」と繰り返し、私達が小川を渡ってちゃんと右に折れるまで見守ってくれました。皆親切だわ。

※ドイツ語を知らない方のための解説
ドイツ語で川はまずFlussと習います。でもこれはライン川やモーゼル川など大きい川を表します。これに対して小川はBachと言います。でもあまり出て来ないので知らない人も多いです。で、このおじさんはそこまで気を廻してとにかく「川」だ、と教えてくれたのでした。
因みに漫画「エロイカより愛をこめて」のエーベルバッハ少佐のバッハはこれです。ドイツには「えーべるばっは」という地名もちゃんとあります。

小川に沿ってずっと歩道があり、並木道なっていて歩いていて気持ち良いです。歩道の石畳がガタガタでスーツケースがついて来ないこともあることを除けば。
ホントに5分くらい歩いたところでガイドブックに載っていた建物が現れました。うーん、美しい。随分立派なインフォメーションだこと。

砂利道嫌い〜
しかしさぁ、なんで坂になってるかなぁ。しかも砂利。仮にもインフォメーションならスーツケースを持った旅行者の身になってよねー。坂を上がってもまだ階段が待ってるし。はー、しんど。

インフォメーションでは、去年の教訓を踏まえ、まずこちらの希望を伝えます。
「1泊100EUROまでで、トイレとシャワーがついてて市の中心部にあるホテルを紹介してくださーい。」
「はいはい。いいホテルがあるわよ。1泊80EUROよ」 とパンフを見せてくれました。
「他にはどういった所がありますか?」
「ここはいいホテルだからここになさい。」
選択権なしですか? Uちゃんと目と目で語り合っちゃいましたよ。
「カラカラ浴場はどこですか」
「ホテルからすぐよ。」地図に丸をつけて示してくれます。 ホントに近いです。
「ここから歩いて行けるホテルがいいんですけど」(去年のリンダウがかなりトラウマになってるらしい。)
「大丈夫。徒歩で5分もかからないわ」
「じゃあそこにします」

ここでデポジットを支払い、地図を貰ったら次の懸案事項を聞きました。
「FEILERのタオルを買いたいんですけどどこで買えますか?」
「FEILERってどんなのかしら?」
はいーーー?知らないのぉ? どーして? ドイツのものでしょ? しかもここは日本人もたくさんやってくる高級保養地でしょ? どういうことぉぉぉ?!
インフォメーションの人はチャチャッとネットで検索してくれ「あぁ、これね。わかったわ。でも多分ないと思うわ。Wegenerを覗いてみたら?」とのこと。
ないんだろうなぁ・・・。

地図を片手にホテルへ向かいます。でも道はガタガタな上に何気に上り坂になっていてワインとハリボーの入ったスーツケースを引き摺る身にはかなりツライです。しかも入組んでいてよくわからなくなってしまいました。路上で地図を見ていたらおじさんがやってきて「どこへ行きたいんだい」と聞いてくれました。ホテルを告げると「あぁ、この階段を上がるとすぐなんだけどな。」

階段
これって3階分はあるんじゃないの・・・?。私達のこのスーツケースが目に入らぬか!?

「回り道はないの?」
「こっちからぐるーっと廻って行けるよ」
「じゃ、そっちにする。ありがと」

ガタガタの道を「スーツケースが壊れるよー」と言いながら次の四つ角まで行きホテルのあるであろう方角を振り返ると私達の視界に飛び込んで来たのは先ほどと変らない高さの階段でした・・・。どーゆーことよ。
もっと先まで進み、今度こそと目をやるとそこには階段の代りに急で長い上り坂。冷静に考えれば当然のことなんですけどね。それにしたってちょっと傾斜がキツクない?
因みに左手奥の黄色い建物が目指すホテル。遠いわ・・・。
坂道のぼれ!

やっとの思いでホテル ラートハウスグレッケルに辿り着きチェックインを済ませると宿主(なんかこう書くとパラサイト・イブみたい^^;)のおじさんは言いました。
「君たちの部屋は隣の建物だよ」
3人で外へ出てお隣へ。部屋の鍵と建物の玄関の鍵をもらって中へ入るとまたもや階段が・・・。しかも狭くて急。私達の困惑を他所におじさんは笑顔で言いました。
「君たちの部屋は2階だよ」
それなりに重量のあるショルダーとこのスーツケースを一度に持って上がるなんて私には無理だわ。
「まず鍵を開けて、また戻ってくるから!」
階段を駆け上がり2階の部屋の鍵を開けようとしたらなんと開かない。おかしいなぁ。割と得意なんだけどな。っていうかそもそも鍵が違わない? 振り返るとおじさんが近くに来ていました。
「違うよ。2階だと言っただろう。」笑いながらそう言う彼の手には私のスーツケースが。
あーっ!持ってきてくれちゃったんだ。すみませーん。Uちゃんには「さんさん、ずるーい」と責められてしまいました。そんなつもりじゃなかったんですぅぅ。
それにしてもそうでした。ドイツでは1階が0階だったなのでした。つーことは2階は3階!?街を行き来するたびに三階を昇り降りしなくちゃならないじゃないですか。嘘でしょう??

でもお部屋はなんだかすごいぞ。主寝室の他に子供部屋、居間兼食堂、広いキッチンにバスタブ付きのお風呂まであるじゃないですか。これで80EURO。激安だ〜。
荷物を広げて汚す前に記念撮影。傾いているのは私が下手なんじゃなくてホントに傾いでるからです。
主寝室 子供部屋? 居間兼食堂

主審室から外を見ると通りを挟んだ向いは「地球の歩き方」に載っていたホテル アムマルクト。でも入口は反対側だからもっと坂を登らなくちゃまりません。利用されるつもりの方、覚悟が必要ですことよ。いや、別にタクシーで行けばいいんですけどね。参考までにリンク貼っときます。
HOTEL Rathausglökel
HOTEL Am Markt

荷物を置いたら街を散策。来がけに教えられた階段を降りたらホントに近かった。しかしスーツケース持って下りたくないなぁ。
まずはお昼ゴハン。先ほどの小川の方へ行くとカフェがあったのでそこでランチタイム。 無事バーデン・バーデン到着を祝う乾杯にはもちろんビール。ここではロートハウスと言うのを飲みました。これがなかなかグー。お食事はサラダとパスタを取ってシェア。

ba_bier01.jpg ba_essen01.jpg

お腹一杯になったところでまたフラフラ。リヒテンタイラー・アレーでブランドショップを見ながらインフォメーションへ戻って飲泉体験。身体の中から綺麗にならなくちゃね。売店でコップを買って飲みます。コップはバーデン・バーデンの文字の入った記念用ガラス製の他、使い捨ての安いのがあります。もちろん安く済ませました。しかしまずいわ、これ。半分で捨てちゃいました。体にいいことってツライのね。

漫ろ歩いているとヴェレダのディスプレイがある薬局に行きあたりました。ここならあるに違いありません。応対してくれたの店員さんは笑顔の素敵なブロント美人。
「ヴェレダの歯磨き粉下さい!」と言ったら種類がいろいろありました。「どれがいいの?」と聞いたら「どれもいいけどこれがお奨めよ」と言われたのは特売の札がついて1,50EURO。嘘のように安いじゃありませんか(日本では\900)。こりゃ買わなきゃ損でしょう。という訳でボディローションも購入。免税店でクラランスのを買ったばっかなんだけど良いよね。
後でホテルに帰って袋を開けるとおまけで蝋燭が入ってました。私達、お子ちゃま?
ビレロイ&ボッホの前を通ったら素敵な薬缶が29EURO!ほ、欲しい。でも嵩張るからなぁ。ここからまっすぐ帰国するならいいけどまだウィーンに行くもんなぁ。スーツケースにはもちろん入らないし・・・。逡巡する私の横でUちゃんはその近くに展示されていたガラスの器に心を奪われ二人で釘漬け状態。「取敢えず一晩考えよ」そう言ってそこを離れて切手を買いに郵便局へ。郵便局はデパートWegenerの1階にあります。
ここでもちまちました物とお水とお風呂上り用ビールを購入。ビールはお昼に飲んだのと同じ銘柄の別の種類のにしてみました。

夕方からカラカラ浴場へ。名前とは裏腹に近代的な建物です(12,00EURO/2時間)。

カラカラ

ここはタオルを持参で水着着用。個室ロッカーで着替えて別のロッカーに荷物を預けたらシャワーを浴びていざ、プールへ。
浴場と言っても水温も低いしブールみたい。塩素も入ってるしね。屋内に大きな円形のプールがあり、ここは3段に別れていて深さが違います。一番外側は流れるブールみたいに側面から高圧の水が噴出しています。流れるプールと違って横にではなくまっすぐ噴出しているので水圧でマッサージが出来ます。早速足裏から脹脛を当ててマッサージ。おぉ、こりゃいいぞ。でもさ、水圧がとっても高くて縁に捉っていないと押し流されてしまいます。水圧もドイツ人仕様?

屋外には2つプールがあって水温はそれぞれ30度34度。日本人にはちょっと低いですね。しかも夕方行ったので気温も下がっており、さむ〜って感じ。でもここは側面からアワアワが出る穴がいくつかあり、気泡マッサージが出来ます。その際は縁に頭を乗せてリラックス。でもね、このアワアワも強烈で顔までびしょびしょになります。お化粧を落したくない人は諦めましょう。この気泡マッサージは10分くらいで水圧マッサージと切り変ります。10箇所くらいしかないので空いている所があったら遠慮なく試してみましょう。
このプールの真中は丸く仕切られていてここも強烈なアワアワが出ます。どれくらい強烈かと言うと辿り着く前に流されてしまうくらいです。なんとか縁に捉って無理やり中へ入りましょう。
は〜、楽しいです。でも寒いです。これで帰ったら絶対湯冷めしちゃうと思ったので屋内にあるアロマミスト・サウナへ。ここはミントの香漂う気持ちよい空間でしたが、サウナと言うにはやはり温度が低いわ。本来なら上階にあるホントのサウナへ行くんでしょうが、ここは水着を脱がなくてはならず、脱いだ水着をもう一度着るのがイヤだったので行かずじまい。シャワーを浴びて帰りましょう。ドライヤーもあります。ビジネスホテルにあるような妙に威力の弱いやつですが。もっとも今日は髪を洗っていいのかわからなかったのでシャンプーは持っていきませんでしたが。
帰り道、Uちゃんに聞いたら奥の方に水温38度の温かいプールもあったんだそうです。「でもカップルばかりがベタベタしていて女一人ではとても居た堪まれず早々に出てきてしまった」そうです。カップルがプールでベタベタするのはお国を問わないんですね。

「ところで夜ゴハン、どうしようか」
カフェはもう閉っていて目に付く所のお店はどこもやっていません。コンビニなんかもちろんありません。喰いっぱぐれました。
非常時に備えてUちゃんが持ってきてくれていたカップラーメンを部屋で食べました。今回初めての貧しい食事です。が、お昼に買ったビールは当りでした。(大きいホテルのレストランとかは行けばやってたんだと思うんですよ。でももう遠出するのは面倒だったので。)
お部屋のお風呂で暖まって髪を洗ってハッと気付いたらドライヤーがありません。うぉぉ。やられました。確かにインフォメーションではドライヤーの有無は確認しませんでした・・・。夜は結構冷え込んだので風邪を引かないといいんですが。
そして水着をヒーターに掛けておやすみなさい。

戻る 次のページへ