2022/11/30 バルブクリアランス調整に挑戦!!(29715km)
これより数日前の出来事ですが、
出かけようとエンジンかけようとしたのですが、かかりにくい。
なんの予兆もなく、いきなりかかりにくくなった感じです。
セルは回りますが、「シュルルルルルルルルルル」と回り続けるのみで、点火しない。
アクセル開けながらもう一回セル回すと、ようやく点火し始めましたが、
最初のうちはどうもブスブスと吹け上がらない。
未燃焼のガソリンが、(多分)マフラーの水抜き穴的なところから出て周囲はガソリン臭いし・・・
一度吹け上がればまあまあアイドリングはしますし、
しばらくするとアイドリングもまともになりましたので、
その日はそのまま出動。確か帰りのエンジン始動もまともだったような・・・
次の日もう一度エンジンかけようとしたところ、またもや全く同じ症状!!
何だか良く分かりませんでしたが、とりあえず1本だけ変えて残り3本替えていない、
プラグキャップ、交換することにしました。
新しいキャップに替えて、連結部を熱収縮チューブでカバー、
更にその上からハーネス用テープでカバー。
そんな感じで3本取り替えました。
ところでこのプラグキャップ、換えた物が古くてツルツルなのか、
それとも細かな仕様変更があったのか、
古い方はプラグホールと接触する部分がわりと滑らかなのに対して、
新品は微妙にデコボコとしています。密着性上げるための仕様??
↑画像上が旧品、下が新品です。ザラザラとしています。
ま、それはいいとして、さあてこれで直るだろうと踏んで再びエンジン始動。
これがなんと、症状全く変わらず!! ガビ~ン!!
長々とクランキングして、ガソリンまき散らしてブスブスと始動・・・
と、まあこんな症状がありつつ、これはバルブクリアランスが超狭まっているからか??
と(ネットの情報も参考にしつつ)思い、準備してあった道具、パーツ類にて、
バルブクリアランスの調整に挑戦!!と相成りました。
新たに購入したりして用意した物は以下。
・57001-1217 アジャストスクリュー押さえ専用工具 ¥1,063
先端に四角の凹みがあって、バルブのアジャストスクリューを押さえることが出来ます。
・92150-1447(92153-0793に変更) ヘッドカバーボルト ¥129(x6)
・92022-1487 ヘッドカバーワッシャ ¥181(x6)
・92055-1225 ヘッドカバーゴム Oリング ¥224(x6)
・11009-1498 ヘッドカバーガスケット ¥3,225
水を抜きますので、
・132J0612(92022-1569に変更)クーラントドレンボルト ¥199
・92022-1627(92022-1976に変更)クーラントドレンボルトワッシャ ¥259
・670B2016 ヘッドに入る水パイプのゴムOリング ¥219(x2)
またパルシングコイルカバーも開けますので、
・11009-1503(11060-1098に変更)パルシングコイルのガスケット ¥549
その他、用意した物
・今回でなくなぜか前から準備してあった、シックネスゲージ
(0.03mm~)
・水抜きますので、交換のためのクーラント液
・水用液体ガスケット
・ヘッドカバー用液体ガスケット
などなどです。
さて、まずシートとタンク外して、水を抜きます。
ドレン外してもほとんど抜けません。気密がちゃんと効いてる証拠。
ですのでラジエターキャップ外してどんどん抜きます。
その後にシリンダーヘッドに入って行く水パイプを2本、抜きます。
1番2番側
3番4番側
ゴムホースは鉄パイプとつながっていて、その鉄パイプの先端にゴムのOリングが付いています。
画像上、実は一旦ゴムホース外そうかと思い、ホースバンドを緩めてありますが、
カチカチに固着していてとても無理そうでしたし、無理にこじってホース傷つけるのも嫌なので、
鉄パイプごと外しました。ホースバンドは鉄パイプの固定ネジ回しの邪魔にならなければ、
必ずしも外す必要はないかもしれません。
水パイプ、本当はサーモスタッドとつながっている部分も外し、ホースを完全に外す方が、
その辺りを追整備する意味でもいいのでしょうが、入り組んでいるのでパス。
水垂れぬようにとりあえず上向きに吊っておきました。
さて6本のヘッドボルト外して、ヘッドカバー取っていくことにします。
が、最終的にはどうにかなりましたが、結論から言うとこれが非常に面倒でした。
問題はタイミングチェーンの位置です。
ZL1000は、1番気筒側にタイミングチェーンがありますので、
多分ですが必然的にそちらからヘッドカバーは抜くことになるんだろうと。
↑ZL1000のヘッドの図
ところがZL400、真ん中にあるんです。
外すもの外し、さて引っこ抜こうと思いましたが、
真ん中が邪魔して、右にも左にも行きにくい。
こうなったら少し前にずらし外していくのかなぁなんて思ったら今度はホーンが邪魔・・・
ホーンを外し、フレームの下からよけていた水ホースの1本をフレームの間から上へと出す。
ホーン外し、
真ん中のホースをグニャっと上に出しました。
そしてそうこうしているうちに、何とかヘッドカバーは外れました。
さてここで、まああまりいないかと思いますが、
はじめてこのタイプの車種のヘッドカバー外す方には最も注意して欲しい点です!!
「ヘッドカバー開ける時に、中でオイルラインを押さえている??ゴムのフタが取れやすい!!」
ことです。
上で◌した、11012のパーツです。(11012-1491 キャップ)
パイプ両端に計4個付いています。
このキャップは極端に言えば、オイルパイプの出っ張りに、少しはまって乗っかっているだけです。
ヘッドカバーを戻してしまえば、カバーに押さえつけられるようになっているんだと思いますが。
何の予備知識もなく初めてカバー開ける私は、そんなトラップがあるとは全く思いませんでした。
「さあて、何とか開いたな」と、初めて見る400SEのカム部を何となく眺めていました。
1番2番側赤〇部、キャブ側(右側)のキャップがありません。
3番4番側、こちらも同様、キャブ側の1個がありません。
が、恐ろしいことに、この写真撮った時点で、ゴムキャップが2個、
外れていることに私は気づいていません。
気づくのは次の日です・・・
さしあたり今日はここまで、と、
ビニールでカバーしてその日は終了。
さて翌日。
パルサーカバーを外します。
中心にある17mmを、ラチェット等で時計回りに回してゆくと動力が伝わり、
カムが回り始めます。
マニュアルを元に、カムが全くバルブを押していない箇所へとカムを動かします。
マニュアル(GPZ400R用)では、タイミングマーク(T)を、エンジン側の
タイミングマークに合わせる、とあります。
こんなだったり
こんなふうにするという事ですが・・・
ところが、なんですが、カムスプロケットにマークがいっぱいある・・・
写真撮り忘れて今やどうなっていたかもあまり憶えていませんが・・・
1枚のスプロケットにEXとINのマークがいくつかあって分かりづらい。
ただまあともかく、クルクルと回しているうちに、
やら、
の位置にスプロケット合わせると、
カムが外向きになって、バルブを押していないであろうことが見て分かりました。
ちなみにマニュアルでは、スプロケットのマーク位置に対し
調整するバルブはその右の画像、という風になっていますが、確かにそうなっていました。
さて、シックネスゲージ用いてカムが効いていないバルブ部の隙間を測るわけですが、
私はここで間違いを起こしました。測る場所を間違えたのです。
本来測るべき箇所はこちら。
バルブスプリングリテーナーと、アジャスティングスクリューの間。
最初のパッと見、ここなんだろうかな?と入れてみましたが、
どう考えてもゲージなんか入らないじゃん、という狭さ。
何mmのゲージ入れようとしたのかも憶えていませんが。
いやあここじゃないなと、検索してみたところ、
「ロッカーアームとカムの隙間を測る」というものを発見。
ああこれかと早合点し、その部分を測って調整してしまったのです。
上画像の部分を測ってしまったのです。
本来測るべき箇所が各バルブで16カ所、ということになりますが、
間違えているために測ったのは8カ所。
で、その結果が。
1番気筒 | 2番気筒 | 3番気筒 | 4番気筒 | |
吸 気 | 0.07mm | 0.09mm | 0.08mm | 0.07mm |
排 気 | 0.13mm | 0.12mm | 0.12mm | 0.08mm |
※クラッチペダル側から1→2→3→4、キャブ側が吸気、エキマニ側が排気
マニュアルでの推奨基準値は、吸気0.13mm~0.18mm、排気が0.18mm~0.23mm
測っている場所間違えていますので、基準値もへったくれも実際ないのですが、
隙間的には多分、大きく違わないと思います。
(やっている時から少し??でしたが、バルブ個別はどうすんだろ?なんて思いつつ)
予想通りで少しホッとしたのですが、どこも隙間が狭い。
イコール常にバルブが押されて、圧縮抜けを起こしていて、始動困難になっていた、
と勝手に結論付けることは出来そうです。
隙間調整は、マニュアルにある通りにしか出来ませんので、
8mmのレンチでロックナットを緩め、専用工具をアジャストスクリューの頭に差し込んで回し、
緩める締めるを行います。
「バルブ2本調整して測るの1か所なのかなぁ~??」と少し疑問に思いつつ(笑)。
シックネスゲージを使用して隙間を測りつつ(ハッキリ言って感覚つかみにくいです)
最終的に専用工具でスクリュー押さえながら、ロックナット締めこんで隙間確定。
で、間違えて測った隙間を、以下のように修正しました。
1番気筒 | 2番気筒 | 3番気筒 | 4番気筒 | 基準値 | |
吸 気 | 0.07mm | 0.09mm | 0.08mm | 0.07mm | |
調整後 | 0.16mm | 0.18mm | 0.16mm | 0.18mm | 0.13~0.18mm |
排 気 | 0.13mm | 0.12mm | 0.12mm | 0.08mm | |
調整後 | 0.23mm | 0.21mm | 0.20mm | 0.22mm | 0.18~0.23mm |
今後も多少狭まってくるのかな?と思い気持ち広めに調整しました。
と、いうような間違った調整を行いまたそれに気づかず、
さて蓋閉めは明日か、と思いその日は終了。
その日のうちに間違いに気づき、次の日再び、今度はキチンとバルブ1本づつ再調整。
既に少し調整してしまっていましたので、調整前の「狭さ」は元々のそれではないことが残念。
1番① | 1番② | 2番① | 2番② | 3番① | 3番② | 4番① | 4番② | 基準値 | |
吸気調整前 | 0.19mm | 0.19mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.17mm | 0.17mm | 0.22mm | 0.22mm | |
調整後 | 0.17mm | 0.17mm | 0.17mm | 0.17mm | 0.17mm | 0.17mm | 0.18mm | 0.18mm | 0.13~0.18mm |
排気調整前 | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.23mm | 0.23mm | 0.25mm | 0.25mm | |
調整後 | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.20mm | 0.18~0.23mm |
吸気側、少し広げ過ぎていた箇所があったようで、修正しました。
排気側とか0.20mmで一見揃ってますが、感覚非常に難しいですね・・・
ゲージ抜く感覚、固くても入っていればその隙間はあるんじゃないかと思ったり、
「羊羹切るような感覚」っていったいどんなだ???とか思いながらも、
「それなりにやれば悪くなることは絶対にない」というどこかで読んだ記事を頼りに行いました。
調整時の写真が、慣れぬ作業で少ないのですが・・・
で終了後、蓋閉めです。もちろんこんな無事には終了していないのですが。
それは後述します。
この日のためにと、ヤフオクで落札してあった、
「400SE用、ガンコート処理済みヘッドカバー」登場です。
キレイですし、堅牢でちょっとしたこすりなどにはびくともしません。
新調してあったカムカバーガスケットももちろん装着。
カムカバーガスケットは、本来ヘッドカバー側に(液ガスなど使い)くっつけてから、
ヘッドに被せる、というような感じかと思いますが、うまくくっつかないので、
ヘッド側に乗せて(一部液ガス使用)、そのままヘッド乗せてしまいました。
載せる時も例のゴムキャップにビクビクしながらやりましたが、外す時よりも数段楽でした。
ヘッドボルトはトルク1.0kg/mにて締め付け。かなり弱いです。
ま、漏れてくるようならまた考えるとします・・・
既に入れてしまってありますが、水パイプ部、Oリングを入れ替えました。
これを
少しやすってキレイにし。
こちらも
こんな感じにキレイに
部品はこちら。670B2016
両側とも液ガスも少し塗って、再装着しました。
パルサーカバーガスケットも、破れていましたので新調。
ついでにカバーのボルトも2本とも、新品に替えました。
その他、クーラントのドレンとワッシャを新品に。クーラントももちろん替えました。
さてところで調整の結果ですが、やはり「それなりにでも、ちゃんとやれば確実に良くなる」
というのはまあ間違いないところだと思います。
クランキング長いなんて言う症状は当然なくなりました。「キュルポン!!」とかかります。
また、気持ち排気音が軽くなったような気がします。
ところでですが、この作業をやって感じた、難点というか苦労した点というか、挙げときます。
①前述ですが、オイルラインのゴムキャップ、危なすぎる!!
ゴムキャップが外れたことに気づかずに終えた次の日、幸いにもカムの隙間に何かが落ちていることに気づきました。
なんだこれ?とラジペンで取り出して見てみると、同じような物が付いている所と付いていない所が!!
2個付いていない!!これも幸いにも、もう一個も同じようにカムの脇に落ちていて、拾って事なきを得ました。
が、これ、もし真ん中のタイミングチェーンのほら穴に落ちたら一大事です。大変ですよ本当に。
なにせ、落とした私が言うのですから間違いありません。ドヒャー!!
作業中ずっと外しておけばいいものを、なぜか付けていて、ほら穴に落としてしまったんです。
竹製の長い魚用ピンセットなど持ちだして拾い上げようとしましたが、スペースなくて全然届きません。
多分ですが、取れなければエンジン分解するしかないのでは?と考えた挙句・・・
イチかバチかでどうしたかと言いますと・・・
チェーン回して無理やりはさみ込んで(引っかけて)あげるしかない!!
としばらくクランクを回し続けたのです。
これ多分全くの僥倖ですが、それで何とか引っかかって上がってきてくれたのです。
こんな間抜けな方はまあいないと思いますが、お気を付けください・・・
②専用工具のスクリュー頭押さえ工具、長すぎて使いずらいことこの上なし!!
これ、1番と4番については特に問題ありません。上側スペースありますし。
2番と3番は、真上にフレームがありますので、押さえにくいです。
斜めに無理やり突き刺して何とかやりましたが、さほど力を入れる必要のない工具ですので、
思い切って半分くらいにぶった切ってしまっても使用には差し支えないと思います。
再び調整やることがあれば、間違いなく私はそうします。
みんなどうしてんだろう、と思い検索してみましたが、緑色とか黄色の短いドライバーを使っている画像はありました。
が、それはどうやらGPZ900Rとかに使う物のようで、スクリュー先端形状がマイナスになっている物のようです。
400SEのスクリューの、四角ヘッドには合わないような感じ。
もっと探せばあると思いますが、切った方が早いですね。
③「羊羹を切る感じ」??全く分からず!!
シックネスゲージが入る限りはその隙間がある、と考えればいいのか、
抜いた時にゲージに擦り傷があるような感じでは狭すぎるのか??
とにかく初めてなので感覚が分かりませんでした。
俗に言う「羊羹を切る感じ」という表現を鵜呑みにすれば、
キツキツで決めるのはダメ、という事になるんでしょうね。
あとは、隙間を決めて専用工具で押さえながらロックナット回す際にも、
どうしても最終的に「締めこむ方向」にスクリューがほんの気持ちですが回ります。
なので、確定させた隙間よりもほんのわずかですが狭まる。
このほんの僅か、でも隙間は確実に変わってしまうデリケートさです。
まあ結論的にはやはり、
「やらないよりはやった方が全然良い」という気持ちで臨むのが吉かな、と思った今回の補修でした。
400SE Top / Motorcycle Top