エリミネーター400SE メンテナンス記録


2013/5/19 キャリパ―オーバーホール(14953km)


最近どうもブレーキの握り心地が、異様に固くおかしい感じです。

ブレーキの効きに大きくは問題ないと感じますが、キャリパ―の大きさこそ違えど、
同じブレーキシステム(Wディスク)のZL1000と比べると、明らかに感じが違います。
どちらも基本ノーマルシステムです。
ZL1000は4段階式のレバーに換えていまして、軽く握っただけで効き、
効かせ具合も握り方の強弱でどうにでもなるという感じですが、400はそこまで良くはありません。


考えてみれば納車以来、フルードこそ変えましたがパッドは換えて(見ても)いませんし、
もちろんキャリパ―自体もノータッチです。

ということでキャリパ―の状態を確認することにしました。
が、キャリパ―ばらした以上最低でもピストンシールとダストブーツは換えなければいけません。
場合によってはパッドも。

パーツの手配があらかた済みましたので、キャリパ―外しに着手しました。

ピストン抜きは、車で辛い思いしてますので、慎重な方法です。
シングル片押しキャリパ―ならば、ブレーキフルードの油圧で「ポンッ!」と抜いてしまえば
問題ないですが、400SEも片押しながら、ダブルディスクでキャリパ―は2個。
2個のキャリパ―が全く同じ状態であることはあり得ませんので、多分そのまま油圧をかけたら、
(無論パッドは取ります)
多分どちらか片方のピストンだけ抜けると思います。それも抜けやすい方だけ。

抜けなかった方がより固着しているわけですから、それを抜くのは下手したら難儀しそう。

ということで、油圧をじわじわとかけて両ピストンとも少しずつ出し、
手で抜けるところまで出たらば両方抜く、ということにしました。

キャリパ―、ピストンの大きさが違いますが、以前アルファで、どうやっても
手持ちのエア機器(空気入れですが)ではピストンが抜けなかった経験がありますので、
出来るだけ既存システム使って油圧で抜いておきたかった、ということもあり、
そのような方法にしました。

まずパッドを抜くためにキャリパ―をサポートから外します。

名前分かりませんが、キャリパ―から生えてパッドを貫通しているロッドを押して、
パッド間を広げます。

パッドピンをコチョコチョといじったら、キャリパ―側のパッドは外れました。
押し広げてあるロッドの端からもう一方のパッドを抜きます。でパッドピン抜きます。

これでピストンの前に障害物はなくなりました。
 右

 左

片側のキャリパ―をもう一方に持ってきて、2個のピストンの出方を見ながら、
優しくブレーキレバーを、フルストロークでないくらいに何回か握ります。

すると間違いなく、どちらか片方だけ、ダストブーツの守備範囲を超えてピストンの
光った部分が「ヌゥ〜」と出てきます。
(出てこないからと握りすぎると、握り終わった後思い出したよう出てくる時もあるのでご注意)

 
(同じ圧をかけて、右キャリパ―は左図のように出て、左キャリパ―は全く出ていません。)

そちらのピストンは手でぐらぐらと動く、抜ける手前ぐらいまで抜いておきます。
抜いてしまうと圧がかからなくなるので、もう一方が面倒になります。

このまま握り続けると抜けかかりのピストンが抜けてしまいますので、
古いパッドなど適宜挟み物をして、抜けそうな方、それ以上出ないようにしておきます。
もう一方の出にくい方にのみ圧がかかるようにします。



そして再びレバー握り、もう片方のピストンは、そのまま油圧で抜いてしまいます。

ここまでブレーキフルード全く抜かない作業です。
片ピストン抜いたこの時点で、ブレーキフルードがピストン抜いたキャリパ―からあふれ出てきます。
もちろん、なるべくどこにも付着しないように注意しながら作業続行です。
私は、バケツに水入れてそこに受けました。

両ピストンとも抜けたら、フルードの付着に注意しながら、
再度ボディにキャリパ―付けます。
バンジョーボルト外すためです。(効率わる・・・。)

バンジョーボルト外して、キャリパ―ももう一度外し、これでやっと完全に外れます。

ブレーキホースはカバーして上に向けておきます。垂れますので。




さて、まず外したパッドですが、これ明らかに許容範囲越えてますね。
測定しましたが、どれも純粋なパッドの残がほぼ1mm・・・。
カワサキのロゴの入ったパッドですので、もしやもしかしたら、新車時からの物ですね。
というかほぼ間違いないですよね、私が購入した時のオド(5000km)が正しければ。


右パッド

ローター側 残1.0mm
キャリパ―側 残1.0mm


左パッド

ローター側 残1.0mm
キャリパ―側 残約2.0mm

ごめんなさいこんなに酷使して。
でもパッド用意しておかなかった・・・。

ただ、ここまで減ってこう言うのもどうかって感じですが、
片減りや偏摩耗がほとんど見受けられません。ピストンの状態(出方)は多少違うようですが、
パッドの減り方に大きく影響が出るほどの片効きではなかったようです。

さて肝心の、ピストンとその他キャリパ―の各部です。

外した直後の両キャリパ―




左キャリパ―ボア 茶色の液体びっしり



左ピストン 



右キャリパ―ボア 同じく



右ピストン


ご覧のとおりです。さて困りました。
ピストンの状態結構悪そうです。
ボアは多分洗えばそこそこ見られる状態に戻ると思いますが。

パーツ発注済んでますが、ピストンまでは頼んでません。
気を取り直して、とりあえず各部清掃してみます。
お湯と洗剤、歯ブラシと800番程度のペーパーとピカール。

こんな感じになりました。

左キャリパ―


右キャリパ―


左ピストン


左キャリパ―ボア


右ピストン


右キャリパ―ボア


右も左も、ピストンにはサビとメッキのはがれがあります。
が特に左ピストンのそれはう〜ん、どうでしょう。
普通に考えたら換えるレベルかもしれませんね。

・・・


1日考えた挙句、換えることにしました。
もちろん両側とも。部品再発注です。
ついでに、ブリードキャップのフタ(ゴム)も注文しました。
切れていましたので。

ところで、まさかここまでパッドが減っているとも思いませんでしたので、
パッドは手配していませんでした。
これも当然換えるべく購入しました。デイトナ赤パッド。




あとは再使用可能とも思いますが、バンジョーボルト。
ワッシャだけという手もありますが、この際なので外品に交換。



パッドもボルトも世田谷NAP○。
他の部品まだ無いし、急ぎじゃないからネットだったなぁ、とも思うが。

さてあとは部品到着待って、組み付け。


ここから5/25

部品があれこれと到着しました。
なんやかんや2万近く買ってしまった・・・。

今回注文した物・・・

パーツ番号   400SE用 ZL1000用 個数 価格@
1回目          
49006-1091 キャリパ―ダストブーツ   630
11012-1688 スイングアームキャップ   714
43049-1095 キャリパ―インナーシール   462
49006-1054 キャリパ―ブーツ(長)   504
49006-1055  キャリパ―ブーツ(短)   284
92081-1580
シートフックのスプリング 242
224AB0520(224C0520) ネジ(フロント配線カバー用)   63
92055-1222 キャブチャンバーOリング   714
235AB0620(235C0620) サイドカバー留めネジ   74
2回目          
43020-1082  キャリパ―ピストン   2652
43057-003 ブリードバルブのキャップ 200
43049-1028 キャリパ―(前後共通)ダストブーツ   494
43049-1098 キャリパ―インナーシール   494
49006-1094 キャリパ―ブーツ(長)   525
49006-1095 キャリパ―ブーツ(短)   284


パーツも揃いましたので、早速キャリパ―再組み付けします。

使うグリスはWAKO’Sのブレーキ用シリコングリス。
ブレーキクリーナーで再度穴(バンジョー側とブリードバルブ側)をきれいにし、
まずインナーシールを入れ、そしてピストン挿入。

 

ところで古いピストンはもう固着しているのか、パッドを押す黒い部分が
分離しませんでした。
こちらは当然新品ですから、逆さにすれば落ちてくるぐらいのスムーズさです。



あれでもこれ、ピストン入れてからではダストブーツハマりそうにない?
じゃあダストブーツ入れてからピストン挿入?


無理やり入れれば入りそうですが、ダストブーツが変に(破れたり)なってしまいそう。

ということで、ピストン再下部にあらかじめダストブーツをはめて、
まずダストブーツ入れてからピストンをはめ込む。これで何とかOK。







両側とも同じ要領で、まずピストン終了。




ブーツとロッド、ロッド部分にたっぷりとグリス塗布して組み付け。

これでパッド以外は全て終了。

さて、パッド入れます。
パッドスプリングを置きます。
向き逆(反っていない方を上にして)に付けて、
「どう考えてもディスクに干渉するじゃん!!」
と、1時間くらい悩んでいたことは、この際だからなかったことにします。

 ←パッドスプリング間違って組むとこうなります。


パッドは新品ですから厚みがあります。小さい方のパッド(ピストン側)を
先に入れてしまうと、ロッドを押し込んでもパッドの厚みのせいで縮まりきらず、
大きい方が入りませんので、大きい方から先に入れます。
パッドスプリング→大パッド→小パッド、ですね。

パッドグリス塗布(カッパーグリス)、一応面取りはしておきました。

これにてキャリパ―完成。

車体に取り付けます。
ZL1000のマニュアル参考に、バンジョーボルト29NM、キャリパ―サポート32NM
で締め付けました。ステンワッシャが締まるので、バンジョーはちょっと入れにくいです。




次にオイル補充、エア抜き。しようかと思いましたが、ここで大問題発生。

マスターシリンダーのキャップのネジが片方、全く回りません。

 

上図左のネジが回りません。右は「カキッ!」という音と共に回ったのですが。
ここで早めにあきらめてショックドライバーでも買いに行けばよかったのですが、
(無いんです。結局買いませんでしたが要購入ですね。)
ちょっと甘く見てました。

ここ最近ネジ回しの失敗はないので、「押し9回し1」位で頑張れば
何とかなるかと。

回りません。ああだこうだといじっているうちついにネジ頭壊しました。
こんなにも酷く。あぁ〜。



ただ上の画像ご覧いただければお分かりの通り、最終的には取れました。



えらそうにエキストラクタの写真なんぞ載せてますが、
これは今回もうまくいきませんでした。
まあ、多少緩めた効果はあったかもしれませんが・・・。

最終的に回せた方法は、マイナスドライバーをネジ頭のなるべく外周付近に当て、
緩む方向にハンマーで「カキッ!カキッ!」と地道に叩くという方法です。

どうにかなるだろと思ってましたが、一応どうにかなりホッと。
ということで晴れてブレーキフルードの入れ替えが出来ます。

開けたマスタータンク。少したまった汚れが気になるが、これは次回。



エア抜きですが、通常のやり方(フルード自然落下&レバーニギニギ)
で何の問題もなく、さほどの時間もかからずに終了しました。



当面の効きは問題ないことも確認できましたので、また少し時間空けて
再度エア抜きすることにします。


なおマスターのキャップボルトは、同じサイズのボルト(皿頭、5x18)が手持ち無し
でしたので、六角穴の皿頭ネジ(ステン)、5x15でとりあえず代用しました。






オマケですが、400の方もスイングアームキャップを新調しました。
というか付いてなかったんですが。

←こちらが

←このように


 
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