これも、紀行作家宮脇俊三氏の著書である。
かの名著『時刻表2万キロ』から4年後の1982年に刊行された。こちらは、時刻表の片隅に小さく載っている日本各地のローカル私鉄に乗ったときの記録・・・・というよりも、ローカル私鉄への応援歌といってもいいような内容である。
今から20年以上も前の作品だから、掲載されている路線の中には「三菱石炭鉱業 大夕張線」 「野上電気鉄道」 「片上鉄道」といった、今では鬼籍入りしたところも多い。
また、当時はローカル私鉄の車両に冷房があることがマレであったり、列車のワンマン化や駅の無人化が今ほど進んでいなかったので、本文を読んでいくうちに今との時代の差を感じることも多い。
法律が変わって鉄道事業からの撤退が容易になったので、これからローカル私鉄の廃止のピッチはあがるかもしれない。そういう意味で、ローカル私鉄のナマの姿を赤裸々に描いたこの作品は、将来貴重になるかもしれない要素を含んでいる。
これも刊行が古いが、最近ではこれも文庫本サイズでも出ているようなので、入手にはそれほど苦労しないであろう。ローカル私鉄ファンはもちろん、そうでない人も読む価値はあると思う。
*作者の宮脇俊三氏は、2003年2月26日に他界されました。ご冥福を
お祈りします。
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