久二男さんの木尽くし日記 その99



ユリノキ、ヒメシャラ、ナツツバキそしてハンカチノキ
06/8/13

植物を、移動のままならない不自由な生き物と見るのは人間の勝手な誤解だ。その種子や球根は、風や海流に乗り、あるいは鳥に運ばれて何千キロも動く。

ユリノキ(モクレン科)

英国王室の植物管理人を務めた父。同姓同名の子ジョン・トラデスカントにより北アメリカから英国に導入されたといわれています。今では日本に自生していないこの方の仲間も、かつての温暖な気候の時代には繁栄していた。花はどことなくチューリップに似ている。英名はチューリップツリー。緑色が残った黄色の花にオレンジ色の密標(みつひょう)が見えるそうです。葉っぱの形が半纏にそっくり、「ハンテンボク」の名もあるな。奴凧や軍配のようにも見えるのでヤッコダコノキ、グンバイノキともいうそうな。

ヒメシャラ(ツバキ科)

6〜8月葉腋に直径約2aの白い花。太平洋側の山地に生育し落葉樹林を構成するが、とくにブナとの混生が多い。シャラノキ(ナツツバキの別名)に似るが、花が小形であることからの和名。暗い林内では生きられない、常に林冠の上部に葉を展開する。屋久島の縄文杉は、13種の木本植物を着生させているとか、スギ、ヤマグルマ、イワガラミ、ナナカマド、ソヨゴ、アオツリバナ、ヒメシャラ、アデク(九州南部から南西諸島に分布)、サクラツツジ、ヒカゲツツジ、アセビ、アクシバモドキ、ヤマシグレ。1994年ヤマグルマが消えて1996年現在は12種を着生させているとのことです。樹皮が美しいので床柱にもされる。

ナツツバキ(ツバキ科)別名シャラノキ

樹皮は帯黒赤褐色で薄くはがれる。6〜7月葉腋に直径5〜6aの白い花、夏に咲くツバキの意味。別名はインド原産の仏教の聖樹サラノキ(サラソウジュ。フタバガキ科)に擬せられたため。沙羅樹、シャラソウジュ(沙羅双樹)などともいわれ、寺院によく植えられる。しかし「平家物語」の「祇園精舎の鐘の聲・・・沙羅雙樹の花の色・・・」で知られる「沙羅雙樹」はインド、ヒマラヤ原産でフタバガキ科のサラノキのことであって、ナツツバキではないんだと。またサルスベリともよばれが、この「サル」は猿の意味ではなく沙羅双樹の「沙羅」から転訛したとする説もあるようです。

いずれも夏らしいイメージが強いよねー、うだるような暑さを感じさせる。ここらで、

ハンカチノキ(ミズキ科)

ダウィディア・インフォルクラタが本名。まさに、白い大き目のハンカチを真ん中をつまんで木にぶら下げたように見えるよ。花の時期は5〜6月で終わっていたが、神代植物公園に植えられていました。今頃咲いてくれると使えないとしても涼しく感じるかも?ね。化石が発見されているので、かつては日本にも分布していたらしいが、現在では中国南西部、標高2000b付近の山地にだけ分布する高木。花序の基部に、非常に印象的な2枚の大きな乳白色の花弁のような総苞片があるのでハンカチノキとよばれる。

暑さバテしないように、水をたくさんとってハンカチも忘れずにね。それではまた。





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